2021/3 ①おいしい水道水をいつまでもー持続可能な水道運営ー②ゼロカーボンシティ宣言を!
- みどり 中田
- 2021年3月19日
- 読了時間: 22分
更新日:1月20日
中田議員
2021年3月の一般質問を行います。
「おいしい水道水をいつまでも――持続可能な水道運営について――」です。
自己水として地下水を主な水源とした水道運営を続けることは、島本町のアイデンティティを保つ上で大変重要です。これをできるだけ長く維持していくべきと考えます。そこで、持続可能な水道運営について、伺います。
大阪広域水道企業団との統合について、現時点で、大阪広域水道企業団と統合する考えはありますか。
上下水道部長
それでは、中田議員からの一般質問に、順次御答弁申し上げます。
まず、水道運営に関する御質問のうち、「現時点で、大阪広域水道企業団と統合する考えはあるのか」についてでございます。
現時点では、大阪広域水道企業団と統合する考えはございません。
以上でございます。
中田議員
現時点で、大阪広域水道企業団と統合する考えはない、ということですね。はっきりお答えくださいました。
「統合」という言葉が分かりにくいですが、言い換えると、どうなるのでしょうか。
上下水道部長
「統合とは」ですが、「本町の水道事業が廃止され、大阪広域水道企業団が事業継承することになる」ということでございます。
以上でございます。
中田議員
「統合」という言葉は、「本町の水道事業が廃止され、大阪広域水道企業団が事業継承すること」ということです。つまり、「現時点では、町営水道を廃止して企業団に事業継承する考えはない」ということでしょうか。
上下水道部長
議員お見込みのとおりでございます。
以上でございます。
中田議員
令和元年10月の水道法の改正がありました。この改正の柱は何だったでしょうか。
上下水道部長
今回の水道法の改正におきましては、人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るための措置として、「関係者の責務の明確化」、「広域連携の推進」、「適切な資産管理の推進」、「官民連携の推進」及び「指定給水装置工事事業者制度の改善」について定められております。
中でも、「関係者の責務の明確化」においては、「国、都道府県及び市町村は水道の基盤の強化に関する施策を策定し、推進又は実施するよう努めなければならないこと」、「都道府県は水道事業者等(水道事業者又は水道用水供給事業者をいう。)の間の広域的な連携を推進するよう努めなければならないこと」、「水道事業者等はその事業の基盤の強化に努めなければならないこと」とされております。
「広域連携の推進」においては、「国は広域連携の推進を含む水道の基盤を強化するための基本方針を定めること」、「都道府県は基本方針に基づき、関係市町村及び水道事業者等の同意を得て、水道基盤強化計画を定めることができること」、「都道府県は、広域連携を推進するため、関係市町村及び水道事業者等を構成員とする協議会を設けることができること」とされております。
「官民連携の推進」においては、「地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組みを導入する」とされております。
以上でございます。
中田議員
改正の柱について、詳しく御説明いただきました。中でも3つ、「関係者の責務の明確化」と「広域連携の推進」、「官民連携の推進」のことをお答えいただきました。
これによると、「関係者の責務の明確化」においては、「都道府県は水道基盤の強化に関する施策を策定し、推進又は実施するように努めなくてはいけない」と、「広域連携の推進」においては、「水道基盤強化計画を定めることができて、また、協議会を設けることができる」というふうになっています。
水道法のこの改正の動きを受けて、府はどのように動きは変化しているのでしょうか。
上下水道部長
「大阪府の動向について」でございますが、平成30年8月に設置された大阪府と府内の全水道事業体が参画する「府域一水道に向けた水道のあり方協議会」を活用し、令和2年3月に「府域一水道に向けた水道のあり方に関する検討報告書」を取りまとめ、公表されたところでございます。
なお、大阪府では、同報告書を「水道広域化推進プラン」として位置づけられておられます。
以上でございます。
中田議員
水道法改正により、昨年度、大阪市も含めた府全体の「水道広域化推進プラン」が作成されたということと理解しました。
また、先ほど御説明いただいた「水道法」改正の官民連携の部分、水道公共施設において、民間が運営主体となり得るという御説明があったと思いますが、水道民営化という点、マスコミでも大々的に取り上げられたわけですが、大阪府の水道民営化の考え方について、大阪府や企業団として民営化に向けた計画は進んでいますか。
