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2020/9 ①役場業務のオンライン化について②生物多様性について③都市農業の振興について

  • 執筆者の写真: みどり 中田
    みどり 中田
  • 2020年9月30日
  • 読了時間: 29分

更新日:1月20日

中田議員

 2020年9月定例会一般質問を行います。

 一つ目.「役場業務のオンライン化について」です。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、島本町でも感染者が出ており、先日は役場に出入りする委託業者の方も感染されていたことが確認されました。役場が感染症拡大の場所になることは、できるだけ避けるべきです。根本的には対面を避けられるよう、住民の方の役場への訪問回数と滞在時間を減らすことが、感染症拡大の防止に繋がります。住民票の写し等のオンライン手続き構築事業はこれに資するものではありますが、このサービスはマイナンバーカードを持っている方だけに限られます。

 そこで、質問です。①つ目.役場の窓口業務の中で、住民の方の訪問回数や滞在時間が長いものは何がありますか。

 

総合政策部長

 それでは、中田議員からの一般質問のうち、「役場業務のオンライン化」について、ご答弁申し上げます。

 まず、役場窓口への「訪問回数の多いもの」といたしましては、役場では各窓口で申請・届出の受付、相談等の業務を行っておりますが、申請件数のボリュームでは、住民票や戸籍、年金、印鑑証明、町税等の各種証明書交付事務が合計で3万5千件程度と、突出して多くなっております。

 なお、これらの申請手続きの一部については、7月にオンライン手続き構築のための補正予算をご可決いただき、国の交付金を活用してスマートフォン等から申請や手数料決済を可能とする仕組みの構築に向け、現在、準備を進めているところでございます。

 また、窓口での「滞在時間が長いもの」についてですが、福祉・介護、年金、子育てなど、窓口で申請だけではなく相談対応や制度説明なども行う場合は、滞在時間が長くなる傾向がございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 窓口業務の中で、完全にオンラインで済むものは、どれぐらいありますでしょうか。フルにオンライン化ができないものがあったとして、一部だけでもオンライン化することによって、滞在時間を減らすことができる業務はありますか。

 

総合政策部長

 「窓口業務の中でオンライン化が可能なもの」といたしましては、現在、オンライン手続き導入の準備を進めている各種証明書の発行以外の事務についても、施設予約やイベントの申し込み、手当等の申請の現況届、サービス利用申請など、オンライン化が可能な手続きは各種あるものと認識しております。一方で、オンライン化にかかる経費や対応する職員体制など、コスト・人員面の課題もございます。

 いずれにいたしましても、感染拡大防止の観点から、非接触での手続きや問い合わせ対応等が図れるよう、現行の郵送や電話・ファックス、意見フォームなどの利用も含め、各業務において工夫しつつ、オンライン化についても検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 課題はあるもののオンライン化が可能な手続きは各種ある、ということだったと思います。オンライン化ですね、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。

 さて、一つ前の質問では、滞在時間が長くなるのは、相談対応や制度説明などだということでした。であれば、オンライン化の際には、来所・対面しなくても相談、説明ができるよう、ZOOMなどのオンライン会議システムの導入を、ぜひ検討していただきたいと思います。オンライン会議システムは複数で相談が可能で、また資料を提示しながらやりとりができることもあり、相談業務を行ううえでは、ファックスや意見フォームはもとより、電話よりも利便性が高いです。

 これら旧来の相談チャンネルを廃止しろと言っているわけではなく、オンライン会議システムを導入することにより、少しでも対面の機会を減らすことは有効だろうということです。民間企業や他自治体等でも、オンライン会議は今や常識になっています。いかがでしょうか。

 

総合政策部長

 民間や自治体等で、相談などをウェブ会議などの手法を活用して行う事例があることは承知いたしております。本町におきましても、町長席をビデオチャットで行う取り組みを始めておりますが、まだ、それほど実績はございません。窓口での各種相談業務は、多くの場合、電話相談での対応も可能と考えられ、機器の確保や事前予約、調整が必要で、人員体制、場所の確保などの課題もあるウェブ相談よりも、まずは電話での対応を促進してまいりたいと考えております。

