2024/2 教員による不適切な指導をなくすために
- みどり 中田
- 2024年2月29日
- 読了時間: 31分
中田議員(質問者席へ)
2024年2月議会、一般質問を行います。
「教員による不適切な指導をなくすために」です。
昨年公表された国の調査では、不登校の小・中学生が過去最多となりました。この要因ですが、学校側の認識としては、「無気力・不安」が小・中学校とも最多で約半数を占めています。一方で、文部科学省による不登校経験者へ聞いた実態調査では、教員の指導や関わりが不登校の原因になったという回答が多く、小・中学生の約3割が「先生がきっかけで学校に行きづらくなった」と回答しています。滋賀県フリースクール等連絡協議会の実態調査でも、学校に行きづらい、休みたいと思ったきっかけとして、「先生のこと」が最多となっています。不登校については、複合的な背景や要因があるものだとは思いますが、その理由の1つに「先生」があるならば、改善していく必要があると考えます。
また、昨年度、12年振りに大幅に改訂された生徒指導提要には、「教職員による不適切な指導等が不登校や自殺のきっかけになる場合もあることから、体罰や不適切な言動等が、いかなる児童生徒に対しても決して許されない。」と、その具体例とともに、教員による不適切な指導についての言及が初めてなされました。これは、教員による不適切な指導がきっかけで自殺した児童生徒の御遺族の方々が、文部科学省に繰り返し要望を行ったことによって実現したものだそうです。
町内の多くの教員の皆さんは、日々、丁寧に、熱心に、教育活動に取り組まれているとは思うのですが、一部、望ましくない指導があることは保護者の方から耳にしています。私の保護者としての経験上も、気になっているところです。
これらを踏まえ、本町における教員による不適切な指導に関して、伺っていきます。
「教員による不適切な指導」については、本町も例外ではないと思いますが、そのような事例が起こっていることを教育委員会は把握していますか。
教育こども部長
おはようございます。
それでは、中田議員の一般質問に御答弁申し上げます。
「教員による不適切な指導をなくすために」のうち、「教員による不適切な指導の把握」についてでございます。
令和4年12月に生徒指導提要が改訂され、教員による不適切な指導についても、具体的な記載がなされたことは承知いたしております。教員にとっては、日常的な声かけや指導という認識であっても、児童生徒や個々の状況によって受け止め方が異なり、児童生徒が圧力を感じる場合があることを考慮しなければなりません。また、教員による不適切な指導が不登校や自殺のきっかけになる場合もありますことから、学校全体において、いかなる児童生徒に対しても、不適切な指導を行うことは決して許されないことを徹底する必要がございます。
本町におきましては、教員による不適切な指導が発覚した際には、直ちに学校長から事象に係る経緯等を報告するよう指示しており、今年度におきましても、これを把握しているところでございます。
不適切な指導を受けた児童生徒の気持ちに寄り添うことを最優先に考え、スクールカウンセラーや養護教諭をはじめ多くの教員が、児童・生徒の不安や悩みに寄り添うことができる体制構築に努めるとともに、不適切な指導を行った教員やその指導に関わる教員等からヒアリングを行い、事実を明らかにした上で、大阪府教育委員会と連携した上で、適切に指導及び処分等を行うことといたしております。
以上です。
中田議員
今年度も教員による不適切な指導があった、把握しているということですね。
今、対処法について述べられていましたが、過去にあった不適切指導に対しても同じようにしてきたのか、伺います。
教育こども部長
「過去にあった不適切指導」に対する再度のお尋ねでございます。
過去にあった不適切指導への対応につきましても、同様に、発覚した際には直ちに学校長からの報告を受け、当該児童・生徒の気持ちに寄り添いながら、適切に対応に努めてきたところでございます。
以上です。
中田議員
「不適切な指導が発覚した際には」と、今、言われましたが、「発覚」というのは、学校長がそれを認知したときという意味ですか。
教育こども部長
「不適切な指導が発覚した際の学校長から教育委員会への報告」についてでございます。
教員による不適切な指導に関する情報が、児童・生徒や保護者等から学校に入った際には、昨年10月に作成いたしました性暴力等防止マニュアルにおいて明文化しておりますように、疑いの場合も含め、教職員は管理職に報告し、報告を受けた管理職は教育委員会に報告することになっているため、「発覚」とは、事実確認がなされた時点ではなく、疑いの場合も含めた認知という意味でございます。
以上です。
中田議員
