2023/2 子どもたちの人権と学校のルールについて
- みどり 中田
- 2023年2月28日
- 読了時間: 28分
中田議員
2023年2月の一般質問、「子どもたちの人権と学校のルールについて」、行います。
人権を守ることは、近代社会の根本原理です。ですが、日本社会における子供の人権は、しっかり守られているでしょうか。今日は、そのことについて質問したいと思います。
子供たちを取り巻く環境が大きく変わる中、先般、12年ぶりに生徒指導提要が改訂されました。学習指導要領に比べるとなじみの薄い、この生徒指導提要ですが、教員にとっての生徒指導のガイドブックに相当するものと言われています。今回の提要改訂における最大のポイントは、子供の権利が明記され、生徒指導の定義や目的が大きく見直された点にあります。
改訂された提要では、主役は子供、教職員はそれを支えるサポーターと位置づけられており、これまでの旧態依然の生徒指導観が改められ、かつて管理教育が進めていた学校教育の在り方を大きく変える内容となっています。生徒指導においても、児童生徒の人格が尊重されることが求められており、一人一人の個性を発見し伸ばすことや自己実現を支えることを、その目的だとしています。
この中で注目されているものの1つが、校則の見直しに関する記載です。校則については、全国的に、合理的な理由がよく分からないものや子供たちの人権、可能性を抑圧するようなものなど、行き過ぎたものがあるとされ、マスコミでも頻繁に、最近取り上げられています。
これらのいわゆるブラック校則問題を受けて、今回、提要には、校則をホームページ等で公開することや校則変更のプロセスを明示した上で、児童生徒などの意見を聞くことが望ましい。また、校則見直しの過程で、児童生徒が学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決することに教育的意義があると、踏み込んだ記載がされています。
自分や子供たちの学校生活を見ていた中では、生徒や保護者が校則づくりに参加することはほぼないと思い込んでいたわけで、そこからすると、今回の改訂は驚きと言えます。
そこで、「本町の学校における校則について」です。
本町は、他自治体の学校と比して、校則が厳しいわけではないと認識していますが、生徒指導の定義・目的がこれほど大きく変わったわけですから、提要改訂に沿った運用、見直しになっているかどうか、確認していきたいと思います。
校則の代わりに、「生活のきまり」、「生徒心得」などと呼ぶ学校もあるということで、本町においては「生徒心得」、「生徒注意事項」がそれに当たるもののようですが、ここでは生徒手帳に記載されたルールについて、「校則」と言い換えて質問を進めます。
質問です。
この提要が改訂される以前にも、文科省から同じ趣旨の事務連絡があったと思いますが、本町の中学校はどのように対応してきたのでしょうか。こうした情報は、教職員の間で十分に共有されていましたか、伺います。
教育こども部長
それでは、中田議員の一般質問に、順次御答弁申し上げます。
この「提要以前の通知の対応と教職員間での共有」についてでございます。
以前の通知といたしましては、直近では、国から令和3年6月8日付事務連絡として、大阪府教育庁を経由して町教育委員会に発出されており、町教育委員会からは、令和3年6月16日付島教教第490号にて「校則の見直し等に関する取組み事例について」という文書を、町内各校に発出いたしております。
そして、各校の教職員の情報共有につきましては、職員会議等での周知や職員間での資料供覧などにより行っております。
以上でございます。
中田議員
約2年前にも文科省から校則の見直しに関する通知があり、学校に周知されているということです。
この通知には、校則について、今回の提要の改訂とほぼ同様の内容が記載されていますので、まずは学校として、これまでどう対応してきたかについて確認していきます。
提要には、校則の運用において、「校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要」と書かれています。生徒が、自分が守るべきルールについて、上から押しつけられたものを無批判に受け入れるのではなく、主体的に考えることを促すもので、大変重要だと感じます。さて、これらを受け、本町の校則の現状はどうなっているでしょうか。
何のために設けられた決まりであるのか分からないと言えば、1番に思い当たるのが髪型に関する制限、ツーブロック禁止です。本町でも、3年ほど前には校則に記載されていたと記憶していますが、現在はどのようになっているでしょうか。
教育こども部長
「本町の校則の現状について」でございます。
髪型のツーブロックに関する記載につきましては、現在、各中学校とも、具体的に「ツーブロックを禁止する」との記載はございません。しかしながら、一部の学校では、「刈り上げた部分とそうでない部分の境目が明瞭に分かる(模様や図形も含む)髪型は禁止」との記載がなされており、実態として、類似表記として、一部髪型に規制がございます。
