2020/12 ①三小校舎耐震化の『財政収支見通し』②町の持っている情報は住民みんなのもの③島本町生物多様性保全創出ガイドライン運用状況
- みどり 中田
- 2020年12月28日
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中田議員
おはようございます。2020年12月定例会の一般質問を行います。
一つ目.「三小校舎耐震化にかかる『財政収支見通し』の扱いについて」です。
「財政収支見通し」の根拠がわかるものを、過去5年間分、情報公開請求をしました。その根拠の一つである建設事業費の内訳の中には、過去5年間すべての年度において、三小耐震化にかかる事業費があげられていました。また、別の情報公開請求した資料に基づけば、三小については2017年3月に実施設計がされており、そのときすでに校舎整備に約16億円かかると試算されています。一方で、その半年後に示された2017年9月の「財政収支見通し」の建設事業費内訳を見ると、三小の耐震化等については約10億5千万円しか計上されていません。
これを例に、建設事業費の見通しをどのように町が扱っていたかを確認したいと思います。「建設事業費の試算は、何を根拠に、誰が、どのように」行っているのですか。
総務部次長
おはようございます。それでは、中田議員からの一般質問にご答弁申し上げます。
「三小校舎耐震化にかかる『財政収支見通し』の扱いについて」でございます。
「財政収支見通し」につきましては、財政課におきまして、原則的に前年度決算をもとに資料を作成しているところでございます。また建設事業費につきましては、設計業務に取りかっていないケースや、担当課において今後の施設維持管理等にあたり概算により費用を算出しているケースもある中、各担当課に口頭あるいは照会等により事業費用を確認した後、財政課において数値を入力、適宜、一定の数値補正を行っていることもございます。
いずれにいたしましても、「財政収支見通し」につきましては、あくまで前年度決算や概算見積りも含めた事業経費をもとに、今後5ヵ年の財政状況を見込んでいるものであることから、歳入歳出予算及び基金残高等を確約するものではないことをご理解願います。
以上でございます。
中田議員
財政課において一定の数値補正を行っていることもある、というご答弁でした。
補正をする場合、しない場合があるというのは、どういうことなんでしょうか。「財政収支見通し」を担当している職員によって、数値の入れ方も変わるということでしょうか。
総務部次長
「収支見通し」の作成にあたりましては、これまで長年財政課に所属し、当該スキルを有した職員が、知識・経験をもとに一定の数値補正を行っていた事例はあったものと思料いたしております。
なお、令和2年9月作成の「収支見通し」については、各担当課からの回答のあった数値で作成いたしております。
以上でございます。
中田議員
現在は担当課の回答どおりの数値を補正することなく入れて作成しているものの、過去は担当課からあがった来た数値を、単なる積算ではない数値で補正していたと理解しました。
つまり、2017年9月の三小の耐震化建設事業費としてあげられている約10億5千万円という値についても、担当課が予算請求してきた数値をそのまま入れていたのではなく、財政課が数値補正をしていたということでよろしいですか。
総務部次長
平成29年9月作成の三小の耐震化に関わる「収支見通し」につきましては、口頭により数値を確認し、財政課におきまして一定の数値補正を行っていたものと思料いたしております。
以上でございます。
中田議員
では、担当課である教育こども部が16億円とあげてきた数値を、財政課が約10億円とした根拠や、計算の仕方はわかっていますか。
総務部次長
「財政収支見通し」にかかる一定数値の補正につきましては、補正後の数値のみを現有しており、どのような補正を行っていたかは把握いたしておりません。
以上でございます。
中田議員
どのような補正を行っていたか把握していない、とはどういうことでしょうか。補正というのは、それを担当する人によって、したりしなかったりするということでしたが、では、この補正が「適正かどうかのチェック」は、どのように行っていたのでしょうか。
総務部次長
先ほどもご答弁申し上げましたとおり、長年、財政課に所属し、当該スキルを有した職員が知識・経験をもとに一定の数値補正を行っており、決裁をもってチェックが行われていたものと思料いたしております。
以上でございます。
中田議員
決裁をもってチェックと言いますが、承認したというのと、補正のやり方が適正かどうかをチェックしたのは別の問題です。今、言われた「決裁をもってチェック」というのは、例えば部長や副町長や、町長が、これを見て良しとした、承認をしたということだと思います。