 なお、内容や対象者等によっては、ウェブ相談での対応が可能なものもあると思いますので、他の自治体の先進事例等を踏まえて研究してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 町長席での実績が少ないとのことですが、まだ始めたばかりなので当然だとは思います。ですが、オンライン会議システムの利便性の高さから考えて、利用機会を継続して提供していけば、利用頻度も上がってくることが予想されます。最初は敷居が高いと感じられるかも知れませんが、始めて見ると、あっけないほど簡単ですので、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

 機器等の確保については、これまでも少しずつ地方創生臨時交付金の活用により整えてきていることもあると思いますし、今後もあると思いますので、行政のICT化を進める中で、この件は十分に実現可能であると考えています。

 もう1点、役場業務のオンライン化については、審議会のオンライン参加もぜひ検討していただきたいと思います。先日、まちづくり委員会を傍聴していましたが、学識委員の方からもそのような要望がありました。感染リスクの低減はもとより、多忙な学識委員が遠隔地から参加することが可能になり、出席率の向上が見込め、より良い審議に繋がりますし、学識委員の方にとっては往復の移動時間をなくすことができるメリットもあります。行政としても日程調整が格段にやりやすくなると思いますので、この件も、ぜひ検討をお願いしたいと思います。これは要望に止めます。

 


次の質問に移ります。二つ目.「生物多様性」について。


 島本町は、昨年7月に「生物多様性保全・創出ガイドライン」を策定しました。これは、町が各種事業を行う際に生物多様性に配慮すべき事項を定めたもので、この活用をすることで、本町の生物多様性の保全・創出に寄与することを目的としています。

 その策定から1年が経ちました。「運用状況」について、伺います。

 

都市創造部長

 次に、「生物多様性」につきまして、ご答弁させていただきます。

 まず、「『生物多様性保全・創出ガイドライン』の運用状況について」でございます。

 「生物多様性保全・創出ガイドライン」につきましては、昨年7月に策定した後、各課への周知を図るため説明会を実施するとともに、庁内ネットワークに保存し、情報共有しているところでございます。また、現在、各課に令和元年度の運用状況の照会をし、その結果について取りまとめを行っているところでございます。

 

中田議員

 その取りまとめも気になるところではありますが、次の質問に行きます。

 本ガイドラインの策定により、事業を行う際の生物多様性の保全・創出に対する取り組みが、「より積極的になった事例」はありましたでしょうか。

 

都市創造部長

 続きまして、「生物多様性保全・創出に対する積極的な取り組み事例について」でございます。

 先ほどご答弁いたしましたとおり、現在、令和元年度の運用状況を取りまとめているところであり、各部局における具体的な事例を申し上げられる状況ではございませんが、各課におきましては、事業実施に際し、生物多様性に関する意識を持つきっかけになっているものと認識しております。

 なお、都市創造部所管分の主な取り組みといたしましては、JR島本駅西地区まちづくりの中での土地区画整理組合との協議において、公益性の高い事業として、本ガイドラインに配慮した取り組みを行うことを要望させていただいていることなどは、本ガイドライン策定後の一定の成果であるものと考えております。

 

中田議員

 ガイドラインを作っただけではなくて、運用状況の照会をしているところも素晴らしいことだと思います。積極的になった事例としては、駅前開発の事業組合に要望をされたということだ、ということはわかりました。

 次の質問です。「津梅原水路の付替工事における生物多様性保全・創出の取り組み」はどうなっていますか。

 

都市創造部長

 次に、「津梅原水路の付替工事における生物多様性保全・創出の取り組みについて」でございます。

 津梅原水路の生物多様性保全・創出につきましては、当該水路の付替実施設計業務におきまして検討を行っております。その中では、生物多様性の観点から、当該水路を利用したビオトープ施設の設置について、公園予定箇所に具体的な検証を行いましたが、現状の事業計画においては、生物の保全に必要な安定した水の供給や、急激な水位の変動への安全面の対応など様々な課題があることから、困難であると判断しております。