以上でございます。
中田議員
一部の学校では、まだ、ツーブロック禁止という文言はないものの、それに類する髪型についての規制が残っているということです。
では、このツーブロックに類する髪型の禁止については、いつ、どのような理由、背景で、校則に記載されるようになったのでしょうか、伺います。
教育こども部長
次に、「ツーブロック禁止」についてでございます。
ツーブロック禁止に係る規定ができた時期については、現時点で明らかになる資料が確認できておりませんが、ツーブロックが流行し始めた頃に、各中学校の教員から声があがり、生徒手帳に記載されていた「特別な髪型は禁止する」という文言を根拠として、ツーブロックの髪型を禁止するよう指導していたと聞き及んでおります。
理由といたしましては、進学や就職面接時において、外見上、マイナスな判断をされ、生徒が不利益を被らないため、普段から意識をしておく必要があるとの理由から、ツーブロックを禁止する指導がなされていたとのことでございます。
以上でございます。
中田議員
ツーブロック禁止について、理由、背景について説明いただきましたが、その前に確認しておきたいのですが、御答弁で「現時点では確認できる資料がない、資料が確認できていない」と言われていますが、これはどういうことでしょうか。生徒手帳や校則について、過去の資料が学校や行政にも残っていないということですか。確認です。
教育こども部長
ツーブロック禁止に係る指導は、生徒手帳に記載された「特別な髪型は禁止する」という文言を根拠に行われてきたわけですが、この規定が、いつ記載されたのかという、平成29年度以前のデータが現時点で確認できていないということでございます。
以上です。
中田議員
平成29年度以前のデータが現時点で確認できていないということが、ちょっと理解に苦しむのですが、生徒手帳は、学校にとって生徒指導上大事なもののはずで、学校や行政が自らの指導を振り返るためにも、このような資料は一定期間保存しておくべきだと思うのです。この点は、引き続き確認をお願いいたします。
次の質問です。
ツーブロック禁止については、教員の側が生徒のためを思って制定した校則ということかとは思いますが、禁止した理由として、「進学や就職面接時において外見上マイナスな判断をされ、生徒が不利益を被らないため」と言われていましたが、そのような不利益を実際に生徒が被ったことがあったのでしょうか。もしなかったとしたら、不利益を被ると判断した理由は何だったのか、伺います。
教育こども部長
生徒が進学や就職面接時において、具体的に不利益を被ったとの事例は把握いたしておりません。当時の社会通念上の観点から、生徒が進学や就職面接時に不利益を被る可能性のある事項については、一定の基準を設けるべきであるとの判断から、校則の1つとして追記されたと聞き及んでおります。
以上でございます。
中田議員
もし、本当にそういうことがあったとして、進学や就職面接時に、本人が髪を切りに行けばいいだけの話であって、普段から意識をしておく必要があるというのは、特定の髪型を禁止するための必要最低限かつ合理的な理由としての範囲を逸脱してはいないでしょうか。むしろ、本当の目的は、生徒を統制管理するためではないかと生徒から問われたときに、生徒が納得する理由を説明することができるのでしょうか。
次です。
一部の学校では、いまだに髪型に関する禁止事項が残っているものの、学校ごとに差はある中で変更が加えられています。この部分における経年の変化と変化が起こったきっかけは何だったのかについて、伺います。また、見直した結果として、一部髪型に関係する校則が残っているのであれば、その理由は何であったのでしょうか。
教育こども部長
各中学校に調査を実施いたしましたところ、平成29年度までは、生徒手帳に「特別な髪型は禁止する」という文言があり、この中にツーブロックも含まれているという認識の下で指導が行われてきたと聞いております。
しかしながら、保護者等から、分かりにくいとの御意見等もございましたことから、管理職も交えた会議を経て、髪型そのものの文言を削除した学校もあれば、髪型に対して、より具体的な禁止事項を定めた学校もあったと聞き及んでおります。そして、令和3年度に、髪型に関する現在の生徒手帳記載事項が完成し、現在に至っているものでございます。
そのほか、現在においても、規定されている髪型に関する校則についてでございますが、各校とも、染色やパーマ等は禁止する旨を生徒手帳に記載しております。理由といたしましては、進学先や就職先において、依然として染色やパーマ等を禁止する規則を設けているところがあり、平常時から生徒に意識づけを行い、それらに対応するため、生徒手帳への記載を続けていると聞き及んでおります。
以上でございます。
中田議員