そうではなくて、町長は、これが補正された値として知ったうえで、または補正された値と知っていたとして、補正が適正かどうか判断したうえで決裁をされていたということなのでしょうか。
総務部次長
決裁における取り扱いにつきましてでございますけれども、事務決裁規程に基づいて、その内容に基づき課長決裁、部長決裁等、定めております。この中で、町長決裁に該当する案件につきましては、一定の方向性を定め、町長決裁を仰いでおるところでございます。このため本案件につきましても、数値補正の内容についてまで、各段階において確認があったかどうかにつきましては、前の答弁と同様、記録として残っていないものでございます。
以上でございます。
中田議員
今は何があったか、把握できない状況だということだと理解しました。
次の質問です。三小の建設事業費は2016年9月には約10億円、2017年9月には約10億5千万円、2018年9月には約19億5千万円と、ここで急に跳ね上がっていますが、実際には約10億5千万円とされた2017年9月の半年前の2017年3月には、実施設計が16億円と出ています。
前年の「財政収支見通し」と比較して、6億円の大幅アップです。にもかかわらず、2017年の「財政収支見通し」が約10億円のままだったことに、誰も不思議に思わなかったのでしょうか。特に担当課である教育こども部は、2017年9月の「財政収支見通し」が出た時点で、この点、疑問に思わなかったのでしょうか。
総務部次長
庁議等におきまして「財政収支見通し」を配付しておりましたが、集計表のみの配付となっていたことから、担当部局におきまして把握することはできてなかったものと思料いたしております。
以上でございます。
中田議員
これも集計表のみだから、把握できなかったということですね。
次の質問です。建設事業費用は、口頭や照会で確認されていたということですが、同時に文書では確認していなかったのでしょうか。この5年のうち、文書が残っているのはいつで、残らない形で伝えたのはいつといつですか。
総務部次長
文書照会により回答を得ていた年度につきましては、平成30年度から令和2年度でございます。これ以前につきましては資料を有していないことから、口頭で確認を行っていたものと思料いたしております。
以上でございます。
中田議員
「財政収支見通し」は、あくまで試算であって、将来の予算編成等を拘束するものではない一方で、町が様々な事業を行う際に、財政の判断材料となる重要なものです。しかし、たかだか数年前のことを今、お尋ねしているのに、10億円を超える事業について、ある年の数値の根拠がわからないと言っています。
このように、「行政文書を介さずに事務執行すること」は良いことなのでしょうか。
総務部次長
「中期財政収支見通し」につきましては、各課への照会により、一部補正を加えた資料をもとに作成していたものではございますが、今後の町の財政運営の参考となる意思決定であることから、町長決裁により対応しているところでございます。
「財政収支見通し」の作成のみならず、各種事業の集計等にあたりましては、庁舎内の各課に口頭等で照会することについて、文書取扱規程上、特に問題となるものではなく、あくまで参考資料の収集であるものと認識しております。
以上でございます。
中田議員
ここでも、町長決裁により対応と言っておられますが、先ほどのご答弁からもわかるように、2016年、17年については確認するための文書も残っておらず、数値補正の値をチェックしたかどうかということも把握できていない状況で、決裁で対応したから良い、ということにはならないと思います。また、文書管理規程上問題がないかどうかを訊いているわけではありません。行政が行ったことをチェックするという観点からして、それができないこの状況を生み出している、そのやり方は適切かということを伺っています。
今回の件でもわかるように、判断すべき議員や、町長や、担当課でさえ、わずか数年後に振り返っても、この数字をどう読んだらいいかわからない。これが数十万、数百万円ならともかく、6億円にものぼる額で、様々な行政上の意思決定に影響するものであればなおさらです。いろんなやり方があったとして、それが法的に問題がないとして、疑問が生じたときに事後的にでも検証できるよう、注釈をできる、口頭ではなく行政文書を介するなど、その「根拠がわかるものを残しておくべき」と考えますが、いかがですか。
総務部次長
後年に確認するための記録の残し方につきまして、議員のご提案いただいた方法も含めまして、どのような手法がいいのか、部内で検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
わかりました。根拠資料を残すと、今、残し方についてと言われました。根拠資料を残すということが確認できましたので、今後はよりよい手法について検討を進めていっていただきたいと思います。
次の質問に移ります。二つ目.
