2024/6 攻めの自然環境施策ーもっと予算を!
- みどり 中田
- 2024年6月30日
- 読了時間: 23分
更新日:3月7日
中田議員(質問者席へ)
2024年6月定例会議の一般質問、「攻めの自然環境施策――もっと予算を!――」を行います。
最近、よく耳にするようになった言葉に、ネイチャーポジティブというものがあります。日本語で言うと「自然再興」で、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させる」ことを指します。
私たちの生活は生物多様性によって支えられる健全な生態系の上に成り立っており、食料や木材、医薬品はもちろん、空気や水も生物多様性がなければ維持できません。しかしながら、今、すさまじい勢いで生き物が絶滅しており、生物多様性の損失が深刻な問題になっています。
例えば、WWF(世界自然保護基金)の2022年版の報告によると、1970年から2018年の間に、野生生物の個体群は相対的に平均69%減少、淡水生息域の個体群は平均83%も減少しているとの報告がなされています。このネガティブな状態をポジティブにしていくために、生態系が豊かになるような経済活動へ切り替えていくことが、世界の潮流となっています。例えば、イギリスの新たな環境法では、開発前と比べて生物多様性を10%純増させることが目標として明文化されています。日本も、2030年までにネイチャーポジティブを達成するという目標を掲げています。
これまで、人間中心の生活や開発を進めてきた結果、地球環境が悪化し、このままだと取り返しがつかないことになるというところまで来ています。もはや、生物多様性を損なわないという守りの視点だけでは足りず、生物多様性を増加させる取組が必要な時代へと、潮流が大きく変わってきています。
国土交通省は、こうしたネイチャーポジティブやカーボンニュートラルなどの世界的な潮流を踏まえ、グリーンインフラの推進を掲げています。グリーンインフラとは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用することで、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組です。グリーンインフラが目指す姿は、自然と共生する社会です。
さて、振り返って、本町の現状はどうでしょう。
行政は、総合計画や都市計画マスタープランで都市環境と自然環境の調和の取れた緑豊かな都市空間を形成していくことを重視する姿勢を示しており、近年、行われた様々な住民アンケートからも、自然環境の豊かさを重視する結果が示されています。にもかかわらず、現状はというと、相次ぐ開発により、街中の緑豊かな貴重な環境は失われ、生物多様性も損なわれ続けています。
本町の都市緑地が減少していることについては、昨年の一般質問で行政も認めているところです。殊、これまで自然環境の豊かさ、身近さをアピールポイントとしてきた本町にとって、街中の自然環境をおろそかにすることは、日本を含めた世界的な潮流に反するだけでなく、本町の持続可能な自治体経営に致命的な打撃を与える結果につながるものと危惧します。逆に言うと、今、「攻めの自然環境施策」に取り組み、ネイチャーポジティブな都市環境づくりに取り組めば、住民の満足度も上がり、近隣他市にない大きなアドバンテージとなり、将来にわたって、安定した自治体経営ができるものと考えます。
そこで、質問します。
ネイチャーポジティブとは、先ほども言ったとおり、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることを指します。国全体で、2030年までに生物多様性の損失を止めるだけでなく、反転させる、回復軌道に乗せるということ、減少傾向を増加傾向に転じさせる必要があります。本町に、生物多様性を増加させる取組があるのか、伺います。
都市創造部長
それでは、中田議員の一般質問に御答弁申し上げます。
「攻めの自然環境施策――もっと予算を!――」のうち、「生物多様性を増加させる取組」についてでございます。
ネイチャーポジティブに関する取組でございますが、まず、生物多様性基本法では、環境基本法の基本理念に基づき、生物の多様性の保全及び持続可能な施策を総合的かつ計画的に推進し、豊かな生物の多様性を保全するとともに、将来にわたって、自然と共生する社会の実現を図ることが掲げられております。
このことを踏まえ、本町におきましても、過去から環境基本法や生物多様性基本法の基本理念に基づき、平成26年度に策定いたしました環境基本計画や令和元年度に策定いたしました生物多様性保全・創出ガイドラインの基本方針に基づき、生物多様性に関する環境施策に取り組んできたところでございます。