見直しのきっかけは、保護者等からの意見だったとのことです。また、見直した結果として、特別な髪型を禁止する項目が必要ないと判断した学校と、そうではなくて、より詳しく記載する方向に見直した学校があったということかと思いますが、そもそも各中学校のこういった校則は、誰によって、どのように決められているのか、伺います。
教育こども部長
次に、「中学校の校則はどのように決められているのか」についてでございます。
校則につきましては、小学校、中学校問わず、各学校が教育基本法等に沿って、教育目標を実現していく過程において、児童生徒の発達段階や地域の状況、時代の変化等を踏まえて、最終的に学校運営の責任者である校長により制定されるものでございます。
現状では、校則の多くは、教員からなる生徒指導委員会等において、教員が中心となって作成いたしております。内容によっては、生徒会等を中心とした生徒に対しても意見を聞いた上で作成しているものもありますが、一部のみにとどまっているのが現状でございます。
以上でございます。
中田議員
各中学校の校則は、現状、主に教員が中心となって作成されているということですね。
改訂された提要には、校則の見直しにおいては、「最終的には校長において適切に判断されるものではあるが、その在り方を検討する際には、その影響を大きく受ける場合もある児童生徒や保護者等の意見を聴取した上で定めること。校則の見直しの過程やどのような手続きを踏むことになるのか、示しておくことが望ましい。」とされており、生徒、保護者の感覚や改訂手続を明文化することの重要性が書かれています。
そこで、提案です。
校則の見直しに、生徒、保護者が関与することができるように、学校に働きかけてはいかがでしょうか。また、校則に関して、これまで生徒、保護者から出された意見があったかどうか、伺います。
教育こども部長
「校則に関して、生徒、保護者から出された意見」についてでございます。
これまでも、学校に校則に関して保護者から御意見をいただいており、多くは生徒の健康面での配慮に関するものでございます。例えば、教室内において防寒着を脱ぐことになっておりますが、個人の体調面等、理由を含めて配慮してほしいとの御意見がございます。なお、生徒から特に意見はございません。
いずれにいたしましても、今後、校則を見直す際には、児童生徒が主体的に関与することによって、身近な課題を自ら解決するなどの教育的意義もございますことからも、児童生徒の参画について検討するよう、各校に指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
生徒から出された意見がないというのは、単に意見がないというよりも、校則というものが自分たちが主体的に関わって変えていけるものだという認識がないことに起因していると受け取るべきではないでしょうか。児童生徒、保護者が参画するためには、まずは、校則は見直せるということを、生徒、そして保護者が十分認識できていることが大前提です。
次の質問です。
提要には、校則の運用について、「普段から学校外の関係者が参照できるように、校則を学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれのきまりの意義を理解し、主体的に校則を遵守するようになるため、制定した背景等についても示しておくことが適切」と書かれています。
現状、本町ではどのようになっていますか。そうなっていないのであれば、ホームページ公開や制定の背景を示すように、学校に働きかけてはいかがでしょうか。
教育こども部長
次に、「校則のホームページ公開と制定の背景を示すこと」についてでございます。
各学校でのルールや決まり事等の校則につきましては、児童会や生徒会を中心に、児童生徒が、それぞれの決まりの意義やその意味を自分事として理解し、主体的にルールや決まり事を守れるように制定しております。
なお、校則の公開につきましては、学校だよりや学年だより、児童会・生徒会等からのお便りを通じて、保護者へ周知、理解を図っております。
今後、保護者も含め、関係者へのさらなる情報発信につきましては、校則内容や背景なども含め、各学校のホームページ等での周知について、各校に検討するよう指導してまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
校則の内容や背景なども含め、各学校のホームページ等で周知することを検討するよう指導していくとのこと、よろしくお願いいたします。
次です。
寒い季節の体調管理に欠かせない防寒着についても、確認しておきます。これについての校則はどうなっていますか。
教育こども部長
「防寒着について」でございます。
小学校は私物の防寒着を、中学校では学校指定のウインドブレーカーを、どちらも登下校時のみ着用できると町内の各学校では校則を設けております。しかしながら、昨今の新型コロナウイルス感染症流行下で、教室内の随時換気が必要となり、冬場でも一定窓を開けておく必要があることなどを踏まえ、校長会等で、児童生徒や保護者からの申出があった場合には、適宜適切に防寒着の着用を認める旨の指導を行っております。