 なお、今年度工事を予定している区間について、開渠にすることなども生物多様性の観点から改めて検証を行いましたが、計画している水路深さが3.5mと深いことなどから、当初の計画どおり、暗渠による工事を行うこととしております。

 なお、現在、JR島本駅西土地区画整理組合におきまして、既存の津梅原水路に生息している生物の調査を実施されたところであり、調査結果がまとまり次第、「生物多様性保全・創出ガイドライン」に基づき、対応が可能な保全策等について、協議を行ってまいりたいと考えております。

 また、JR島本駅西地区まちづくり委員会が開催され、今後、当該水路を含めた水路の設置に伴う生物多様性保全・創出への配慮をはじめ当該土地区画整理事業におけるインフラ整備についても、可能な限りご意見を反映できるよう協議を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 検討してみたけど駄目だったということで、現計画では、津梅原水路は暗渠化されることになっています。これは、そこに住む生物にとって生息地が消滅することを意味します。先日のまちづくり委員会では、都市計画の専門家の会長さんから、ミチゲーションはあるのか、これなしでやるのは非常にまずいといったようなご指摘がありました。「ミチゲーション」という言葉は、開発行為による環境に対する悪影響を軽減するための保全行為を表す概念なんですが、このことを会長さんも取り上げられたぐらいです。

 また、島本町には「生物多様性保全・創出ガイドライン」があります。ここに「保全・創出」という言葉があるように、現在は、ある場所で生息地がなくなるのならば、代替生息地を造って多様性を保全すべきということが世の流れになりつつあります。これらの点から考えると、ご答弁の「対応が可能な保全策等については」という態度は消極的に過ぎると考えます。代替地をどこかに設けていただきたい。具体的な対策を求めます。いかがでしょうか。

 

都市創造部長

 津梅原水路付替工事に伴う「今後の環境影響に関する緩和策、代替地等」について、ご答弁申し上げます。

 津梅原水路をはじめ既存の開渠水路に生息する生態系への影響を緩和するための代替生息地の確保策として、整備後の水路をこれまでと同様に開渠水路にすることや、水生生物が生息するための保全地を新たに確保することなどが考えられます。本事業につきましては組合施工の土地区画整理事業において、減歩と換地により、道路や水路となる用地を確保する手法であることから、歩行者の安全性を十分に確保したうえで、可能な限り土地を有効活用しつつ、減歩を軽減するため、新たな水路につきましては、基本的に道路用地の一部において暗渠により整備を行う予定としているところでございます。また、既設の人工構造物の中に生息する生物の保全を目的に、既存の生息地の面積と同等の保全地区を区域内に設けることも困難な状況でございます。

 しかしながら、本町といたしましても、「生物多様性保全・創出ガイドライン」の趣旨に基づき、既存の生物の保全に可能な限り配慮できるよう、町としても様々な手法を検討してまいりたいと考えております。

 なお、今後、JR島本駅西地区まちづくり委員会におけるご意見を可能な限り反映できるよう、保全に向けた様々な対策について、当該土地区画整理組合とも協議を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 手法の検討と、組合との協議を行っていくということですが、そうであれば、まちづくり委員会の意見提案がまとまり、かつ生物多様性における具体的な対策が決まるまでは、この津梅原水路の事業を進めるべきではありません。ここで、この点は強く主張しておきます。

 また、ご答弁の中で「減歩を軽減するため」とおっしゃいましたが、なぜ、町が私的な経済利益にそこまで配慮しなくてはならないのでしょうか。本土地区画整理事業は、生物多様性や景観、住環境といった公共的な価値を持ったものが損なわれることと引き替えに発生した金銭的利益を、一部が私的に享受するという構造になっています。減歩を軽減するということは、さらに公共的価値を毀損し、金銭的利益を増やすということを意味します。町は、かねてから指摘されているように、公共的価値をこれ以上損ねないことを第一の目的として考えるべきです。生物多様性の保全は、その一つと位置づけられます。