上下水道部長
現時点におきましては、「民営化は考えていない」と聞き及んでおるところでございます。
以上でございます。
中田議員
府や企業団は、「現時点で民営化は考えていない」ということですね。
上水道の民営化については、法律上可能になったものの、実際には世界の流れを見ると、大変難しい状況にあると考えます。例えば、ヨーロッパでは、水道の民営化によって料金の高騰などの問題が山積し、再び公営化する自治体が急増しています。こういった世界の流れに水道法の改正は逆行するものであり、日本は、ここから大いに学ぶべきです。
ということで、以下のことが今までの質問で確認されました。水道法改正により、上水道事業の民営化が可能になりましたが、現時点では、府や企業団は民営化を考えていないということ。国全体で水道基盤強化のために広域化が進んでおり、府が水道事業の広域連携の推進に努めなければならなくなったことにより、府としてもそれを受け、昨年度「水道広域化推進プラン」を作ったということ。また、こういった大きな流れがある中で、島本町は現時点で統合する、つまり町営水道を廃止して大阪広域水道企業団に事業継承する考えがない、ということが分かりました……(「そんな質問では駄目だ」と議場外から発言あり)……。
次の質問に移ります。
冒頭でも言ったとおり、地下水をメインの水源とした町営水道は町民の誇りです。できるだけ長く地下水をメインとした町営水道を維持することが望ましいと考えます。
そこで、地下水を主な水源とした持続可能な水道運営について問います。維持のための課題は何ですか……(「そんな質問は駄目よ」と議場外から発言あり)……。
上下水道部長
次に、地下水を主な水源とした水道運営について、「維持のための課題は何か」についてでございます。
本町の自己水は、地下水を水源としていることから、毎年、深井戸揚水試験を実施し、各井戸の適正揚水量を把握し、日常のくみ上げ量として取水を行っており、日頃から井戸の適正な維持管理に努めておるところでございます。
課題といたしましては、地下水を水源としていることから、枯渇による影響や水質汚染などの影響を受けることが懸念されるところでございます。
以上でございます。
村上議長 傍聴席の方は、御発言を控えてください。
中田議員
地下水を主な水源とした本町の水道運営の課題として、枯渇による影響や水質汚染などが影響することがあるとのことでした。特に枯渇による影響の懸念を払拭する方策として、森林整備にもっと積極的に努めていただきたいです。地下水を育むのは森林です。森は水を蓄える働きをします。
持続的な水供給に向けた森林管理による水資源涵養の向上のため、町面積の7割を占める森林の保全整備は大変重要です。全庁的な課題として取り組んではいかがでしょうか。
上下水道部長
地下水涵養のための森林整備に努めることは有益であると認識をしておりますが、全庁的な取組においては、森林整備を進める上での課題を整理し、長期的な視点で、大阪府など関係機関と連携しながら、計画的に進めていく必要があるものと認識をしております。
以上でございます。
中田議員
ぜひ積極的に進めていっていただきたいと思います。
森林は水を蓄える働きだけでなく、気候危機対策としての二酸化炭素の吸収源としても重要ですし、生物多様性の保全、土砂災害の防止、自然とのふれあいの場の提供、大気浄化など、極めて多くの機能を有しています。町面積の7割を占める森林の手入れは、町の魅力を高め、私たち住民の生活の質の向上にも大きく寄与します。
島本町は、市街地のすぐ近くに山があります。町民は日常的に、家から歩いてハイキングに行くことができます。私もこどもたちと山歩きをし、市街地では見られない植物や動物を見たり、水無瀬川に合流する前の小さな支流を見たり、この島本町に住んでいるからこそ、身近で自然に親しみ、豊かな時間を過ごすことができています。一方で、手入れが行き届かない鬱蒼とした森林も目の当たりにしており、ここを何とかしたいという思いも抱いています。「水の安心」も含めて、総合的に町の魅力を高めるため、森林整備を積極的に行っていただきたいです。
次の質問です。
「技術職員の課題」について、現状、技術職員は2名、それで水道事業を回していけるのでしょうか。
上下水道部長
水道運営基盤を維持するためには、職員の確保、特に技術職員の確保と技術の継承が不可欠であると認識をしております。現状では2名の技術職員を配置しておりますが、職員の増員につきましては、定数管理を所管している人事課との調整が必要となるため、水道運営を維持するためにも、引き続き調整していきたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