以上です。
中田議員
寒暖の感じ方や体調には個人差があるにも関わらず、防寒着の着用に関して、申出があったら認めるというような許可制という指導をしていること自体に、違和感を覚えます。気候や体調による防寒対策は、原則本人の自由とすべきではないでしょうか。
ここまで、本町における校則の現状を様々に確認してまいりましたが、一部学校ではありますが、いまだに残る特定の髪型の禁止や防寒着が教室では基本は着用できないことについては、その理由や背景に、生徒の皆さんの自由を拘束するに値する合理性、必要性があるとは言い難いと感じました。
規則は、細かくなればなるほど、本来、身につけるべき子供の主体性や多様性と乖離し、矛盾が生じます。子供たちの人権の観点からも、誰のため、何のためと疑問を持つような、学校内だけで通用する校則から、社会のルールである憲法や法律を基盤とした必要最低限のものとなっていくよう、見直しを進めるべきと考えます。
また、校則は見直せるということを、生徒、保護者が十分に理解、認識をし、見直しを求める意思があれば反映される仕組みが必要と考えます。お考えを伺います。
教育こども部長
次に、「校則の見直しについて」でございますが、校則は、児童生徒の発達段階や学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえて制定されるべきもので、校則の目的、その背景や理由についても、児童生徒、教職員及び保護者の共通理解をできるだけ得た上で、児童生徒が自主的に守れるよう、運用や見直しの手続を進める必要があるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
別の観点から質問です。
「地域の声と校則」についてです。
社会の常識とずれた校則がいまだに残ることに関し、学校に批判が集まりがちですが、一方で、教員、校長等が、地域住民のクレームとの板挟みになっていることがあることも指摘されています。本町においては、そのようなクレームが寄せられている事実はありますか。それに影響された校則やルールで、子供の自由が制限されていることはないかどうか、確認します。
教育こども部長
次に、「地域の声で子供たちの自由が制限されていることはないか」についてでございます。
各中学校における校則に関する地域の声については、各校とも、現時点では特に伺ってはおりませんが、地域の皆様からいただくその他の声といたしましては、多くが生徒の交通マナー等に関するもので、児童生徒の安全を願うあまりのお声として、大変有益なものであると感謝いたしております。
このように、現時点では地域の皆様からのお声によって、校則や子供の自由が制限されるような事案は発生はいたしておりません。
以上でございます。
中田議員
地域住民の声で、子供たちの自由が制限されていることはないということ、確認できました。これはほんとに良かったです。
次の質問です。
「明文化されていないルール」についても、伺います。
小・中学校において、校則に示されているもののほかに、プリント1枚、先生の口頭のみといった、ぼやっとした形で運用されているルールがあると思います。例えば、「隣のクラスに入ってはいけない」というのも、その1つです。その理由について、私が保護者だった頃、教員の方に尋ねてみても、人によって理由が違うなど、理解が曖昧に感じています。
そもそもこのルールは、誰が、いつ、どのように設定したものなのか、その根拠は何であると教育委員会は把握されているか、伺います。
教育こども部長
次に、「明文化されていない『他のクラスに入ってはいけない』というルールについて、誰が、いつ、どのように設定したのかなど」についてでございます。
まず、「他のクラスへ入ってはいけない」という、このルールについては、6校全ての学校において、口頭もしくは校内掲示等の方法により生徒に伝えられておりますが、「誰が」、また、「いつ」設定したのかという点については、明確に把握はできておりません。
次に、このような内容の「きまり」が、どのような理由により存在するかについての各校の認識といたしましては、あくまでも一例でございますが、過去のいじめ事案として、いじめた側といじめられた側の関係性があり、一定の距離を置いておく必要があることから、クラスを分けている場合があると聞き及んでおります。また、それぞれのクラスには、在籍する児童生徒の所有物が保管されていることからも、それら個人所有物の紛失や破損等の児童生徒間のトラブルを事前回避するために、原則として、他のクラスへは理由なく入室しないこととしているとのことでございます。
以上でございます。
中田議員
隣のクラスに入ってはいけない、ほかのクラスには入ってはいけないルール、誰が、いつ設定したかは明確には把握できていないとのことでした。