 さて、「生物多様性保全・創出ガイドライン」は、住民、事業者、行政機関、国、府などが行う事業取り組みについても、可能な限り、本ガイドラインの内容を尊重してもらえるよう協力を求める、としています。島本町は、島本駅西地区の土地区画整理事業主に対し、先ほども言及がありましたが、生物多様性への配慮、協力を求めています。その進捗状況を伺います。

 

都市創造部長

 次に、「JR島本駅西土地区画整理事業における生物多様性への配慮」にかかるご質問でございます。

 JR島本駅西土地区画整理事業の実施に際し、自然環境への配慮につきましては、「島本町生物多様性保全・創出ガイドライン」を踏まえていただくよう、要望書を令和元年6月4日付けで町から当該組合へ提出しております。この要望書の内容を踏まえ、これまでに当該組合の業務代行者とも協議を重ねており、今年度においては当該事業区域内の生態系調査を実施され、現在、その調査結果をまとめられているところとお聞きしております。また、当該事業区域内の一部には、工事の影響を受けるヌマガエルの保全エリアを設置いただくなど、事業区域内で生息する生態系の保全にも取り組まれているところでございます。

 今後につきましても、当該組合とは引き続き協議を重ね、生物多様性保全・創出に向けた配慮をお願いしてまいりたいと考えております。

 

中田議員

 ヌマガエル保全エリアを設けていただいているということもわかりました、進捗状況の中でですね。生き物保全エリアを設けていただくことは大歓迎ではあるのですが、なぜ、「ヌマガエル保全」という名称なのか。このように特定の生物を取り上げて保全のシンボルとする手法はあるのですが、通常、その際に用いられるのは希少種です。ヌマガエルは、現在の島本町では決してそのような希少な動物ではないので、なぜ、ヌマガエルなのかが、ちょっと理解できません。

 また、この名称は、ヌマガエル以外は保全しないとも受け取れてしまうのですが、このようなヌマガエルだけを特定した名称をつけた意図や経緯は把握されていますか。

 

都市創造部長

 ヌマガエルの保全についてのご質問でございます。

 土地区画整理組合におかれましては、現在、当該事業区域内において生態系にかかる調査を実施されているところでございます。ヌマガエルを選定された理由といたしましては、地形的に環境が整っていたことから、ヌマガエル保護池を設置のうえ、工事期間中、繁殖及び生息に必要な湿地環境を維持保全されているものとお聞きしております。

 なお、ヌマガエル以外の生物につきましても、事業区域内で確認された鳥類、昆虫類、植物のうち、重要種を選定し、組合としてでき得る範囲での保全対策を検討・実施されているものとお聞きいたしております。

 また、生態系にかかる調査につきましては、現在も継続調査中で、ヒメボタルを例にあげますと、ヒメボタルの生息地付近に「生態系調査中」の立て看板を設置され、立ち入り禁止とされているところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 ヌマガエル以外の生物についても対策を検討、しかも実施もするということなので、その点は安心したのですが、ヒメボタルの件もそうですが。ヌマガエルの件については、地理的に環境が整っているからというだけの理由で、ちょっと、やっぱり島本町にどこでもいる普通種であるヌマガエルを、わざわざ掲げた理由はわからないままですが、疑問が残るところですが、次の質問に移ります。

 「生物多様性保全・創出ガイドライン」には、「利便性の高い都市圏に位置しながら、町域には樹林地や農地、草地、水辺といった多様な自然環境が存在し、豊かな生物多様性を維持しています。」とありますが、ガイドライン策定後のこの1年にも、町内の樹林地や農地が次々に開発されてなくなっています。

 例えば、桜井地区の樹林地は町の重要種であるヒメボタルが生息していましたし、そのことは島本町が2016年に行った調査報告書にも記載されており、町もそのことを把握していたことと思います。にもかかわらず、開発は何ら、その重要種であるヒメボタルに何ら配慮することなく行われ、樹林地だった箇所は裸地になり、生息していたヒメボタルは死に絶えてしまいました。虫だから、森がなくなってもよそに飛んでいったから大丈夫でしょうと言われる方もおられますが、ヒメボタルの雌はそもそも飛べませんし、雄に関しても移動能力は高くないので、例えば幼虫の段階で捕獲し、代替生息地に移すなどの対策をしない限り、あのような場所で生息地がなくなれば、個体群が失われることになります。