本町における、これまでのネイチャーポジティブにつながる生物多様性に配慮した具体的な取組につきましては、環境省が推奨する30by30を視野に入れた緑地の保全をはじめ、市街地における緑化の充実に向けた街路樹の剪定手法の見直し、また、河川管理者である大阪府とも連携し、水無瀬川のしゅんせつ時に河川内の水生生物を捕獲し保護するなど、緑地や生育環境の保全、有害鳥獣の捕獲や外来生物対策について、様々な視点から生物多様性に配慮した取組を実施してまいりました。
また、荒廃した人工林の整備や竹林化の防止を行う森林整備事業のほか、森林ボランティアや里山クラブなどの活動の推進、サントリー・大山崎町と共同で実施している天然水の森事業などは、山林を適正に管理することで、自然と共生する社会を目指した取組でございます。
今後も引き続き、本町の地域特性を生かした取組を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
今、私はネイチャーポジティブについて、これまでの自然保護活動のように、減少のペースを遅らせるというものにとどまらない、減少を増加傾向に反転させているものはあるかという趣旨でお尋ねしたのですが、お答えとしては、ネイチャーポジティブにつながる取組を具体的に幾つか答弁されていました。
少し分かりにくかったので、再度、確認です。
「ネイチャーポジティブにつながる」という表現をされたということは、そういった取組は、まだ生物多様性を増やすところには至っていないが、損失を食い止めることにより、今、劣化しつつある生態系機能をまずは保全し、今後、これを回復させる方向で取り組んでいるということかと思いますが、その理解でよろしいですか。
都市創造部長
ネイチャーポジティブにつながる生物多様性に配慮した取組についてのお尋ねでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、過去から環境基本法や生物多様性基本法の基本理念に基づき、環境基本計画や生物多様性保全・創出ガイドラインの基本方針に基づき、生物多様性に関する環境施策に取り組んできたところでございます。
本町といたしましては、先ほど具体的な取組について御答弁申し上げましたように、既成市街地においては、今後も生物多様性に配慮した実施可能な取組を継続することで、なお、本町の地域特性でもある森林区域におきましても、既にネイチャーポジティブにつながる考えを取り入れ、一度、人によって植林され、その後、手入れがされなくなった人工林や竹林を天然林に戻すことで、より豊かな生態系を創出することを目的とした天然水の森事業を、サントリーと連携しながら実施しております。また、森林ボランティアにおかれましても、町有林をはじめとした各活動地において、森林保全に努めていただいているところでございます。
今後も引き続き、これまでの取組を継続するとともに、環境省が目標として掲げております生物多様性の損失を止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せるためのネイチャーポジティブの新たな取組についても、検証する必要があるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
確かに、天然水の森事業については反転させるというところにつながるのかなと思うんですけども、先ほど最後に御答弁されたように、これまでの取組とともに、生物多様性の損失を止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せるためのネイチャーポジティブの新たな取組についても検証する必要があるということですから、まだ大枠としては、そこまで至っていないのかなということかと思います。
保全や開発による影響を最低限にするといったこれまでの保全や開発による影響を最低限にするといったこれまでの考え方は、ダメージを防ぐ、ないし小さくするという発想に基づくものです。これを乗り越え、どうすれば現状よりも生態系を豊かにし、生物多様性をポジティブな状態にできるかという発想を持って、今後も行政全般の事業に当たっていただきたいです。
次の質問です。
話を戻します。先ほど、ネイチャーポジティブにつながる具体的な取組として、30by30を視野に入れた緑地の保全や街路樹剪定手法の見直し、水無瀬川しゅんせつ時の生態系配慮等をお答えいただきました。それぞれの内容を、具体的に伺います。
都市創造部長
生物多様性に配慮した取組の具体的な内容についてのお尋ねでございます。
まず、30by30を視野に入れた緑地の保全につきましては、当該地はJR島本駅西側に位置するヒメボタルが生息する緑地であり、維持管理方法について、生態系に精通する団体と覚書を締結し、草刈りの時期や回数、草刈りの手順や方法、また、留意すべき点など、様々な内容について確認を行いながら、ヒメボタルをはじめとした生態系に影響が出ないよう、適切な維持管理に努めております。
