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2018/12 ①子育て世代に冷たい島本町と言われないよう、もっと投資を!②JR島本駅西の都市計画の変更とまちづくり

  • 執筆者の写真: みどり 中田
    みどり 中田
  • 2018年12月28日
  • 読了時間: 31分

更新日:1月20日

中田議員(質問者席へ)

 2018年12月定例会、一般質問を行います。

 一つ目.「子育て世代に冷たい島本町と言われないよう、もっと投資を!」です。

 島本町の子育て環境は、耐震化の遅れが現在大きな課題を生み出しています。全国の公立小中学校の99.2%が耐震化を終えた中、未だに三小の一部は大きな地震に耐えられないまま、子ども達を受け入れています。また耐震化を急ぐためとは言え、昨年度は第二幼稚園の、今年度は第四保育所の保護者やお子さん達に、急な廃園や転園を迫り、つらい決断を強いています。この結果、両園の保護者の皆さんからは強い不満の声があがっています。

 こういったことを住民の皆さんに迫るような事態は、よその自治体で聞いたことがありません。この点、議会にも責任があります。行政のチェック機関として、また政策提案の機関として対策を講ずることができておらず、大変申しわけなく思うところです。

 先日、行政は「島本町保育基盤整備加速化方針」を打ち出しました。保育施設の整備に思い切って投資をすることは大変評価するものですが、そのうち、第四保育所の耐震化のため児童を一時ほかの施設に移動してもらうという案については、保育環境の質に対する疑問が尽きず、保護者の方にとっては不安が解消されない状況です。このような形で四保の皆さんが今の保育所から出て行かざるを得ないことに関しては、ご当人達に責任があるわけではありません。その遠因は、耐震化をこれまで優先させてこなかったことにあると考えます。そのツケを、一部の保護者やお子さん達に押しつけるべきではありません。

 ですから、現在の方針に固執するのではなく、今後、保護者の方との対話を重ねる中で、最大限要望に添う形で、今後の方針を決めていただきたいと思います。見解を問います。

 

教育こども部長

 それでは、中田議員の一般質問の1問目、「子育て世代への投資」について、ご答弁申し上げます。

 第四保育所につきましては、平成24年度に新耐震基準に基づく耐震診断を行った結果、同基準を満たしていなかったことから耐震化の方法を検討することとなりました。

まず当初は、町立第三小学校敷地内に移転新築を行うとの考えのもと検討を行っておりましたが、運動場や出入口に課題が生じることから移転を見送り、続く策として、町立第二幼稚園跡地に認定こども園を整備し、第四保育所児童の皆様に一時的に移動していただき、その間、第四保育所の耐震化を進めるとの考えに至り、入所家庭及び入所を予定されている皆様に対し、一時的な転園の可能性があることを通知し、また町立保育所・幼稚園を会場としたタウンミーティングにおいても、その考えをお示ししてきたところでございます。しかしながら、本年6月に大規模な地震が発生したことから、児童の安全を最優先に考え、認定こども園のオープンを待たず、早期の安全対策を講じる必要があるとの結論に至ったものでございます。

 在籍児童には、耐震性能を満たさない第四保育所から、まず、他の施設に移動していただかなければなりませんが、在籍児童が全て移動できる施設は現在なく、かつ直ちに整備することは不可能であることから、幾つかの施設に分散して転園いただくため、町内各公共施設を対象に、あらゆる可能性を検討してまいりました。

7月実施の第四保育所におけるタウンミーティングでの保護者の皆様からの、転園先の候補として様々なご提案やご意見をいただきましたことから、それらのご意見を踏まえるとともに、今後の待機児解消策も見据え、ふれあいセンターその他の施設を選択肢として、意向を確認するため無記名のアンケートを行ったものでございます。

 今回、これらのアンケート結果なども参考に策定した「島本町保育基盤整備加速化方針」において、転園先として現在考えられる選択肢は一定お示ししましたが、個々家庭の実情がある中、希望など十分に聴取し、できる限り児童・保護者の皆様の思いに寄り添えるよう事務を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 