 そこで質問です。本ガイドラインには、事業者にも協力を求めることが記載されていますが、これらの開発を行う事業者に、本ガイドラインの内容を尊重してもらえるように、町は協力を求めましたでしょうか。

 

都市創造部長

 続きまして、「開発事業者への協力依頼について」でございます。

 本ガイドラインにつきましては、各部局が公共工事をはじめとする事務事業を行うにあたって活用することで本町の生物多様性の保全・創出に寄与することを目的としていることから、基本的に個別の事業者への協力依頼は現時点で行ってはおりません。しかしながら、本ガイドラインのさらなる活用を目指し、開発事業者の皆様にもできる限りご協力いただけるよう、幅広い情報提供の手法等を検討しているところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 今後は幅広い情報提供の手法を検討しているということ、大変素晴らしいことだと思うんですが、「事業者への情報提供の手法」とは、どのようなものを考えておられますか。

 

都市創造部長

 「事業者への情報提供について」でございます。

 事業者が開発を行うにあたり、その内容によりましては、開発行為に関する事前協議が必要であり、この中で各課との協議が発生いたしますことから、環境課との協議の際に生物多様性への配慮について協力を求めたいと考えております。また、重要種に関する情報をホームページに掲載することにより、事業者にも確認しやすい環境を整備してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 情報提供の手法の件についても、今回のようなヒメボタルの生息地がなくなってしまったような事態を回避するためにも、大変良い取り組みと考えます。

これもいいんですが、これに加えて、さらに生物多様性の保全・創出の観点から、もう一歩踏み込んだ対応を検討していただきたいと思います。具体的には、生物層調査報告書で町が把握している重要種の分布情報と開発場所を照らし合わせ、種を特定したうえで事業主に協力を求めていただきたいです。例えば、事務事業報告書によると、宅地開発で事前協議が行われた件数は、2017年に8件、2018年に14件、2019年に15件に過ぎません。膨大な数の事前協議というわけではないのですから、その場所、その種を特定したうえで協力を求めることは十分可能と考えますが、いかがでしょうか。

 

都市創造部長

 開発行為に関する事前協議に関する再度のご質問でございます。

 先ほどご答弁いたしました事業者への協力依頼につきましては、あくまでも法的義務のない事項でありますことから、事業者に過度の義務感を生じさせないよう慎重な対応が必要であると考えており、他の自治体の状況等も踏まえ、協力依頼の具体的な対応方法につきましては検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 対応方法を、ぜひ検討していっていただきたいと思います。

 次の質問です。「生物多様性の基礎的なデータの保存期間の見直し」について。

 以前の、2年ほど前の一般質問で「保存期間を見直してまいりたい」と答弁されました、調査報告書に関してですね。見直しはされましたでしょうか。

 

都市創造部長

 続きまして、「基礎的なデータの保存期間の見直しについて」でございます。

 平成23年度に実施いたしました島本町植生調査及び島本町自然環境調査の報告書につきましては、委託業務の報告書として保存期間を5年としておりましたが、基礎的なデータにつきましては、過去のデータを蓄積することで資料をより有効に活用できることから、今般、事務手続きを終え、永年保存することとしたところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 見直しされて永年保存になったこと、大変良かったと思います。

 次の質問です。JR島本駅設置に際し行った環境調査結果についても基礎的なデータと考えますが、この保存期間の見直しも検討すべきと考えます。いかがでしょうか。

 

都市創造部長

 データ保存期間の見直しに関する再度のご質問でございます。

 平成18年度に実施いたしました、JR(仮称)島本駅設置に伴う駅西側自然環境調査業務につきましても、同様に保存期間を5年としておりましたが、基礎的なデータを蓄積していく目的から、今後、永年保存とするよう見直しを検討してまいる予定でございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 よろしくお願いします。