「疑いの場合も含め認知」ということですが、これも管理職から教育委員会に報告されるということ、そもそも不適切指導が発覚するためには、今の御答弁からすると、学校長を含む管理職や教員による不適切な指導があったことが、この方が認識できるかどうかが要になると思われました。
しかしながら、学校長も人間です。管理職が全てを完全に把握できるとは限らず、生徒の認識とずれが生じることもあるでしょう。つまり、生徒が圧を感じるような不適切な指導があるにもかかわらず、教員や管理職を通したときに、そのことが教育委員会に伝わらないということも考えられるわけです。
この場合、生徒や保護者から教育委員会への直接の申出が、教育委員会が事態を把握する唯一の道筋になるということかと思いますが、ここで、生徒・保護者の側が直接の申出をするには、心理的なハードルがあるということは認識しておく必要があると思います。特に、中学校の生徒・保護者の中には、学校で教員に逆らったら内申点が下がってしまうという考えが根強くあります。もちろん、そんなことはありません。ですが、生徒・保護者の中には不安を抱えている人は少なくありません。ですので、何かあったときに訴え出たとしても内申で不利になることはないということは、強く教育委員会としてアピールする必要があると考えます。この点は、配慮していただきたいです。
次の質問です。
昨年配付された文部科学省の通知の中には、不適切な指導等について、体罰と同様に懲戒処分基準に規定している教育委員会もあり、未整備の教育委員会においては、こうした規定を参考に懲戒処分基準を定めることが望ましいと書かれています。こうした他自治体の事例を把握していますか。本町としても検討してはどうでしょうか。
教育こども部長
次に、「他自治体の事例を把握しているか」についてでございます。
市町村立学校で勤務する府費負担教職員の懲戒処分につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第38条の規定に基づき、市町村教育委員会の内申により、教職員の任免を行った都道府県教育委員会において任免その他の進退を行うこととされております。本町学校教職員の懲戒処分は、大阪府が行うものでございますので、当該基準を本町において作成することは、制度上困難であると考えております。
なお、多くの都道府県及び政令指定都市において、職員の不適切な指導を理由とした懲戒規程を独自に設けておられることは認識をいたしております。
以上です。
中田議員
本町には教職員の懲戒処分の権限がなく、大阪府にあるということですね。
では、大阪府は教員の不適切な指導を理由とした懲戒規定を独自に設けているのでしょうか。
教育こども部長
「大阪府における不適切な指導を理由とした懲戒規定」についてのお尋ねでございます。
大阪府におかれましては、職員の懲戒に関する条例において、「児童又は生徒の人権を侵害する発言その他精神的な苦痛を与える言動をすること。」との規定がなされており、不適切な指導により当該規定に該当する言動を行った教員は、懲戒処分となり得ることから、大阪府におかれては、不適切な指導を理由とした懲戒規定は、既に設けられているものと認識いたしております。
以上です。
中田議員
府の職員の懲戒に関する条例で、既に教員の不適切指導に関する懲戒規程があるとのことですね。
例えば、別表24・25のハラスメントに当たるようなものは、教員から児童・生徒への場合に当てはめることができるのでしょうか。
教育こども部長
大阪府の職員の懲戒に関する条例別表第24項及び第25項のハラスメントに関して規定されている非違行為については、職員間での行為を対象としておりますことから、教員から児童・生徒へのハラスメントについては適用されないものと聞き及んでおります。
以上です。
中田議員
分かりました。
この表を見ると、職員に対しては非違行為を繰り返すより強い懲戒になるようですが、教員から生徒へのハラスメントについても、性的なものについては同様ですが、それ以外の体罰や人権侵害に関するものは、繰り返しても必ずしも強い懲戒処分になるとは限らないように見えました。
だからといって、これらの体罰や人権侵害は軽い問題だというわけではなく、性的なものと同様に重い問題であるということは、教育委員会を含め私たち全ての大人が認識しておくべきことだと思います。
質問です。
そうした不適切な指導を行った教員に対する指導及び処分の状況について、不適切な指導をされた側の生徒に、そのことを伝えているのでしょうか。伝えているとしたら、どのように伝えていますか。
教育こども部長
不適切な指導を行った教員への指導及び処分の状況について、「不適切な指導をなされた側の生徒に対して伝えているのか」とのお尋ねでございます。
懲戒処分につきましては、職員の懲戒に関する条例第5条に規定のとおり、原則、公表することとなっておりますが、それ以外の当該教員に対して行われた管理職等からの指導等につきましては、事案の程度も鑑みて、生徒等に指導内容を公開するかどうかを、その都度判断しているところでございます。