次に、街路樹剪定手法の見直しでございますが、令和5年度におきまして、一般社団法人日本造園建設業協会に所属する街路樹剪定士と、本町における街路樹の状況を現地立会いし、剪定手法について、枝葉の残す量や剪定すべき枝など御指導いただいた上で、剪定作業を実施しております。
最後に、水無瀬川しゅんせつ時の生態系への配慮につきましては、河川管理者である
大阪府や生態系に精通する専門家などと現地協議を行い、どのようなしゅんせつの方法
が生態系に影響が少なくなるかの協議を行いました。その結果、ホタルに配慮したしゅ
んせつスケジュールの調整をはじめ、重機の搬入方法や、しゅんせつ前に水生生物を捕
獲し、影響のない下流域へ放流するなど、生態系に配慮した取組を実施したものでござ
います。
以上でございます。
中田議員
今、挙げていただきました30by30や街路樹の剪定、水無瀬川しゅんせつ等、具体的事例については、私も含めた住民や団体による働きかけに応える形で、近年、積極的に取り組んでくださっていることについては、大変評価しているところです。
その中でも、例えば、2年前の水無瀬川しゅんせつ時には、本町からの生物多様性配慮の要望を受け、工事の主体である茨木土木事務所はホタル配慮として、工事の際に生き物の専門家の意見を参考に、先ほど言われました以外にも、次のような取組を行っていました。水が流れている部分は極力触らない、水際線を単調化させない、ゲンジボタルの幼虫が上陸し、さなぎになる前に河川内工事を終わらせる、一部水を止めざるを得ない区間については生き物レスキューをするなどです。
ここでの大きなポイントは、しゅんせつ工事の主な目的である災害防止のための土砂の除去に当たり、その量を減らしていないというところにあります。土砂を取り除く量はそのままで、生態系に配慮して時期や手法を工夫することで、環境保全も治水も両立していました。ここで分かることは、今や生物多様性か人命かという二者択一ではなく、生物多様性の保全と再生を行いながら、暮らしを守っていくことができるということです。2つは、両立できるのです。それが実感された取組でしたし、茨木土木事務所の担当者の意識の高さも印象的でした。
この点、草刈りや道路整備、街路灯など、本町における取組でも参考になる事例だったと思います。
この点における認識を伺います。
都市創造部長
本町における生物多様性に配慮した道路整備等についてのお尋ねでございます。
これまでも、道路や水路、草刈り等の日常的な維持管理につきましては、可能な限り生物多様性保全・創出ガイドラインに基づき、生物多様性に配慮し、実施いたしております。
具体的には、草刈りについては、先ほど御答弁を申し上げました30by30等の取組をはじめ、道路整備であれば、拡幅等の道路改良を行う際、既存の老朽化した街路樹については、樹木医診断を経て移植や伐採を行うものの、整備区間の中で新たに植樹スペースを設け、苗木や低木などの植樹を実施し、緑地帯の確保に努めております。水路周辺におきましても、一部の歩行空間ではございますが、水路に隣接する歩行空間を土のままの状態で保持し、水路からのホタルや水生生物に配慮した自然環境を残すとともに、歩行者の方々にも安全に通行していただけるよう適切な維持管理に努めるなど、これまでも生物多様性に配慮できる場所については、可能な対策を実施いたしております。また、一部の都市公園においても、植樹帯の面積を広げ、樹種を増やすなど、少しずつではございますが、さらなる緑化の創出にも努めております。
今後も引き続き、本町が管理するインフラ設備の維持管理については、地域の皆様の安全はもとより、生物多様性にも配慮した対策など、安全と生物多様性配慮に関する両方の側面から考慮し、適切な維持管理に努める必要があるものと認識いたしております。
以上でございます。
中田議員
いろいろ、細々とお答えいただきましたが、最後のところで言った、安全と生物多様性の配慮の両方の側面から考慮していく必要があるという御答弁でした。ぜひ、よろしくお願いします。
先ほども申しましたが、これまでも配慮をお願いすれば、おおむね、それに沿った丁寧な対応をしていただいていることについては、本当にやっていただいていると思っていますが、今後においては、そうしたお願いがなくても、大前提として生物多様性の配慮も考慮していただきたい。さらには、事業とともにネイチャーポジティブの視点から、生態系をこれまでよりも回復させる手法を取り入れる等、人の安全確保と併せて、ネイチャーポジティブの取組も進めていってください。
次の質問です。
もう1点、先ほどネイチャーポジティブにつながる取組の具体例として、有害鳥獣の捕獲を挙げていましたが、鳥獣による農林水産業等に係る被害には、大きく分けて、畑などの農産物被害と森林におけるシカ等の食害――樹木の枯死や植生の喪失による裸地化などがあると思います。