2名で回していけるのかどうか、ちょっとはっきりしないお答えではあったんですが、「技術の継承の課題」について問います。
現状、2名の技術職員は45歳以上の方が2名、平均年齢が48歳です。技術の継承には時間がかかります。地下水をメインとした町営水道の継続は多くの住民が願うところです。維持のために、長期的な視点も踏まえ、年齢構成も考えた技術職員の配置が必須と考えますが、いかがですか。
上下水道部長
技術の継承につきましては、これまで経験豊富な再任用職員の指導により対応してきたところでございます。人材の育成や技術の継承には時間を要することから、技術職員の配置につきましては、年齢構成に配慮する必要があるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
若手職員の育成には時間がかかることと思います。配属されて、技術職員というのはなかなかすぐに力が発揮できるものではないと思います。人事部におかれましては、若手技術職員を、ぜひ水道事業に優先的に配置していただきたいと思います。長期的な視点を持って、よろしくお願いいたします。
「水道事業ビジョン(案)」には、令和15年までの13年間の計画が示されています。地下水90%で町営水道として少なくとも今後13年間はやっていけるということと理解してよろしいでしょうか。
上下水道部長
パブリックコメントでお示しをしました「水道事業ビジョン(案)」における投資財政シミュレーションの結果などから、計画期間内は自己水源として地下水90%を維持しながら、単独での経営が可能な状況にあるものと認識をしております。
以上でございます。
中田議員
維持管理の課題について、この試算は維持管理費込みでしょうか。当面は現状の水道料金でやっていけるということですか。
上下水道部長
パブリックコメントでお示しをしました「水道事業ビジョン(案)」におきましては、維持管理費については、井戸の揚水試験費など、自己水源として地下水90%を維持することを前提として試算しており、投資財政シミュレーションの結果から、計画期間内は現行の水道料金体系を維持できるものと認識をしております。
以上でございます。
中田議員
計画期間内である13年間は、現行の水道料金を維持して町営水道でやっていけるということ、安心しました。
その後はどうでしょうか。どういった課題が予想されていますか。
上下水道部長
「今後の課題について」でございますが、主なものとして、浄水施設や送水施設における機械電気設備の更新などが挙げられますが、次期「水道事業ビジョン」策定時に、より明確になるものと思料しており、改めて投資財政シミュレーションを実施し、今後の経営状況や料金改定の動向などを見通すことが必要になるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
水道の運営がどういう状況にあるのか、なかなか住民に伝わっていないと感じることがあります。日頃から広く住民の理解を得ることは重要です。「水道事業ビジョン」アンケートの自由記入欄――1年ほど前に出ていましたが、アンケートの結果ですね。自由記入欄は、何名から何件、どういった意見がありましたか。
上下水道部長
今回、「水道事業ビジョン」を策定するにあたりまして、住民アンケートを実施させていただいたところでございます。アンケートの自由意見につきましては、388名の方からいただき、1名の方からも複数の自由な意見を頂戴いたしましたことから、総件数といたしましては464件になってございます。また、自由意見を集約させていただくため、水質や料金など7項目に集計をさせていただいております。
内訳でございますが、水源について10件、水質について47件、料金が37件、お客様サービス――要望・改善や情報提供などが213件、経営――水道事業の存続・企業団水の反対が87件、施設整備・災害時の対応が33件、その他37件となってございます。
以上でございます。
中田議員
自由意見欄に388名からも意見が寄せられて、大変分厚い内容で、住民の水に対する関心の高さが表れていると思います。このたくさん寄せられた様々な意見の中で、反映できた部分はありますか。
上下水道部長
「島本町水道事業ビジョン」策定のためのアンケート調査において、寄せられた意見は様々でございましたが、一つには、クレジットカード払いができないのかといった御要望がございました。クレジットカード払いにつきましては、毎年の水道使用届の際にも多くの方から問い合わせをいただいておりましたことから、既に電算システム改修を終了しておりますが、代行業者の都合により実施しておりませんでした。今回、代行業者が見つかったこと、アンケート調査で寄せられた意見など、改めて住民の皆様からの御要望が多いことを踏まえ、来年度予算にクレジットカード決済システム導入にかかる費用を計上させていただいております。