 こういった調査などの文書の保存は、担当課がその重要度の度合いを判断して、保存年限を判断するようになっています。つまり、個人の判断に依拠したうえでそれらが決まっており、重要な調査結果を確実に保存しようとする観点からすると、危うさをはらんでいると考えます。小規模自治体は、一人の職員が多くの仕事を抱え、大規模自治体と比べて専門性を深めることにハードルがあるという構造が存在します。これは仕方がないことだと思いますが、島本町自然環境調査報告書の保存年限が5年だった件は、ここに要因があったと考えます。

 そこで質問ですが、今回、これらの文書は永年保存となりましたが、これを機に、こういった学術的にも重要な基礎データが誤って廃棄されてしまうようなことがないよう、何らかの仕組みについて検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

総務部次長 文書の保存につきましては、その文書の内容、性質、重要性等によって、適切な保存期間を設定できるよう「島本町文書取扱い規定」において、保存年限の標準的な分類を定めるというルール、仕組みのもとで運用しているところでございます。

 学術的な内容に関わる基礎データにかかる文書を作成した場合につきましても、当該文書の内容、性質、重要性などによって、どの程度の保存年限とすべき文書にあたるかを、担当部局において適切かつ慎重に判断すべきものでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 「適切かつ慎重に判断」すべきなのはそのとおりなんですが、その判断するときの重要度が、一職員の判断に左右されて、廃棄されるべきものではないものが廃棄されてしまうことがないように、ということが私の質問の趣旨です。「適切かつ慎重」に判断するために、属人的ではない仕組みを作るにはどうしたらいいか、という話をしています。この件は要望に止めますが、再度の検討を求めます。

 次の質問です。データの蓄積、情報共有のあり方の検討について、これも2年前の一般質問ですが、こういった基礎的なデータ、「生物多様性の基礎的なデータの蓄積や、情報共有のあり方について検討したい」と、2年前に答弁されました。この検討結果を伺います。

 

都市創造部長

 続きまして、「データ蓄積、情報共有のあり方について」でございます。

 データ蓄積、情報共有のあり方につきましては、大阪府や、昨年4月に発足した地方独立行政法人大阪府立環境農林水産部総合研究所生物多様性センターなどと必要に応じて連携を行いながら、適宜取り組みを充実させていくことを想定しております。

 なお、情報の共有先等は現時点で決定しておりませんが、今後、具体的な手法等につきまして、各機関と協議を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 「協議を行ってまいりたい」ということですが、2年も前に質問していますので、いつまでに調整をする予定かということをお伺いしておきます。

 

都市創造部長

 本件につきましては、大阪府を通じまして地方独立行政法人大阪府立環境農林水産部総合研究所生物多様性センターをご紹介いただいている段階であり、今後、日程調整を経て、協議を始める予定でございます。このことから、近日中には協議を開始する予定ではございますが、その方向性が示される時期は現段階では未定でございますので、ご理解賜りたく存じます。

 以上でございます。

 

中田議員

 検討すると言ってから、ずいぶん時間が経っていますので、よろしくお願いいたします。

 


次の質問に移ります。三つ目.「都市農業の振興について」です。


 都市農業振興のために新たな施策の推進について、「この2年間の取り組み」はどうなっていたでしょうか。

 

都市創造部長

 続きまして、「都市農業の振興」について、ご答弁申し上げます。

 この2年間の都市農業の振興にかかる取り組みといたしましては、平成31年4月1日付けで、約1.83haの生産緑地地区を指定いたしました。また、令和2年3月31日付けで、生産緑地地区に定めることができる区域の規模に関する条例を、従来の500㎡から300㎡に引き下げを行いました。なお、本年度につきましても、生産緑地地区を指定すべく各種事務を進めているところでございます。

 また、島本町農業委員会では、農家の方から所有農地のご意向等に関する農地意向アンケートを実施されました。本町といたしましては、アンケート結果をもとに、今後の町の農業施策及び農地利用のマッチング等の参考にさせていただきたいと考えており、農業振興のための新たな施策を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 この2年間で、生産緑地の導入、面積基準の引き下げ、農地意向アンケート調査をされたなど、意欲的に取り組んでおられたことがわかりました。特に、この農地意向アンケートを実施したことは、大変評価しています。