「町の持っている情報は住民みんなのもの――情報提供のあり方について――」です。
昨年度の12月の一般質問で改善を求めた「情報提供のあり方」について、以下のご答弁がありました。「請求頻度の高い情報等については、これまでより簡便な手続きで提供ができるよう、他自治体の先進事例等も参考にしながらルール化することで、今後、その充実を図ってまいりたい」と。その「進捗状況」を伺います。
総合政策部長
それでは、「情報提供のあり方」に関するご質問に、ご答弁申し上げます。
まず、「情報提供に関する取り組みの進捗状況について」でございます。
情報提供制度につきましては、他団体において、一部の公文書について住民からの申出書の提出があった場合に、実施機関における審査を行うことなく情報を提供できる事例などがございます。現在、近隣市町の情報提供制度のあり方等について調査・研究しており、本町としての、統一的な「情報提供の考え方」について、本年度中を目途に文書でお示しできるよう事務を進めております。
町が保有している情報は住民共有の情報であり、公開が原則であるという「情報公開条例」の理念を踏まえ、町政に対する理解の促進及び住民参加の推進とともに、手続きの簡素化による事務の軽減にも資する制度にしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
中田議員
町が保有している情報は住民共有の情報であり、公開が原則であるという「情報公開条例」の理念を踏まえ、本町として統一的な情報提供の考え方を示すべく事務を進めておられるということ、期待しています。
昨年、ご答弁にあった「請求頻度の高い情報など」については、具体的にはどのようなものを想定されていますか。
総合政策部長
現在、想定している内容につきましては、過去に情報公開請求により全部公開をした文書、または一部公開をし、その非公開とした諾否決定の内容に変更がないことが明らかな文書などを想定しております。
中田議員
すでに公開したことがある情報を情報提供に、ということですね。そう決めておけば、町民が迅速に情報を手に入れることにもなりますし、先ほど言われたとおり、職員の方の事務手続きも軽減され、大変良いことだと思います。また、先ほど、そういった「文書など」と言われていますので、それ以外の文書における情報提供についても示されることと期待しています。
例えば、大阪府においては、今、言われたすでに公開したことがある情報以外にも、条例の非公開情報に該当しないことが明らかな情報については、公開請求をするまでもなく情報提供することが、ホームページ上で明確に示されています。こういった事例も参考にしていただけたらと思います。
次の質問です。情報提供のあり方について、住民の皆さんにもわかりやすく伝えることも重要と考えます。「住民向けの取り組み」について、伺います。
総合政策部長
今後、統一的な考え方を策定いたしましたら、町ホームページ等を通じ、住民の皆様にわかりやすい形で周知してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
よろしくお願いします。
それでは、「情報公開請求のオンライン化」について、どのようにお考えか、伺います。
総合政策部長
「情報公開請求のオンライン化」につきましては、ICTの活用により業務やサービスの電子化を進め、住民の皆様の利便性の向上や業務の効率化に繋げる観点から、情報公開請求に限らず、行政手続きのオンライン化について検討が必要であると認識をしております。
現時点で具体的な計画等はございませんが、今後、その手法等については調査・研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
現状の情報公開の請求方法は、窓口に来るかファックスで、となっています。
一方、家庭でのファックスの保有状況については、総務省の2018年調査によると、13歳~59歳の年齢層でインターネット利用が9割を超えている中で、ファックスは34%であると。この値は2009年が――今からもう11年も前ですね――ファックスの保有量が57.1%だったそうですが、それをピークに右肩下がりで減少しているとのことです。
いざ、情報公開請求をと思っても、ファックスはもう家にないと、窓口に行かないとできないという声も耳にします。国の行政改革においても、ハンコの次はファックスを廃止する指針が示されるなど、脱ファックスの動きが加速化しています。普及率の観点からも、ファックスよりもオンラインで申請できるほうが、住民にとって、ずっと利便性が高いと思われますので、ファックス廃止も見据えて、オンライン申請についても前向きに、早急に検討していただけたらと思います。
次の質問です。三つ目.