以上でございます。
中田議員
いただいた意見の中には、水道事業について誤解されている内容もあったと思います。例えば、アンケートでは「水道料金がかなり高い」といった印象をお持ちの方もまだおられました。実態は、例えば2018年度のそれ――20立法メートルですか――の中では、府内平均が2,859円と、島本町と同じ料金です。また、府内平均の料金が全国平均と比べて約2割も安いということを踏まえれば、島本町の水道料金は高いどころか、全国平均よりも2割も安いということになります。向こう13年は現行の水道料金を維持したままやっていけるとしても、その後に料金値上げを検討するとなった場合に、住民の方が「今でも高いのにさらに値上げ」と思うのか、そうでないのかで、それを受入れるか、入れないかの決断を迫られたときの判断が大きく違ってきます。
水道料金や仕組み、運営などについて、正しく住民の方に理解していただくことが、持続可能な水道運営につながると考えます。自由記入欄のアンケートに答える形で――今回、たくさん寄せられた意見ですね――広報誌や掲示板、ラインなどの媒体を活用して、住民の皆さんに水道事業の情報の発信をしてはいかがでしょうか。
上下水道部長
「水道事業ビジョン」策定のためのアンケート調査での自由記入欄には、様々なことを書いていただけたものと考えております。中には、「白いカルシウムみたいなものが食器に付く」など、日常生活において気がついたことなども記載していただいております。水は日常生活になくてはならないものであり、身近な存在であると考えております。
毎年、水道週間にあわせて広報を行っておりますが、それだけではなく、今回の自由記入欄の内容を踏まえ、水道事業の情報発信に努めていきたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
前向きな御答弁いただきました。ぜひ、住民の声に応える形で情報発信に努めていただきたいと思います。
人口減少による収益減少や施設の老朽化による更新費用の増加等の課題は、どこの自治体も持つ懸念事項です。これに対しては、山田町政が取り組んできた住民との対話をより盛んにしていくことで、コンパクトさをスケールメリットにして、「水」というものをもっと住民の方々が理解し、考えられるようにしていっていただきたいと思います。
水道の一元化という大きな流れの中で、島本町としては、現時点では統合の考えがないということで安心しましたが、命を支える水を地域で守るために、情報発信に努め、技術職員の配置などの課題を後回しにすることなく、地下水を主な水源とした持続可能な町営水道に取り組んでいっていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
「ゼロカーボンシティ宣言を!」です。近年、地球温暖化が原因とされる気候変動は、世界各国に集中豪雨や干ばつ、熱波や山火事などの自然災害を頻発させ、毎年のように多数の死者を出したり、農作物に甚大な被害をもたらしたりしています。これは「気候危機」と言うべき状況です。
このような中で、島本町として、地球温暖化対策における世界情勢をどのように把握されていますか。
都市創造部長
続きまして、「ゼロカーボンシティ」に関する御質問に、御答弁申し上げます。
まず、「地球温暖化対策に関する世界情勢の把握について」でございます。
平成28年に発効されたパリ協定により世界共通の長期目標が定められて以降、各国で温室効果ガス排出量の削減目標が示されております。しかしながら、現状の削減目標ではパリ協定での目標達成には不十分であることから、削減目標の見直しが求められている状況にあると認識しております。
以上でございます。
中田議員
今、言われたパリ協定における「世界共通の長期目標」とは、どのようなものですか。
都市創造部長
パリ協定における「世界共通の長期目標について」でございます。
パリ協定におきましては、世界の気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をする。そのため、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスを取ることが、世界共通の長期目標として盛り込まれたものでございます。
中田議員
パリ協定は、気温上昇を産業革命以前に比べて2度未満に抑えることを目指し、可能なら1.5度に抑えるという努力目標を掲げているということです。