伝える、伝えないにかかわらず、不適切な指導を受けた児童・生徒本人の気持ちに寄り添い、できる限りの配慮を行うことで、本人が安心して学校生活を送ることができるよう努めていくことが重要であると考えております。
以上です。
中田議員
分かりました。その辺りの判断は難しいと思いますので、ケース・バイ・ケースというのは、そのとおりだと思います。
別の面から質問です。
指導及び処分に至る過程で、不適切指導をしたとされる教員の側に不服があった場合は、どのように処理するのでしょうか。指導及び処分する側だけが強い権限を持つと、逆に教員の人権が危うくなる可能性もあり、丁寧な対応が求められると思います。不適切事案について、適正に認定される仕組みが必要です。この点、どのようになっていますか。
教育こども部長
不適切事案について、「適正に認定される仕組みの必要性」についてのお尋ねでございます。
不適切指導等の事案が発生した場合は、大阪府教育委員会と連携を図りながら、基本的には、町教委において当事者及び関係者に聞き取り等を行い、事実確認を行います。指導及び処分に至るこの過程で、教員側に不服があった場合については、町教委において申出内容も含めて対応し、最終的に処分の判断を行う大阪府教育委員会に内申いたします。
なお、大阪府教育委員会により不利益処分を受けた教員が、その処分内容に不服がある場合は、地方公務員法第49条の2の規定に基づき、大阪府人事委員会に審査請求を行うことができます。
以上です。
中田議員
不服の申出があれば、当然のことながら対応した上で、処分の判断をする、府教委に伝えるとのことですね。不服がある場合は、処分を決める過程に何らかの問題があった可能性を十分に検討し、不服の解消に努めるべきであることは言うまでもありません。
次です。
教員による不適切な指導については、生徒指導提要に盛り込まれただけでなく、その後、さきにも言及した2023年3月29日の文科省の通知の中にも、「体罰のみならず、教員による児童生徒に対する暴言等の不適切な発言も許されないものであること。いたずらに注意や叱責を繰り返すなど児童生徒を精神的に追い詰めるような指導は、懲戒権の範囲を逸脱した行為としてあってはならない」と書かれています。
本町も、この通知を受け取っていますか。受け取っているのであれば、教員に、この件はどのように周知していますか。
教育こども部長
次に、「文部科学省の通知を受け取っているか」についてでございます。
議員御指摘の令和5年3月29日付、「令和3年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果等に係る留意事項について」と題した文部科学省通知につきましては、同年3月30日付で大阪府教育庁教職員室長から本町に通知され、同日、収受いたしております。
当該通知につきましては、学校教育に対する国民の信頼を確保する観点及び学校教育の更なる充実を実現するための人事行政を実施する観点から公立学校教職員の人事行政を適切に行う上での留意事項となっており、都道府県教育委員会から市区町村教育委員会に周知されたものでございます。
教員への周知につきましては、生徒指導提要が改訂された際に、各校の生徒指導の実践に活用するよう通知するとともに、令和5年2月8日開催の校長会におきましても説明するなど、様々な場面、方法で、再三再四、当該内容に留意した指導に努めるよう周知徹底を図っているところでございます。
以上です。
中田議員
当該内容については、校長会、説明会等、様々な場面、方法で、再三周知しているということですね。
例えば、どういった場所で、誰に対して、どのようにしているのですか。
教育こども部長
「校長会以外の周知」についてのお尋ねでございます。
教員の不適切な指導に関して、教員への周知をどのように行っているかにつきましては、先ほど答弁いたしました校長会における説明を踏まえ、各小・中学校の職員会議等の場において、全ての教職員に対して周知を図っております。また、小・中学校の生活指導担当の教員が集まる生活指導研究協議会の場においても、生徒指導提要の改訂内容に関する情報共有を行っており、この生活指導担当教員からも、各校において周知を行っております。
以上です。
中田議員
校長会経由において、職員会議等で周知している等のことですが、周知方法について、一方的に通知の紙が回ってくるだけであったり、管理職によって天下り的に説明されるだけだったりだと、諸事にまぎれて教員の心に内容がきちんと届かないかもしれません。個々の教員が生徒指導提要に示された具体事例や通知の内容について主体的に触れることができるようになっているのか、一方的な情報伝達のみになっていないか、伺います。
教育こども部長