これがどういう理由で設定されているかについては、確かに、いじめ事案に関連し、一定の距離を置いておく必要については理解するところですが、そういった必要に迫られる学年やクラスがあったとして、小・中6校全てのクラスにおいて、同じルールが適用されている現状は、必要最低限とは言えないのではないでしょうか。
そして、今、おっしゃられた理由であれば、子供たちのためと言うより、教員の側の管理のしやすさを目的としているようにも感じられます。また、聞き取りをしたとのことですが、「一例ですが」との言い方からして、根拠について複数の理由があり、それそれに内容が違ったというようにも聞こえました。
このように、ルールがあるものの、その設定の理由について、教員の側であっても共通認識が得られていないのであれば、それも課題であると感じます。
質問です。
この件に関しては、これまで複数の保護者から、不条理で意味が分からないという意見を聞いていますし、広く町外を見れば、そのようなルールのない学校も普通にあります。これを機会に、今一度、そうした明文化されていないルールについても把握、整理し、根拠、必要性を確認する作業が必要ではないでしょうか、伺います。
教育こども部長
次に、「明文化されていないルールについて把握、整理などをするべきではないか」という質問についてでございます。
令和4年12月に改訂された生徒指導提要では、「校則の見直しの過程に児童生徒自身が主体的に参画し、意見表明することは、自身が校則を守ろうとする意識の醸成や身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有する」と規定されました。
校則は、学校と児童生徒、保護者等の学校関係者の皆さんとが議論する場を設け、意見を聴取した上で定めていくことが望ましいことは言うまでもございません。
つきましては、校則等に明記されていなルールについて、今後、どのように取り扱っていくのかについては、その課題を児童生徒、保護者等と学校が共有し、必要に応じて議論し、決めていくべきであると考えております。
以上でございます。
中田議員
確かに、関係者と情報を共有しつつ議論をしていくことは、提要でも示されているとおりで、今後はそうしていただきたいと思いますが、一方で、隣、他のクラスに入ってはいけないルールについては、ルールを設定した側にも、その解釈や根拠について、かなりの曖昧さが残っているように思われます。児童生徒の皆さんと課題を共有する前に、まずは、教員の側でそこを把握、整理し、必要性について、改めて考えていただきたいです。
次です。
校則の見直しのように新たな取組をすることは、ただでさえ忙しい教員の皆さんに、さらに負担をかけることになります。ですから、同時に働き方改革で、業務負担軽減を進めることが重要と考えます。これまで取り組んできた教員の働き方改革の進捗は、どうなっていますか。事務負担や長時間労働の軽減が進んでいるのか、伺います。
教育こども部長
次に、「教員の働き方改革進捗状況」についてでございます。
本町におきましては、これまで学校における働き方改革といたしまして、週1回のノー残業デーや、夏季・冬季休業期間中における学校閉庁日の実施といった取組のほか、平成30年度には各校にタイムカードを導入して、学校長等が教員の出退勤時間や残業時間を的確に把握できるようにしてまいりました。また、留守番電話を導入して、夜間休日の業務時間外における教員の保護者対応に係る負担軽減を図ったほか、中学校につきましては、平成31年3月に策定した本町の部活動ガイドラインに基づき、所定の休養日を設定した上で部活動を実施することにより、部活動に伴う教員の長時間労働の縮減を講じました。
さらに、令和4年度当初には、国が推進する学校給食費の公会計化を実施し、給食費の徴収管理にかかる学校現場の負担軽減も図るなど、本町におきましても、教員の長時間労働の縮減に向けて、様々な取組の推進に努めてきたところでございます。
しかしながら、その一方で、ここ数年、小・中学校の現場では慢性的な人手不足の状況にある中、国の教育施策、その他教育環境を取り巻く社会情勢の動向や社会的要請により、学校現場に次から次へと新たな業務負担が生じている状況にあることから、総合的に見ますと、目覚ましい長時間労働の縮減がなされたとは言い難い状況にございます。
このような現状も踏まえまして、本町では、教員の長時間労働の縮減をより一層推し進めていくため、府内でも8割以上の公立学校で導入されている統合型校務支援システムを構築するための関連予算を、令和5年度予算において計上させていただいております。また、この統合型校務支援システムには、現在、町職員が使用しているのと同様の出退勤管理システムの機能を付け加える予定といたしております。本システムの運用が開始されますと、現在、学校の校務業務に関して、紙帳票に手書き、またはエクセル等のソフトを学校独自に用いて行っている事務作業をシステム上で処理できるようになり、事務の能率化・効率化が図れるようになるものでございます。