しかし、ネイチャーポジティブの文脈においては、確かに森林におけるシカ等の食害
対策は含まれるものの、農作物対策被害については含まれないと考えます。この点、確認しておきます。
都市創造部長
ネイチャーポジティブにつながる取組の1つである有害鳥獣捕獲についてのお尋ねでございます。
本町域内の山間部におきましては、ここ数年でイノシシやシカが増加しておりますことから、森林への食害対策を目的とした有害鳥獣の捕獲につきましては、ネイチャーポジティブに向けた重要な対策の1つであると考えております。また、有害鳥獣が増加することで、森林の食害のみならず、お尋ねの農作物被害にも大きな影響を与えるものと考えており、この観点からも、有害鳥獣の捕獲が行われます。これらのうち、御答弁申し上げましたネイチャーポジティブにつながる取組の1つである有害鳥獣の捕獲につきましては、森林への食害対策は含まれますが、農作物被害等の軽減に向けた対策は含まれないものと考えております。
以上を踏まえ、一般的な考え方として、ネイチャーポジティブと有害鳥獣対策は、自然環境に関連する異なる概念であるとは認識しておりますものの、自然環境の保全という点では共通の目標を追求していることから、継続的に実施することで、自然再興を目指すネイチャーポジティブへの取組に向けた重要な対策の1つであると考えております。
以上でございます。
中田議員
分かりました。ちょっと、全体を通すと分かりにくかったですが、言われたように、有害鳥獣捕獲のうち、ネイチャーポジティブという文脈においては、農作物被害軽減に向けた捕獲は含まれないということは確認できました。くれぐれも、ネイチャーポジティブという名の下において、農作物被害軽減に向けた捕獲については行わないようにお願いします。
次の質問です。
これまで述べたように、カーボンニュートラルの次の潮流として、ネイチャーポジティブは生物多様性と自然再興をキーワードに、世界中で取組が加速しています。このような中、本町は、以前より生物多様性保全・創出ガイドラインを策定しており、かつ、先日の環境保全審議会でも、行政は答弁の中で、生物多様性の重要性はますます高まってきていると、国も大事にしているトレンドという趣旨の発言をされていました。
そこで、改めて伺います。
行政として、生物多様性の重要性について、どのような考えを持っているのか、どうしていくべきと考えているのか、伺います。
都市創造部長
生物多様性の重要性についてのお尋ねでございます。
本町の生物多様性保全創出ガイドラインにも掲げておりますとおり、生物多様性の恩恵につきましては、生命の存続基盤、有用性の源泉、豊かな文化の根源、安全・安心の基礎があり、日々当たり前と思っている事柄の多くは生物多様性と深く関連しており、生物多様性が基礎をなす生態系から受ける恵みを享受していると考えております。
本ガイドラインにも掲げる生物多様性の危機は、人間活動による危機や自然に対する働きかけの縮小による危機、また、人間により持ち込まれたものによる危機や地球環境の変化による危機など、全国的にこのような様々な危機にさらされております。
このことから、本町といたしましては、生物多様性保全・創出ガイドラインを基本理念に、今後も、国などの潮流を注視しながら、生物多様性に配慮した取組を継続的に実施していくことが重要であると考えております。
以上でございます。
中田議員
生物多様性は、私たちの生活の基盤であり、恩恵をもたらすものとして重要であるにもかかわらず、現在、全国的に危機的状況にあるため、生物多様性に配慮した取組を行うことが重要であるということ、行政も認識されているという御答弁だったと思います。
次の質問に移ります。「グリーンインフラ」についてです。
国によると、グリーンインフラは、自然環境が持つ多様な機能を積極的に活用して、持続可能で魅力ある地域づくりを進めるための取組とされていて、「防災・減災、環境、地域振興に関わる様々な社会的課題に対して多面的に効果を発揮するもの」とされています。このように、グリーンインフラを整備することは、生物多様性をプラスに転じさせたり、緑豊かな住みよい町にする効果があるだけでなく、環境・社会・経済の様々な地域課題を解決するものです。
国は、グリーンインフラを取り入れたいと希望する地方公共団体を支援しており、毎年、対象団体を募集しています。本町もグリーンインフラ導入に向けて、まずは、こうした支援制度を活用してみてはいかがでしょうか。
都市創造部長
次に、「グリーンインフラ導入に係る支援制度の活用」についてでございます。
グリーンインフラ導入に向けた支援制度につきましては、社会資本整備や土地利用等
のハード対策・ソフト対策両面におきまして、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土、都市、地域づくりを進める上では有効であるものと考えております。