「島本町生物多様性保全創出ガイドライン運用状況について」です。
第4回まちづくり委員会において、柳原水路の一部が土地区画整理事業に伴い取り壊されることが判明しました、すでに壊されているのかも知れません。市街地に多数張り巡らされた水路は、「近隣の市町村にはない島本町独特の潤いのある風景の構成要素の一つとなっているだけでなく、山、川、田畑などの自然環境だけではなく、都市部の公園、道路や水路などにも生物多様性のネットワークが構築されています。」と、「島本町生物多様性保全創出ガイドライン」で言及されていることからもわかるように、本町の生物多様性において重要な役割を果たしています。
今回の工事にあたり、どのような生物の生息が確認され、どのような配慮が行われたのか、その「取り組み状況」について伺います。
都市創造部長
続きまして、「柳原水路の生物多様性保全」について、ご答弁申し上げます。
柳原水路については、土地区画整理事業で計画されている調整池の施工を進めるにあたり、当該既存水路の一部の区間が支障となることが判明し、生物多様性の観点からも、早急に対応を行ったものでございます。
当該水路には、土地区画整理組合が実施された生物調査の中間報告の中で、ドジョウなどの生息が確認されていたことからも、調整池の施工に支障となる区間につきましては、町として生物多様性への配慮を可能な限り行うことが望ましいと判断いたしました。このことから、支障となる区間につきましては、土地区画整理事業により仮排水路を設置したうえで取り壊されることとなったことから、仮排水路への切り替え及び撤去が行われる前に、既存水路内に生息している生物を町職員が採取・保護し、水路環境が同じである当該水路の下流側に放流し、対応したものでございます。
以上でございます。
中田議員
ドジョウは、本町の重要種とされています。このドジョウを保護すべきものかどうかについては、私は疑問がありますが、それはそれとして、今回の対応は、個体数が減らないようにしないといけない、おそらく、そのような意図を持って下流に放流されたのだと思います。これまで、そういった配慮自体をしてこなかったことを踏まえれば、このこと自体は大きな前進と、大変良いことであるとは捉えています。
しかし、残念ながら、この方法は町全体で見たときに個体数を減らすのを防ぐ効果はありません。その理由は、「環境収容力」にあります。ある環境で、継続的にそこに生息できる個体数には上限があります。今回、放流が行われた下流は、同じ水路環境でと言われたことから推測すると、その場所にもおそらく同じようにドジョウが生息していたかも知れません。そこに、外から環境収容力を超えた形で生き物を投入しても、餌不足になるなどして、結局、町全体で見たときに、ある生息地がなくなればドジョウの個体数は減ってしまうということになるのです。
ある環境で生き残ることができる個体数は同じです。であるので、生息地が半分になれば、いかに下流に放流しても、個体数は結局半分になります。目の前で死んでしまうことを防ぐために、よそに持っていっても、見えないところで死んでしまうだけなのです。だからこそ、代替の生息地が要ると言われています。「環境収容力」という考え方について、ご理解いただけましたでしょうか。
都市創造部長
それでは、「生物多様性に伴う環境収容力の考え方」について、ご答弁申し上げます。
当該土地区画整理事業における生物多様性の保全創出につきましては、本町といたしましても、可能な限り配慮すべきであるものと考えております。「島本町生物多様性保全創出ガイドライン」における配慮事項の一つに、希少な動植物の保護を行う際は、必要に応じて、「個体そのものの移動などにより保全する対策についても検討が望まれる」旨の記載がありますことから、町として対応が可能な手法について検討を行ったものでございます。
そういった状況の中、議員ご指摘の「環境収容力」の考え方につきましても十分に理解をいたすところではございますが、事業計画等を勘案した現状においては、当該土地区画整理事業区域内、あるいは区域外で、既存の水路と同様の新設水路などを設置し、生物が生存できる環境を整えた代替地の確保を行うことは困難であるとの判断を行いました。
そのため、今般、当該土地区画整理事業により柳原水路の一部区間撤去される際において、撤去前に職員が保全すべき生物を採取・保護するとともに、生息環境が最も近い当該水路の下流域に放流し、生物多様性への配慮を行ったものでございます。
以上でございます。
中田議員
気持ちとしてはよくわかるんですが、代替地の確保が困難であると判断し、かつ環境収容力について理解しているのであれば、下流域に放流することが生物多様性への配慮になっていないことは自明です。今のご答弁を聞いたときに、下流域への放流が生物多様性への配慮になると主張されるのであれば、環境収容力への理解が不十分であると思われます。しつこく言いますが、なぜならば、単に他の場所に放流するだけでは、全町で見たときの個体数の減少を食い止めることには役に立たないからです。
ご答弁では、十分に理解されたとおっしゃっていますが、後半を聞く限りにおいて、理解されているようには思えません。今後の生物多様性への配慮をされる際には、環境収容力という概念について、認識を深めていただきたいと思います。