いずれにいたしましても、本町といたしましては、今後も引き続き、教員の長時間労働の縮減に向けて、鋭意努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
東田議長 答弁とかにつきましても、他の議案に関連するようなことは差し控えていただきますことをお願いしておきます。
中田議員
次の質問です。
様々な施策を講じてみたものの、長時間労働の目覚ましい縮減がなされたとは言い難い状況とのこと。具体的に、ここ5年間の月・教員1人当たりの平均超過勤務時間の推移を伺います。
教育こども部長
最近5年間の1人当たりの月平均時間外勤務時間数についてのお尋ねでございますが、平成30年度は約42.4時間、令和元年度は約36.4時間、令和2年度は約37.4時間、令和3年度は約46.6時間、令和4年度については12月末現在ですが、約40.1時間となっております。
以上です。
中田議員
給特法に基づく公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインには、1か月の時間外勤務は45時間以内、1年間の時間外勤務は360時間以内と上限が定められていますが、今、伺ったところ、令和3年度の値は平均値でもそれを超えてしまっています。個人で見れば、この上限を超えている方もたくさんおられるのではないでしょうか。
上限については、早急に条例等に反映すべきとの通知も来ているようですが、それはさておき、教員の皆さんの勤務実態がこのような状況にある中で、新たな仕事が増えるのであれば、何かを減らさなければ、現場は立ちゆかなくなります。教育委員会として、自治体として、現場の声を国に伝えて改善を求めるべきではないでしょうか。
教育こども部長
教育現場の慢性的な教職員不足や国の新たな教育施策などによる業務負担への対応につきましては、本町だけではなく、全国的な課題であると認識をいたしております。
教職員の確保についての御要望でございますが、毎年、大阪府町村長会から大阪府に対して、次年度施策並びに予算に対する要望を行っており、その中の重点要望項目の1つとして、府から国に働きかけを行うことを求めているところでございます。また、次年度の国家予算に対する要望についても毎年行っておりますので、その中での要望としても、今後、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
教職員の確保とともに、必要性の薄い業務、教員が担うことが適切でない業務を見直すことで、仕事量を減らすことも大切です。これまでも様々に改善はされているとは思いますが、まだまだ足りていない状況と思いますので、これらも含めて国に要望することを、よろしくお願いいたします。
次です。
校則や学校のルールの見直しについては、教員の皆さんの長時間労働状況を考えれば、各校任せにすることなく、全体を俯瞰し、コーディネート、サポートできる教育委員会に、ぜひ、精力的に取り組んでいただきたいです。総括的な見地から、教育長のお考えを伺います。
中村教育長
次に、「教育委員会として精力的に取り組んで」についてでございます。
校則につきましては、児童生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律として定められるものであり、児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長、発達していくために設けられたものでございます。校則を制定してから一定期間が経過し、学校や地域の状況、社会の変化等を踏まえて、その意義を説明できないような校則については、本当に必要なのか、教育的意義に照らして、不要に行動が制限されていないか等、絶えず検証、見直しを行う必要があると考えております。
いずれにいたしましても、校則は、最終、校長が制定することとなりますが、学校と児童生徒、保護者等の学校関係者の皆さんとが議論する場を設け、意見を聴取した上で定めていかなければなりません。教育委員会として、各学校長にこの点をしっかりと説明し、校則の在り方等について、認識を共有し、指導助言してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
教育現場のみならず、教育委員会も手一杯の状況であると推察されますが、子供の主体性、多様性の尊重など、教育の本質に関わる大変重要な改訂であり、かつ、現在、本町が独自で進めているみづまろキッズプランとも大きく重なる部分でもありますので、教育委員会として、率先してリードしていただきたいと思います。
次です。
さて、別のルールとして、マスクに関係するものについて伺います。
文科省は通知で、児童生徒がマスクをせずに式に出席できるとの基本的考え方を先般示しましたが、留意事項として、児童生徒についてはマスクの着脱を強いることがないよう書かれています。教職員に関してはどうなっているでしょう。