個々の教員が生徒指導提要に示された具体事例や通知の内容に触れることができるようになっているかとのお尋ねでございます。
生徒指導提要につきましては、各校に対して周知を行った際に、改訂版の生徒指導提要をデジタルテキストとして情報提供しておりますため、各校において、全ての教員が改訂版の内容に触れることができるようになっております。通知につきましても、先ほど答弁いたしましたように市町村教育委員会に対して周知されたものでありますため、個々の教員が直接触れることはありませんが、生徒指導提要に同様の内容について記載がございますため、そちらで内容に触れる機会を提供することができていると考えております。
以上です。
中田議員
一方的な伝達になっていないかどうかをお尋ねしたのですが、通知の内容に触れることができるようになっているというところだけの答えになってしまっていました。
個々の教員にデジタルテキストが提供されているとのことですが、それであれば、私でも誰でも、文部省のウェブサイトからデジタルテキストとして読むことができます。
今は、教育の転換期です。「させる生徒指導」から「支える生徒指導」へ、「主語は子どもたち」という新しい理念について、教員の皆さんには、私ができるものよりもずっと深いところに触れて理解していただきたいと願います。そのためには、一方的に送るだけではない、全ての教員の皆さんが、主体として、この新しい理念の本質を理解できるような直接的な周知の仕方、例えば研修でもよいのですが、そういうものがあるべきではということをお尋ねしました。
さきの議会における福嶋議員の一般質問への答弁で、教育長はこれにも関連する内容として、このように言われています。「一番肝心なのは、それ以前の保育士、教職員の子供への人権感覚、まず、校・園・所長会等においては、再三、生徒指導、人権教育と語る前に、大人が目の前の子供に敬意を持って接していただきたいということを重ねて申し上げました。」と言われました。このお答えには、お考えには、強く共感しているところです。
これに関し、「小・中学校の町人権等も交えて、町全体で保育士・教職員の大人の子供に対する人権感覚育成について、その具体的方策を協議していく」とも言われています。
具体的に、今後、どう取り組んでいくのでしょうか。生徒指導提要が大幅に改訂されて1年の節目に、教育長に伺います。
中村教育長
次に、「教職員の人権感覚の育成」についてでございます。
具体的な取組といたしましては、町立小・中学校の教員で構成しております島本町人権教育研究協議会において、令和4年度より課題別専門部である部落問題学習部、子どもの育ちと進路保障部会、ともに学びともに育つ部会、ジェンダー平等部会を設置し、各分野において専門性の高い学識の方や当事者の方による講演会を開催するとともに、教員が研究授業を行い、その授業後に教員間、時には学識を招いて意見交換を行い、教員の授業力向上、ひいては人権感覚育成に努めているところです。また、生活指導研究協議会において、令和6年度に教員を対象にした生徒指導に関する研修会の実施を予定しており、不適切な指導も含め、自らの指導を振り返る機会を設けたいと考えております。
いずれにいたしましても、大人の子供に対する人権感覚育成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
分かりました。講演会等、不適切指導も含めた生徒指導の研修会もされるとのこと、広く教員の皆さんに伝わりますよう、よろしくお願いいたします。
こうしたことについては、さきに指摘したように管理職の方がどこまでこれを理解し、実践されているかというところも、併せて重要となってくると思うのですが、これに対しての取組はどうなっていますか。
教育こども部長
次に、「学校管理職の子供に対する人権意識とその理解度」についてでございます。
各小・中学校の管理職につきましては、年に一度、大阪府教育センター人権教育研究室による人権教育に関する研修を受講しており、これからの人権教育の在り方や人権教育を柱とした学校づくりについて学んでおります。また、校長会において、学期ごとの綱紀の保持に関する啓発や各校における不祥事防止に向けたワークシート集の活用を指示しており、人権意識の育成や生徒指導の在り方について、改めて認識を深めているところでございます。
以上です。
中田議員
分かりました。よろしくお願いします。
次の質問です。
子供に対する人権感覚の育成や生徒指導提要の改訂と言えば、ちょうど1年前の一般質問で、子供たちの人権と学校のルールを取り上げました。教育委員会として、「各学校長にこの点をしっかりと説明し、校則の在り方等について、認識を共有し、指導助言してまいりたい」とのお答えでしたが、その後、どうなりましたか。
教育こども部長
「子供たちの人権と学校のルール」についてでございます。