 この件、大阪府の農業会議所に聞いてみたところ、府下でも、こういう義務でもないのに農地保全を前向きな取り組みにするために、この規模で――ほとんど全体ですよね、に向けて、こういったアンケートを進めているところは大変少ない、と言っておられました。それに農業委員会も傍聴していましたが、必ずしも農地を持っておられる方から前向きではない、反発のようなものも、アンケートを取る過程であったことも見ていますので、この点、それであっても前向きな取り組みのために進めてこられたことを大変評価しているものですが、このアンケート、農地意向アンケートで見えてきたことは何でしょうか。また、今後の方向性についてもお伺いします。

 

都市創造部長

 農地アンケート、総括的な部分についてでございます。

 農地アンケートを実施した結果、経営の縮小や、離農を考えておられる方が約37%にあがることがわかった一方で、農地の貸出について肯定的な考えをお持ちの方が一定おられることがわかりました。それらの結果を踏まえ、今後におきましては担い手対策の強化として、新規就農者に向けた情報発信の充実を図るとともに、大阪府みどり公社の農地中間管理事業などとの連携強化を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 意外と貸出に対する前向きな意向があったりとか、いろんなことがわかったことだと思います。

 次の質問に移ります。本年度も、生産緑地地区の追加を指定されるということが先ほどありましたが、前回は、ファミリー農園は対象外となっていました。様々な事情があったことは理解しますが、この対象外の扱いについては納得できかねるという指摘もあったことと思います。今回は、ファミリー農園は対象となるのでしょうか。

 

都市創造部長

 「生産緑地地区指定におけるファミリー農園の取り扱いについて」でございます。

 平成30年度において、生産緑地地区指定を行いました際には、本町が斡旋しているファミリー農園については、主たる農業者が不明確であるため対象外とさせていただきましたが、現在のファミリー農園につきましても、農地所有者が同様の方法で運営を行っておられれば、今回の追加指定においても対象にはなりません。

 しかしながら、国が示す運営方式に従っている市民農園につきましては、本町といたしましても、生産緑地地区に指定することが望ましいと考えております。具体的には、「特定農地貸付法」に基づく市民農園だけでなく、農業者が農園にかかる農業経営を自ら行い、利用者がリクレーション等の目的のために、農業者の指導管理のもとに農作業を体験する農園利用方式の市民農園においても、農業委員会が経営状況を確認するなど所定の手続きを経たうえで、指定を可能とする予定でございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 要件が若干拡充されることと理解しました。ファミリー農園も指定されるようになっていったら、いいと思います。

 次ですね、2018年9月に「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」ができ、市街化区域内の農地、生産緑地の貸借が安心してできるようになりました。その後、本町にも生産緑地制度が導入され、この法律を活用することができるようになりました。「島本町内での活用事例」はありますか。

 

都市創造部長

 先ほども申し上げましたが、本町では平成31年4月1日付けで、市街化区域内農地のうち約1.83haの生産緑地地区を指定いたしました。これらの地区につきましては、いずれも農地所有者により営農がなされておりますことから、本町生産緑地内での賃貸借等の活用事例は現在のところございません。

 以上でございます。

 

中田議員

 都市農地の貸借の法律に基づく事業認定は、令和2年度末だと全国で174件行われているそうです。近隣では、高槻や吹田、茨木でも活用事例が出てきており、面積も400平米と、かなり狭い面積でも行われています。借りたい・貸したい、双方ニーズが高まっていることが、この点からもわかります。

 それで、こういった制度に、島本町の先ほどの農地アンケートで、貸す・借りるということに対する抵抗がそれほどないということもわかったということもありますし、貸したいという意向に繋げるためには、こういった制度に繋げるためには、情報提供が大事だと考えます。

 そこで質問です。新規就農者に対するホームページなどによる情報提供の充実について、以前の一般質問では「今後、情報の充実に努めてまいりたい」とのご答弁でしたが、その後の進捗状況はいかがでしょう。

 