教職員の中にも、基礎疾患があるなど、様々な事情で感染不安を抱き、マスクの着用を希望する方もおられると思います。教職員についても、児童生徒と同じように、希望があればマスクが着用できるような対応を求めます。
教育こども部長
次に、「卒業式に希望があればマスクが着用できる対応を求める」についてでございます。
日常生活におけるマスク着用につきましては、令和5年2月10日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議において、個人の判断に委ねることを基本とし、3月13日から適用するとの考えが示されたところでございます。
この方針を受けて、文部科学省では同日付通知において、学校においては、これまで屋内では基本的にマスクの着用を推奨しておりましたが、「学校教育活動の実施に当たっては、マスクの着用を求めないことを基本とする」との考えが示されたところです。しかしながら、この方針変更については令和5年4月1日以降の新学期から適用するとし、3月31日までは従来どおりの対応によるものとされました。また、同日付で文部科学省より、卒業式におけるマスクの取扱い等に関して、児童生徒及び教職員については式典全体を通じてマスクを外すことを基本とするとの方針が示されたところです。その方針の中で、児童生徒に対しては、マスクの着脱を強いることのないようにとの考えが併せて示されており、個人の判断に委ねることが明示されています。
教職員に対しては、この方針の中では具体的な考えは示されておりませんが、当然のことながら、式典全体を通じてマスクを外すとの考えは原則論であり、国民全体に対しての、令和5年2月10日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において示された、個人の判断に委ねることを基本とするとの考えが大原則ですので、本町といたしましては、教職員につきましても、希望があればマスクを着用していただければよいと考えております。
以上です。
中田議員
本町教育委員会として、教職員についても個人の判断に委ねるとされること、分かりました。校長会等で共有し、周知に努めていただきたいです。
児童生徒については、個人の判断に委ねるということが明確に示されていますが、逆の同調圧力で、マスクを着けたい児童生徒が負荷を感じることがないよう、教職員の側でも、それぞれ個人の判断でされていることを示していただければ、児童生徒の皆さんも、個人の判断で対応しやすくなると思います。
次の質問です。
通知では、保護者、来賓等については、マスク着用を求めています。この根拠について、どのように理解されていますか。
教育こども部長
次に、「保護者、来賓等にマスク着用を求めるのはなぜか」についてでございます。
卒業式におけるマスクの取扱い等についての基本的な考え方につきましては、ただいま御答弁させていただきましたとおり、文部科学省より、児童生徒及び教職員につきましては、教育的意義を考慮し、式典全体を通じてマスクを外すことを基本といたしております。また、保護者等は、マスクを着用するとともに、座席間に触れ合わない程度の距離を確保した上で、参加人数の制限を行わないとの方針が示されているところでございます。
本町といたしましては、この考え方に基づきまして、保護者等に対しては、マスクの着用を求めることとしたところでございます。
以上でございます。
中田議員
なぜ、マスクを外すことに教育的意義があるのか理解できませんが、そこを受入れたとして、それならば、保護者、来賓においても、同じことが適用されるのが合理的というものではないでしょうか。
もし、マスクのない顔を見ることが教育的に大事なのであれば、児童生徒がマスクのない保護者の顔を見ることも、また大事なはずです。逆に、感染症対策の点で保護者、来賓にマスクを求めるのであれば、同様に児童生徒、教職員にも求めないと筋が通りません。
つまり、今、説明された内容は、国からこうするように言われたからというもののように見えます。この説明では子供から、今、言ったような理屈で、なぜ、保護者と児童生徒の扱いが違うのかと問われた際に、納得のいく答えが答えられないように思います。
繰り返しますが、今回の提要改訂では、学校における様々なルールについて、児童生徒自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決することが大事だとされています。このことは、決して児童生徒だけに当てはまるものではありません。大人も同様に、自分たちのルールについて、根拠や影響を常に検討していく必要があると考えます。
ですから、教育委員会としても、国から言われたから従うという姿勢ではなく、筋の通った説明を行うことで、児童生徒に模範を示していただきたいです。もし、できないのであれば、国に筋の通った説明を求めるべきです。
このことを申し添えて、一般質問を終わります。