令和4年12月に改訂された生徒指導提要に、校則の運用と見直しに関して規定されており、本町といたしましても、各小・中学校における現在の校則の在り方について検討を進める必要があると考え、令和5年4月27日付、島教教第226号において、各小・中学校に対し、校則の運用と見直しについて改めて説明するとともに、学校全体で理解と推進を図るよう指示をいたしました。
各小・中学校において、1年間を通して、教職員と児童・生徒が校則に関する意見を交わしながら、現在、運用している校則の一つ一つについて見直しを図ってきたところでございます。
児童・生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長、発達していくために必要な校則であるかという観点で議論を重ねてきたことにより、今年度においては登校時の髪型や服装、持ち物などの制限についての校則が変更されました。また、校則等に明記されていないルールにつきましても、各小・中学校において、児童・生徒の現状や意見等を踏まえながら、見直しの必要性について具体的な議論を進めているところでございます。
今後につきましても、校則の在り方や見直しに関する取組を継続するとともに、保護者への積極的な発信と共有についても、検討を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
分かりました。生徒指導提要に示されているとおり、校則について、教員の側だけでなく、生徒の皆さんの要望を基に対話を重ねて、見直しをしたとのことですね。
これについては、二中の学校だよりを拝見させていただきました。髪型については、染めることとか脱色、パーマ、整髪料の使用はこれまでどおり禁止だけれども、それ以外の制限はなくなったということでした。また、各小・中学校においては、校則等に明記されていないルールについても具体的な議論が進んでいるとのこと、引き続き教育委員会として、この件についてもリーダーシップを発揮していただきたいです。よろしくお願いします。
次です。
教員による不適切な指導を受けたとき、された側である子供が自分を責めるのではなく、適切な対処を取るためには、どういったことが不適切な指導に当たるのかという知識を、子供たち自身が身につけておくことが重要と考えます。例えば、生徒指導提要で示されている不適切な指導の具体例には、以下のような記載がされています。
大声で怒鳴る、ものを叩く・投げる等の威圧的、感情的な言動の指導。児童生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なままで思い込みでする指導。児童生徒が著しく不安感や圧迫感を感じる場所での指導。児童生徒の尊厳やプライバシーを損なうような指導。それから、他の児童生徒に連帯責任を負わせることで、本人に必要以上の負担感や罪悪感を与える指導。
こうした内容が示されていますが、こうした内容は、子供や保護者に知らされているのでしょうか。伺います。
教育こども部長
次に、「不適切な指導の具体例の周知」についてでございます。
教員による不適切な指導等の内容につきましては、綱紀の保持に関する説明と併せて、各学校において、管理職から全ての教職員に対し周知徹底に努めてまいりましたが、保護者や児童・生徒に対して周知する機会については設けていないというのが現状でございます。
保護者や児童・生徒本人が、どういったことが不適切な指導に当たるのかという知識を身につけることは重要であるとの認識に立ち、今後、児童・生徒に対して、教員の不適切な指導に関する定期的なアンケートを実施することなどを通して、児童・生徒が知識を身につけるとともに、事象の早期発見、対応にもつなげていきたいと考えております。
以上です。
中田議員
今、不適切指導等に関することについて、定期的なアンケートを行うということを言われましたが、具体的にどういったものを想定しているのか、伺います。
教育こども部長
「不適切指導に関する定期的なアンケート」についてのお尋ねでございます。
具体的には、先ほど御説明いたしました教職員等による児童生徒への性暴力防止マニュアルにおいて、児童・生徒に対して、ハラスメントに係るアンケートを実施することを明記しており、このアンケートを実施することで、教員の不適切な指導の把握につなげることを想定しております。
以上です。
中田議員
定期的なアンケート等をすることが、どういったことが不適切指導に当たるのかという知識を生徒や保護者が身につけることには、直接はつながらないように思います。アンケートを通じて周知するというのは間接的な手法に思えるのですが、もっと直接的な方法があるのではないでしょうか。伺います。
教育こども部長
教員の不適切指導に対する再度のお尋ねでございます。