今回の対応については、どなたかに相談されたのでしょうか。
都市創造部長
続きまして、「生物多様性の配慮を行った際の相談」について、ご答弁申し上げます。
今回、柳原水路におきまして、一部区間が撤去される前に生物採取・保護を実施した際には、事前に専門的な知識をお持ちの方に相談をしておくことが望ましいとの判断から、環境省が実施しておられる登録制度により、環境カウンセラーとして登録され、国土交通省登録資格である一級ビオトープ計画管理士の資格を持っておられる当該土地区画整理組合業務代行者の専門家のご協力のもと、実施したものでございます。
以上でございます。
中田議員
今回は、町の事業ではない件についての配慮ですので、強く反論するものではありませんが、町の事業を行う際には、そして代替生息地の検討をされる際には、ぜひ、町のガイドラインでも言及されているように、学識者に意見を仰いでいただきたいと思います。
先ほどご説明のあったビオトープ計画管理士は資格の一つではありますが、あくまで技術者及び環境教育の指導者です。このことは、国土交通省のホームページ上でも説明されています。一方、学識者は学問上の知識と高い見識を持つ者で、ただの技術者ではありません。そういった意味からも、町の「生物多様性ガイドライン」には、わざわざ「学識者に」と言及されているのだと思います。
もう1点、特に町の事業として津梅原水路や柳原水路の生物多様性について配慮する際に気をつけていただきたいのは、利益相反の点です。先ほど相談された土地区画整理組合業務代行者の専門家というのは、事業者として参加されている会社に所属されている方であると思われます。つまり、一般に利害関係者に相当すると言えます。事業を円滑に進めたい側の方にこういった意見を求めるのは、利益相反の観点からも不適切と言えます。駅西側の案件については、過去にも利益相反について指摘しています。島本町は、こういった利益相反が疑われる状況を避けなければならないという状況について、認識が甘いのではないでしょうか。今後の町の事業として行う津梅原水路や柳原水路付け替えにおける生物多様性への配慮においては、この点、十分に認識し、対応していただきたいと思います。
代替生息地確保のために、下流や近隣の既存の水路の環境を生き物にとってより良いものにして、環境収容力を高め――それは生息環境として適切な場所の整備に努めるということですが、そのような方法を、ぜひ検討していただきたいと考えますが、いかがですか。
都市創造部長
続きまして、「環境収容力を高める方法の検討」について、ご答弁申し上げます。
今後の既存水路における生物多様性の保全につきましては、本町といたしましても重要な視点の一つであると考えております。既存水路に生息する生物の移動先は、既存水路または新設水路となりますが、代替生息地として、水路を開渠として新たに設置することなどにより、これまでと同様の生息環境を担保させることは事業費への影響が大きくなることから、事業効率性等を考慮すると課題が多いものと考えております。
そのため、今後の事業実施にあたりましては、事業効率性のみならず環境収容力を高める方法の検討も含めた生物多様性の観点など、総合的な観点から、近隣自治体が実施されておられる手法等を調査・研究するなど、対応策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
「環境収容力を高める方法の検討も含め」という点、ぜひ、よろしくお願いいたします。
私たちが大量生産・大量消費を行ってきた結果、経済成長はしたものの、同時に生物多様性を劣化させてしまったことは否定できない事実です。世界自然保護基金によると、世界の生物多様性は過去40年間で60%減少、一方、人類の消費による地球環境への負荷は過去50年間で190%増加したとのことです。こういったデータは世界的な傾向でしょ、というのは他人事に過ぎます。
私は10年前に、この町に引っ越してきました。近所で、鳥のケリが卵を産んで子育てをする様子があちこちで見られていましたが、この10年でさえも、そんな場所も次々になくなっています。例えば島本駅西側の都市計画変更前に町が募った意見書でも、小学生のお子さんとおぼしき方から、こんな意見が寄せられていました。そのまま読みます。「島本駅西側には、毎朝、ケリがいます。役所の人は開発したいようですが、ケリのためにも、他の生き物のためにも、島本町は今のまま、自然いっぱいのままにしておいて欲しいです。」と。
SDGsなど、持続可能な社会をと、近年、これほどまでに言われ出したのも、経済的な事業効率性のみを優先してきた結果、もう人類が破綻する寸前に来ていると、そういう危機感に基づくものであると考えます。生物多様性の喪失については、地球温暖化と同様に、今や待ったなしの状況です。自然の恵みを将来にわたって享受していく社会を構築するために、島本町としても、ガイドラインや計画でうたうだけでなく、せめて町の事業を行う際は、具体的に中身を伴う、つまり生物多様性を保全し創出する行動を起こしていただきたいと思います。
以上です。