産業革命前から比較して、既に1度上昇している状況で、この「気候変動リスクをどのように認識」されていますか。
都市創造部長
現状の削減目標での「気候変動のリスクなどについて」でございます。
国連の専門機関である世界気象機関が設立したIPCC――気候変動に関する政府間パネルによりますと、現状の削減目標での気温上昇の見込みとして、2017年時点で世界の気温上昇は、産業革命前から1度上昇しており、現在の進行速度で増加し続けると、2030年から2052年の間に1.5度に達する可能性が高いと報告されております。
また、この気象変動による影響といたしましては、ここ数十年、水資源への影響、陸域淡水・海洋生物の生息域の変化等、農作物への影響があり、熱波や干ばつ、洪水、台風、山火事等、近年の気象と気候の極端現象による影響は、生態系や人類に対して著しい脆弱性や曝露を与えていると報告されております。
中田議員
分かりました。
今の話、産業革命前に比べて、既に世界の平均気温は約1度上昇していて、現在のペースで排出量が増加し続けると、2030年から52年の間にそれが1.5度に達する見込みということですね。
IPCCを引用されて、気象と気候の極端現象による現状の影響について紹介していただきましたが、IPCCの1.5度特別報告書からさらに補足すると、1.5度の上昇で現在よりもかなりの悪影響が予測され、さらに1.5度と2度の上昇の場合には、影響に相当程度の違いがあり、1.5度のほうが安全であることが明らかになったとされています。また、1.5度に抑えることは可能だが、前例のないスケールで社会システムの移行が必要と、そういうことになっています。
さて、その「パリ協定以降の国内の状況の変化」については、どうなっているでしょうか。
都市創造部長
日本におけるパリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標といたしましては、平成28年5月に策定された「地球温暖化対策計画」の中で、「2030年度に温室効果ガスを26%削減する」としておりましたが、昨年10月26日に菅首相が所信表明演説の中で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを宣言いたしました。
また、地方自治体におきましては、2月17日現在で、都道府県では大阪府を含む30都道府県が、市区町村は235自治体が、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」を行っております。
以上でございます。
中田議員
まず、日本の削減目標は、2050年までに実質ゼロになったとのこと。パリ協定の1.5度目標を達成するためには、2050年までに実質排出ゼロですので、日本もようやく足並みが揃ったということ、これはまずは歓迎するものです。
また、地方自治体の状況ですが、一昨年の秋に1自治体が宣言してから、この1年半に、今は足すと265自治体と言いましたが、289自治体にまで増えました。これは2月17日の値を言っていただきましたが、この2週間も経たないうちに、また24自治体増えています、2月26日までで。相当な勢いで増えていると感じています。
ゼロカーボンシティ、「近隣市町村の取組状況」はいかがでしょうか。
都市創造部長
「近隣市町村の取組状況について」でございます。
大阪府内では、同じく2月17日現在で、大阪市など7市が「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」されており、直近では、2月10日に吹田市と豊中市が「気候非常事態共同宣言」を行っておられます。
中田議員
一昨年、2019年12月の中田の一般質問では、この件に関して
山田町長
は、こういった宣言について「本町としてはアーリーアダプターとなれるように、温室効果ガスの排出抑制策についてもしっかりと検討し、可能なものから常にできるだけ早期に取り組んでまいりたい」とおっしゃっておられましたが、島本町としてゼロカーボンシティ宣言に向けて、どのように取り組むべきと考えておられますか。
都市創造部長
次に、「町としての考え方について」でございます。
町といたしましても、気候変動・気候危機に対する取組の必要性は十分認識いたしております。なお、町が宣言をする場合には、行政のみならず、議員各位をはじめ住民の皆様と一体となって進める必要があると考えております。このことから、まずは、現在の取り巻く状況や取組の必要性に関する周知活動を進めさせていただき、一定のご理解をいただきながら、具体的な取組について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