令和5年度に、国土交通省、農林水産省、環境省合同で示されたグリーンインフラ支援制度集の中でも、先導的グリーンインフラモデル形成支援をはじめ、様々な支援制度があり、自然環境が有する多様な機能を活用した取組や、昨今の気象変動による防災・減災へつながるグリーンインフラによるハード整備などが支援内容となっておりますことから、本町にとって、どのような取組が可能であるか、近隣自治体の事例等を参考に、費用対効果の側面も含めて検証してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
小規模自治体の本町が新たな事業に取り組むに当たっては、その人員や予算確保に課題があるのは理解しています。だからこそ課題解決のために、こうした国の制度を活用し、予算や専門的なアドバイザーなど獲得してくるなどの工夫が必要だと考えます。自然環境が有する多様な機能を活用した地域づくりというグリーンインフラの概念は、本町が現在抱える開発に伴う住環境の悪化や緑地の減少といった課題解決にふさわしいものではないかと考えます。ぜひ、支援制度の活用の検討をしていっていただきたいと思います。
次の質問です。「環境に係る施策」についてです。
昨年の一般質問で、都市計画マスタープランの緑化の推進が空文化していることを指摘し、改善を求めました。その際、町長は、地球温暖化対策実行計画に基づき、今後、公共施設の緑化に関する作業部会等、市街地の緑化推進に努めていくと答弁されました。その進捗状況を伺います。
併せて、今年度の重点施策の1つである環境への取組において、生ごみ処理機補助制度を導入しましたが、その申込み状況についても伺います。
都市創造部長
令和6年度における施策事業の進捗状況についてのお尋ねでございます。
令和6年度の施策事業につきましては、緑化事業と生ごみ処理機等補助金交付を実施いたしております。各施策とも、令和5年度に開催いたしました地球温暖化対策進委員会及び作業部会により審議し、令和6年度の施策事業として実施しているところでございます。
緑化事業につきましては、町立第二小学校及び町立第四保育所で実施いたしており、現在、町立第二小学校では、4年生の理科の授業でゴーヤやひょうたん、ヘチマを、地植えにより子供たちで苗植えを実施してもらい、生育の観察を開始いたしております。
また、第四保育所につきましても、プランターによるゴーヤの苗植えを実施し、日々の水やりを先生や子供たちに実施していただいております。
次に、生ごみ処理機等補助金交付につきましては、令和6年5月7日から受付を開始いたしましたが、たくさんの申請をいただき、現在、予算が上限に達したため、受付を終了いたしております。
以上でございます。
中田議員
今年度の重点施策に環境への取組が入ったことについては、以前より進んだものと評価するものの、一方で、その規模が小さく、予算が少ない点については残念に思うところです。ほんとに環境課は頑張っておられると思うんですが、重点施策の1つになっている環境の取組の内容が一部学校・園での壁面緑化と生ごみ処理機の助成ということであることに関し、他自治体の方からも、この御時世、周回遅れではという意見も聞いています。その生ごみ処理機等補助金ですら、予算額が少なすぎたように思われます。町ホームページによると、受付開始後1か月もたたない5月30日の時点で、既に今年度の上限額に達したとのことです。アッという間に枠が埋まったことは、住民ニーズの大きさを示しています。来年度の予算では拡充していただくよう提案します。
次の質問です。
先ほど取り上げたネイチャーポジティブに関して、世界的に見たときに、目標を達成するための大きな障壁となっているのが資金不足であるという研究結果があります。本町の環境施策についても、例えば、地球温暖化対策や都市計画マスタープランに掲げた計画内容やその数値目標を実現するためには、それ相応の予算が必要です。
そもそも、先ほど来取り上げているネイチャーポジティブ以前に、本町は環境保全・自然環境施策関連の予算は、あまり多くないように見受けられるのですが、どうなのでしょうか。例えば、ここ5年の環境衛生費と美化推進費を例に取って、その額と全体に占める割合を伺います。
総務部長
款 衛生費、項 環境衛生費及び款 土木費、項 土木管理費、目 美化推進費の平成30年度から令和4年度までの決算額と一般会計全体に占める割合でございます。
環境衛生費については、平成30年度が4,469万6,000円で0.4%、令和元年度が4,242万円で0.4%、令和2年度が3,655万1,000円で0.2%、令和3年度が4,112万9,000円で0.3%、令和4年度が3,982万円で0.3%となっております。美化推進費については、令和3年度以降、現場作業工事及び現場作業員に係る費用を土木総務費で計上しており、これらの費用を除いて比較いたしますと、平成30年度が2,712万4,000円で0.3%、令和元年度が2,957万9,000円で0.3%、令和2年度が2,793万4,000千円で0.2%、令和3年度が2,830万3,000円で0.2%、令和4年度が2,870万8,000円で0.2%となっております。