定期的に実施するハラスメントに係るアンケートでは、教員からの暴言や暴力に関する項目はもちろん、「不安な気持ちになるようなことを言われた」や「怖さを感じる態度」等について確認することで、児童・生徒一人一人がどのように受け止めたかを尊重するとともに、児童・生徒が、どのような指導が不適切な指導に当たるのかについて気づくことができるようにいたしております。
また、項目の中には具体的な例を補足説明として記載しているものもあり、児童・生徒が理解しやすいように配慮するとともに、保護者との理解共有につきましても、アンケートの実施について周知を行うことから、よりよい方策を検討してまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
分かりました。
確かに具体的な例を記載しているものも、そのアンケートの中にはあり、ここは大変良いところだとは思いますが、生徒指導提要で記載された先ほどの事例を網羅したものにはなっていないように思いました。
また、あくまでアンケートというのは、生徒にとっては受動的にやらされているもので、そういうところから気づきが生じるというのは、あまり期待できないのではないでしょうか。それよりも、生徒指導提要に示された具体例を生徒や保護者に直接周知する機会を設ければ、不適切なことが起こったときに、生徒自身がそのことを認知しやすくなり、より効果的と思います。この点、いかがでしょうか。
教育こども部長
次に、「アンケートの実施時期」についてでございますが、アンケートは、子供たちにとって受動的なものであるとの御指摘につきましては、そういう側面もあるかと思いますが、子供たちからの発信を待つのではなく、学校から生徒への寄り添う対応の方策の1つであり、一定の効果はあるものと考えております。
実施時期につきましては、子供たちへの啓発も兼ねて1学期に実施し、早期発見だけでなく、未然防止にも努めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、近隣他市を見ても先進的な取組として、令和6年度からスタートするものでございますので、実施しながら、課題が出てまいりましたら、実施時期も含めて、さらに良い取組となるよう、その都度見直しを図ってまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
分かりました。アンケートだけでなく、その前に、その実施目的や子供の権利について丁寧に説明するということですね。では、その中ではぜひ、生徒指導提要に具体例として記載された全ての事例を示し、伝えていただけたらと思います。
というのも、ここに示された具体例は、親世代が子供だった頃、もっと言えば、つい最近、5~6年前、私が保護者だった頃であっても、ごく普通に生徒指導として称して行われてきた内容だからです。せっかく生徒が声を上げたとしても、大したことではないと保護者や大人の側から否定されれば、それで声は封殺されます。そうならないよう、子供たちが自分の権利を守ることができるよう、ぜひ、具体的事例を分かりやすく提示していただきたいです。
アンケートについては、年に1回、1学期にするということですね、分かりました。
次の質問です。4番目の質問です。
教員による不適切な指導を想定した相談先の確保、調査や再発防止の検討ができる仕組みについて、伺います。
こういったものを整備する必要があると考えますが、どうでしょうか。
教育こども部長
次に、「相談先の確保、再発防止等の仕組み」についてでございます。
まず、「相談先の確保」につきましては、教員による不適切な指導の早期発見、早期対応を行うために、町立小学校及び中学校において、学級担任だけでなく複数の教員が児童・生徒一人一人と関わることができる体制づくりや、児童・生徒が必要と感じたときにスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに相談することができるよう、相談方法等の周知にも努めております。
また、大阪府教育庁が開設している、困ったときに児童・生徒本人から相談ができるLINE相談については、児童・生徒一人一人に対して、相談先が書かれたLINE相談カードを配付しており、悩みや不安を直接話すことができなくても、ラインを送ることで相談することができるものでございます。
また、「調査等の仕組みの整備」につきましては、令和5年10月に策定いたしました教職員等による児童生徒等への性暴力等防止マニュアルに基づき、研修の実施等を通じた指導の徹底を図るとともに、各校における児童・生徒への指導と併せたアンケートの実施等により、未然防止や早期発見につなげる必要があるものと考えております。
いずれにいたしましても、児童・生徒の不安や悩みにいち早く気づき、一人一人に寄り添った対応を行うことができるよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