住民の皆様と一体となって進めるとのことですが、地球温暖化対策に関して、住民の関心度が分かる一例として、昨年10月に開催された町の環境保全審議会において、大阪府から出席された委員の方から、「大阪府が実施した太陽光パネル等の共同調達事業に関し、多くの島本町民の方の参加があった」との発言がありました。どのような実績でしたでしょうか。
都市創造部長
「大阪府の事業への参加状況」でございます。
令和2年度に大阪府では、「みんなのおうちに太陽光」と称した太陽光パネル等の共同購入支援事業が実施されたところであり、本町といたしましても広報誌への掲載や自治会回覧など、積極的な周知協力を行ったところでございます。その結果、参加登録者の割合を自治体間で比較した結果として、世帯数での割合や、1戸建て持ち家での割合が府内で最高値となるなど、多くの住民の皆様に御参加いただいたものでございます。
中田議員
府内で、割合が最高値になったということですね。
町民としての関心度が高いということの一例でしたが、町全体で見たときには、産業や家庭から排出される量のほうが二酸化炭素、地球温暖化ガスのほうが、事務事業で把握されている町の排出よりもずっと多いです。町の事務事業で把握している排出量は、島本町全体の1割弱でしかありません。家庭や産業向けの啓発、COOL CHOICEによる啓発はされていると思いますが、啓発以外の具体的な取組も急務です。こちらもあわせて、ゼロカーボンに向けて早急に取り組んでいただきたいと思います。
次の質問です。
島本町としても、ゼロカーボン宣言をすべきと考えます。取り組む際の「町としての課題」は何でしょうか。
都市創造部長
次に、「町が取り組む際の課題について」でございます。
本町における大きな課題といたしましては、まずは、町の事務事業で発生する二酸化炭素の約半分を占める清掃工場があげられます。清掃工場につきましては、ごみ焼却によるエネルギーを発電や熱利用といった転換ができず、また老朽化しておりますことから、この在り方が地球温暖化対策の観点からも大きな課題であり、より効率的な処理方法について取り組む必要があるものと考えております。
また、その他の課題といたしましては、環境に配慮した取組を行う際の財政的負担がございます。短期的な視点や地理的に限定した条件においては、環境に配慮した取組を行う場合、コストが割高になる可能性が高くなります。このことから、町全体において取組を普及させるためには、長期的かつグローバルな視点に立った上で、一丸となって推進していく必要があるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
「一丸となって推進していく必要がある」と力強い、前向きな御答弁をいただきました。この点、ぜひ頑張っていただきたいと思います、町全体でですね。
最後に、「炭素予算」という言葉についてです。気温上昇をあるレベルに抑えようとする場合、温室効果ガスの累積排出量、過去の排出量と将来の排出量の合計の上限値のことを「炭素予算」と言います。過去の排出量は推計されているため、気温上昇を何度までに抑えたいかを決めれば、今後、どれぐらい温室効果ガスを排出してもよいかが計算できるということになります。家計で言えば、我が家で今月使えるお金が20万円、今まで12万円使ったから残りは8万円、というのと同じような考え方です。
この考え方に基づけば、今の排出量のままで1.5度未満に止めたければ、4年後の2025年には、もう財布の中身は空になる、そのような状態という計算もあります。前例のないスケールで社会システムの移行が必要です。だからこそ、政府を含め多くの地方自治体が雪崩を打ってゼロカーボン宣言をし出しています。二酸化炭素を排出している限りは、温度は上がり続けます。自然は待ってくれません。対策ができる時間は限られています。
こういった視点からすれば、以前に町長が言われた「できることから取り組む」のではなく、さきの質問で他の議員の方も言及されていましたバックキャスティングの考え方で取り組まなければなりません。現在から未来を考えるのではなく、1.5度に抑えるための炭素予算の上限という、未来から逆算して解決策を模索し、見つけてください。
NASAなどが発表した報告書によると、2010年代は140年間の観測史上、最も高温な10年間だったということです。環境省は、2100年の夏には、このままの二酸化炭素の排出を続ければ、全国の最高気温が40度を超えるという未来の天気予報も示しています。
島本町でも、既に夏は暑さでこどもたちが外遊びができない、プールもできない、部活動ができないという日が増えてきています。温室効果ガスの排出量を減らすためにも、島本町として、ゼロカーボンに向け、今すぐ行動することを強く求め、質問を終わります。
以上です。