以上でございます。
中田議員
環境衛生費と美化推進費ともに、この5年の決算総額全体に占める割合というのは減少傾向で、額としても横ばいか減少しているということが分かりました。
この予算の多寡――多い、少ないについては、他自治体との比較等をしてみないと分からないところではあるのですが、やっぱり予算があまり多くないと思われます。そのことについて伺うんですが、自然環境施策については、都市整備課やにぎわい創造課など、各課にまたがるものとは思いますが、例えば、環境課の場合、予算査定の段階で希望する予算が通らないのか、もしくは、そもそも予算のかかる施策を挙げていないのか、どちらなのか、伺っておきます。
総務部長
環境課の予算要求についてでございます。
平成30年度当初予算から令和6年度当初予算までの施策予算につきまして、環境保全費及び美化推進費にかかる要求は8件あり、採択となったものは7件、不採択が1件となっております。
予算の多寡について一概に判断することはむずかしいものの、その時々で必要と考えられる施策について要求があり、予算全体の中で適切に査定されているものと考えております。
以上でございます。
中田議員
この7年間の一部費目の事例ですが、環境課が要求しているもののほとんどは採択されているということは、予算査定の過程で削られているのではなく、環境課の予算要求がそもそも少ないということかなと思います。世界的な潮流からも、そして、住民ニーズからも、環境における施策の重要性はますます高まっています。環境課におかれましては、国の補助金や支援制度の活用などすることも併せて、積極的な施策展開を求めます。
次の質問です。
以前の環境保全審議会でも、委員の方から、10年後、100年後の本町の将来を考えて、緑に投資することがよい町になるために必要だという意見が出ていました。また、この町の将来にとってだけでなく、ネイチャーポジティブや脱炭素の観点からも、自然環境施策に力を入れることは重要です。そのために、もっと予算を割くべきと考えます。いかがでしょうか。
総務部長
議員御指摘のとおり、自然環境に係る取組は、生物多様性の維持をはじめ、脱炭素化や防災等に資する重要な施策であると認識しております。今後につきましても、必要な自然環境施策について、国の補助金等の財政措置を勘案し、町財政との整合を図りながら、その実現に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ぜひよろしくお願いします。自然環境施策に係る町の財源確保の在り方としては、国の補助金をはじめ、民間企業からの資金調達も重要になってくると思います。そうしたところのマッチングも、先ほど提案したグリーンインフラの支援事業には含まれているものがありますので、予算を確保・獲得しつつ、自然環境施策を推し進めていっていただきたいと思います。
最後に、町長に伺います。
冒頭にも申し上げたとおり、これまで自然環境の豊かさ、身近さをアピールポイントとしてきた本町です。街中の自然環境をおろそかにすることは、日本を含めた世界的な潮流に反するだけでなく、本町の持続可能な自治体経営に致命的な打撃を与える結果につながるものと危惧しています。逆に言うと、今、攻めの自然環境施策に取り組み、ネイチャーポジティブの都市環境づくりに取り組めば、住民の満足度も上がり、近隣他市にはない大きなアドバンテージとなり、将来にわたって安定した自治体運営ができるものと考えます。
本当の意味での地域資源というのは、今や開発や人口増によって風前の灯火となっている景観や、水や土地、環境などの自然資源そのものにあるのではないでしょうか。環境課にとどまらず、都市計画、都市整備、にぎわい、教育、福祉、総務、総合政策、水道など、全庁的に予算をかけ、新たなネイチャーポジティブの取組やグリーンインフラの導入等、攻めの自然環境施策に取り組んでいただきたいです。町長のお考えを伺います。
山田町長
ネイチャーポジティブ等の自然環境施策についてのお尋ねでございます。
これまで担当部長がご答弁を申し上げておりますとおり、ネイチャーポジティブ等をはじめとした自然環境施策の取組については、生物多様性基本法や環境基本法の基本理念をはじめ、本町の各種計画やガイドラインに基づき推進していく必要があるものと考えております。
今後もより一層、環境省が掲げる取組や動向を注視するとともに、本町においても行財政運営の安定を図りながら、全庁的な取組として継続的に実施し、持続可能な自治体経営を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