都市創造部長

 新規就農者等への情報提供につきましては以前からご指摘をいただいておりましたが、このたび農地意向アンケートの結果や、農業経営基盤強化促進基本構想など、新規就農者に参考としていただける情報をホームページに掲載し、情報提供を行ったところでございます。

 以上でございます。

村上議長 残り2分ちょっとです。

 

中田議員

 はい。情報提供を行った件、大変評価しております。引き続き、都市農地の振興と保全に意欲的に取り組んでいただきたいと思います。

 四つ目の質問です。島本駅西地区の「土地区画整理事業の業務代行契約書の確認について」です。

 業務代行契約書については、6月の一般質問で「業務代行契約書の内容確認、把握に努めてまいりたい」と答弁されました。内容は確認しましたか。

 

都市創造部長

 続きまして、「JR島本駅西土地区画整理事業の業務代行契約書」に関するご質問でございます。

 JR島本駅西土地区画整理組合と、その業務代行者である株式会社フジタとの間で締結された業務代行契約書につきましては、当該組合と協議を行い、閲覧による方法で内容を確認させていただいたところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 契約書を、書面として提供を受けましたか。

 

都市創造部長

 組合と業務代行者間の契約書について、再度のご質問でございます。

 業務代行契約書の内容確認に際しては、契約書面の写し等の提供は受けておりません。

 以上でございます。

 

中田議員

 書面による提供を受けるほうが望ましいと考えますが、それに対する町の見解はいかがでしょう。

 

都市創造部長

 書面による、契約書面の提供についてのご質問でございます。

 本町といたしましては、本来であれば契約書面の写し等の提供を受け、内容の確認・把握に努めることが望ましいと考えておりますが、当該組合が契約書面の提出を拒否されたため、協議により、閲覧による内容確認とさせていただいたところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 町には、提供を要求する法的な権限がないわけですから、拒否されてしまうと、それ以上のことを実現する手立てがなく、内容確認以上のことはできないのであろうと理解しました。やむを得ないことかと思います。

書面の提出ができない理由は、何と言われていましたでしょうか。

 

都市創造部長

 「書面の提出ができない理由について」でございます。

 当該組合との協議に際し、契約書面の提出ができない理由を確認しましたところ、「土地区画整理法」上、契約書の提出が必要との記載がなく法的根拠がないことと、契約の写しを町に提出することで情報公開請求の対象文書となり、それが一般に公開されてしまうことで事業進捗に影響が生じる可能性があり、現に同様の理由により影響が生じているため、とのことでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 「事業の進捗に影響」という点ですね。どのような影響が生じているのでしょうか、具体的に言われましたでしょうか。もう一つ、今、気になったのは、契約書を提出しなかったら、事業進捗への影響は出てこないとおっしゃっているように聞こえたのですが、そのような理解でかまいませんか。

 

都市創造部長

 事業への影響に関するご質問でございます。

 事業進捗への影響につきましては、未成熟な情報等の提供により、住民の方々からの問い合わせが増加し、組合事務局における日常業務においても負担が生じるなど、人件費の増加や、スケジュールの遅延等に影響が出ている旨、お聞きいたしております。

 また、契約書を町へ提供をされない場合の予測につきましては、前にご答弁させていただいたような影響を生じさせないための予防措置的なリスクヘッジとして捉えておられる旨、お聞きいたしております。

 以上でございます。

 

中田議員

 やはり、今のご答弁でも、契約書を公開しなければ問い合わせが減るというように理解されているようです。しかし、それは大きな事実誤認ではないでしょうか。住民が疑問を生じて問い合わせするのは、未成熟な情報を入手したからではなく、事業について内容がよくわからないからだと思います。

ご答弁にあった、これまでの影響については情報公開が不十分だから生じているのであって、契約書を求めます。出さなければ、逆に悪影響に拍車をかけることになるのではないでしょうか。これで影響がなくなるというのであれば、とんでもない間違いであり、いつまで経っても解決しません。誤解があるようですので、町から事業者には、ぜひ伝えていただきたいと思います。

 これで、一般質問を終わります。

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