学校の教員に相談する体制づくりをされていると言われましたが、それがたとえ――先ほど複数人と言われましたが――複数人の対応であったとしても、相談する側の生徒・児童からすると、先生同士がつながっているのではないか、成績に影響するのではないかと言い出しにくいものだと思います。また、教員の側の仲間意識や組織防衛心理で、管理職が伝えなかったりとか、教員と管理職の双方が不適切指導と認識できなかったり、または、管理職本人が対象だった場合、声を上げたとして、そこで問題が顕在化しないと生徒が感じることはあると思います。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーはというと、相談に乗ってくれるものの、問題解決に向けた権限があるかというと、そうでもないように思えます。
こうした相談窓口は、学校の外に設置することが重要と考えます。例えば、尼崎市には、学校外に子どものための権利擁護委員会があり、相談のための組織を作っています。ここでは弁護士や心理士、子供の専門家が対応しますし、緊急時以外は子供の同意なく学校や保護者などに連絡をせず、子供の秘密が守られる仕組みを作っています。また、勧告や提言をする権限もあります。小金井市にも、同様の学校外の組織として子どもの権利救済機関があり、弁護士や大学教授が子供の権利の保障のために第三者機関として対応してくれます。
本町でも、相談機関として、学校の外に機関を設置してはいかがでしょうか。
教育こども部長
「不適切な指導に対して外部機関の活用」についてでございます。
本町で、現在生徒等が活用できる外部機関につきましては、教育センターで実施しております教育相談、大阪府教育庁が実施しておりますラインを活用した相談、また教育推進課への申出等がございます。
生徒等や保護者が活用できる相談機関の拡充につきましては、その選択肢が多いほうがよいことは言うまでもありません。今後、近隣他市の状況を踏まえ、現状のニーズに合致した体制について調査・研究してまいりたいと考えております。
中田議員
今、言われました中では、大阪府のラインは分かりませんが、外部機関と言いつつ教育センターも教育推進課も、結局は学校の関係者です。相談先は「学校」という文化と切り離された、例えば、さきの事例のような弁護士などがよいと思います。そうすれば、真に子供にとっては安心して相談ができる窓口になると考えます。この件は、検討していただきたいと思います。
次の質問です。
1点、確認ですが、大阪府教育庁のLINE相談へは、島本町からどれぐらいの相談があるのか、教育委員会として把握していますか。把握しているのであれば、年間何件でしょうか。
教育こども部長
大阪府教育庁が開設しているLINE相談への「島本町の児童生徒からの相談状況」についてでございます。
相談者の意思を尊重する観点から、原則として、具体的な相談の件数や内容等について大阪府教育庁から情報が提供されることはございません。しかしながら、相談者本人が希望したことにより、情報が共有され、対応の方法を検討するに至ったケースが、本年度は1件ございました。
1人でも多くの児童・生徒の悩みや不安に寄り添い、救うことができるよう、各校において具体的な支援に努めるとともに、LINE相談をはじめとした様々な相談窓口に関する情報提供についても、引き続き行ってまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
今年度は、少なくとも1件の活用実績があるということですね。
ラインというのは、今どきの児童・生徒にとっては使いやすいツールかと思います。これはこれでよいとは思うのですが、一方で、大阪府となると、ちょっと相談先として遠いというか、真剣に対応してくれるのだろうかと不安に感じてもしまいそうです。適度な距離内に、学校文化と切り離された形で、外部の相談機関があるということがよいように思います。検討をよろしくお願いしたいと思います。
次の質問です。
こうした教員による不適切な指導を見直していくためには、先生たちの過重な労働状況を改善していく必要があると考えます。この点、どのようにお考えですか。
教育こども部長
次に、「教職員の労働状況の改善」についてでございます。
本町におきましては、これまで学校における労働状況の改善といたしまして、週1回のノー残業デーや夏季・冬季休業期間中における学校閉庁日の実施といった取組のほか、平成30年度には各校にタイムカードを導入して、学校長等が教員の出退勤時間や残業時間を的確に把握できるようにしてまいりました。また、留守番電話を導入して、夜間・休日の業務時間外における教員の保護者対応に係る負担軽減を図ったほか、中学校につきましては、平成31年3月に策定した本町の部活動ガイドラインに基づき、所定の休養日を設定した上で部活動を実施することにより、部活動に伴う教員の長時間労働の縮減に努めました。
さらに、令和4年度当初には、国が推進する学校給食費の公会計化を実施し、給食費の徴収管理にかかる学校現場の負担軽減も図るなど、本町におきましても、教員の長時間労働縮減に向けて、様々な取組の推進に努めてきたところでございます。
しかしながら、その一方で、ここ数年、小・中学校の現場では、慢性的な人手不足の状況にある中、国の教育施策、その他教育環境を取り巻く社会情勢の動向や社会的要請により、学校現場に次から次へと新たな業務負担が生じている状況にあることから、総合的に見ますと、目覚ましい長時間労働の縮減がなされたとは言い難い状況にございます。
このような現状を踏まえまして、本町では、教員の長時間労働縮減をより一層推し進めていくため、府内でも8割以上の公立学校で導入されている統合型校務支援システムの構築に向け、作業を進めているところでございます。また、この統合型校務支援システムには、現在、町職員が使用しているのと同様の出退勤システムの機能を付け加える予定としております。本システムの運用が開始されますと、現在、学校の校務業務に関して紙帳票に手書きで、またはエクセル等のソフトを学校独自に用いて行っている事務作業をシステム上で処理できるようになり、事務の処理能力の向上及び効率化が図れるようになるものでございます。
いずれにいたしましても、本町といたしましては、今後も引き続き、教員の長時間労働の縮減に向けて、鋭意努めてまいりたいと考えております。
以上です。
中田議員
今、詳細に教員の働き方改革の進捗状況をお答えいただきました。それから、長時間労働の縮減に向けて努めてまいるということも言われましたが、それは当然していただきたいのですが、それを聞いているわけではなく、不適切な指導をなくすためには、教員の側に余裕が必要で、そのためにも教員の働き方改革を進めるべきということを指摘しています。
昨日の読売新聞の一面は、「学校死亡事故 7割未報告」という見出しの記事でしたが、記事の中では、報告漏れの要因の1つに、多忙な学校現場の指針への理解の不十分さというものが挙げられていました。
このように、今、言われましたように新たにマニュアルや方針が示されとしても、それを十分に理解するための時間的余裕が教員の側になければ、それを生かすことはできません。それどころか、間違った認識の下に進めると、余計にこじれるということもあるかと思います。
この観点からも、教員の働き方改革を進めていくべきだということ、この視点をお持ちかどうか、再度伺います。
教育こども部長
先ほど御答弁させていただきました教員の長時間労働の縮減に向けた様々な取組を通して教員の労働状況を改善することにより、教員の時間的・精神的余裕が生まれることから、種々の課題解決により丁寧に取り組むことで、不適切な指導の抑制につながるものと認識いたしております。
以上です。
清水議長 持ち時間、少ないです。
中田議員
分かりました。教員の長時間労働の縮減が、不適切な指導の抑制にもつながるということは認識しているということですが、この点にも注目して進めていただきたいと思います。
最後の質問です。
ここまでのやりとりで、教員による児童・生徒への不適切な指導をなくすという観点から、教える大人の側の子供に対する人権感覚育成については、一定取組が進められていると感じましたが、権利主体である子供の側の権利意識の醸成、相談窓口などのサポートについては、もう一歩踏み込んだ取組が必要ではないかと考えました。
この点、最後に教育長の見解を伺います。
中村教育長
「子供の側の権利意識の醸成、サポートについての取組」についてでございます。
町内の小・中学校では、教科では主に社会科において、子どもの権利条約の内容について学習し、ほかにも道徳や総合的な学習の時間等において、子供の側の権利に基づき、自分らしく生きることの重要性や、自由に意見を述べることの重要性等について学んでおります。いずれにいたしましても、今後も子供たちの意見を反映した校内での取組を推進し、子供の側の権利意識の醸成に努めてまいりたいと考えております。
また、大人の側から子供に対する人権意識の育成についても、さらなる向上に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
自分が保護者だったときの経験からも、小学校においては、おおむね適切で丁寧な対応がなされていると感じますが、中学校に入って一転、生徒指導と称して、子供の権利を侵害するような指導が一部行われていることを、これまでも複数、見聞きしてきました。
こうしたことがきっかけで不登校になり、学校から離れた後も、長きにわたりトラウマになるほどの後遺症が残る事例もあります。生徒指導提要に教員による不適切な指導の具体例が示されたことを機に、改めて、このようなことが二度と起こらないよう、取組を進めていっていただきたいと思います。
以上です。