中田議員

 平成24年度には耐震診断をしたとのことですが、その時点で、すでに全国の公立の児童関連施設の耐震化率は77.3%でした。つまり、耐震診断どころか、耐震済みの施設が全国のほぼ8割だったということです。他の自治体は、もっと早くから耐震化に取り組んでいました。耐震診断をした時期自体が遅すぎることを行政は認識すべきです。

 なぜ、こんなに遅くなってしまったのか。この遅れが、この数年の二幼、三小、四保の問題を引き起こしている遠因となっています。遅れた理由は何だったのでしょうか。

 

教育こども部長

 「耐震化に向けての経過」でございますが、公共施設の耐震化につきましては、平成20年2月に策定いたしました公共施設耐震化のアクションプランである「島本町公共施設耐震化基本計画」において、公立保育所及び幼稚園・小中学校については災害応急対策上必要な拠点施設と位置づけ、平成26年度から同30年度にかけて耐震診断、耐震設計、耐震改修工事を行うとの計画でございました。

 実際の経過といたしましては、第四保育所については平成24年度に、平成25年3月までを契約期間とした耐震診断を行い、その後、前に申し上げましたとおり第三小学校移転新築や、第二幼稚園跡地への一体的整備後の認定こども園への転園などの対策案をお示ししてまいりましたが、今回の地震を受けて、1年前倒ししての対応をお願いすることになったものでございます。

 第二幼稚園に関しましては、昨年初め、一幼・二幼の入園児童数を合計して1園の定員内となったことから閉園する方向をお示しし、その閉園時期については保護者の皆様に対し、平成29年度末か、または30年度末かの選択肢をお示ししたうえで、ご意見をお伺いし、保護者の皆様のご意見を踏まえ、平成30年度末の閉園と決定したところでございます。

また第三小学校につきましては、耐震工事を進める過程で既存不適合と判断される、鉄筋を保護するコンクリートの厚み不足が確認され、その改善方法について大阪府との協議に時間を要したことから、当初の予定よりも整備が遅れているものでございます。

 いずれにいたしましても、現時点での課題に向き合ってはいるものの、今もなお耐震対策がなされていない施設があることにつきましては、心よりお詫び申し上げますとともに、今回、お示しした「島本町保育基盤整備加速化方針」を踏まえ、これまで以上に迅速に課題解消に取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと思います。

 以上でございます。

 

中田議員

 平成20年に耐震化プランを策定したとのことですが、その平成20年の時点で、すでに全国の小中学校の耐震診断率は93.8%でした。ほかの自治体の耐震化の取り組みのピークは、この平成20年よりももっと前です。阪神大震災が起こってから13年間も耐震化プランを作っていなかったのはなぜなのでしょうか。疑問が残ります。

 次の質問です。四保の保護者会から要望が出ています。保護者の方々の強い希望の一つは、児童だけでなく保育士及び四保のシステムをそのまま維持した丸ごとの移動にあります。それは認識していますか。

 

教育こども部長

 保護者のアンケートなどにより、児童だけでなく、保育士も一緒に移動し、第四保育所の体制を維持してもらいたいというご意見があることは十分認識をいたしております。しかしながら、申し上げましたとおり、まず、耐震性能を満たしていない第四保育所からの他の園に転園いただきたいこと、また在籍する児童がすべて一度に転園できる施設が現在町内にないこと、また、そのような施設を仮設であっても直ちに整備することが不可能であることを理由として、分散して転園をお願いしているところでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 仮設であっても施設整備に時間がかかることが、丸ごと移動を妨げる要因とのことです。

この点に関しては、子どもの命が優先だから、とにかく早く転園してもらうことが先決という意見をよく聞きます。もちろん、命は優先ですが、行政の案のように平成31年秋に転園しなければ、直ちに子ども達の命が損なわれるというわけではありません。一方で、急な転園は、子どもの健やかな暮らしと育ちに影響を与えかねません。

 どのような施策を取るかを決める際には、両者のバランスを考える必要があります。しかし、どこでバランスを取るべきかについて正解はなく、このような難しい決断を迫られるとき、一義的に尊重すべきは保護者の方の意思であると考えます。丸ごと移動が「加速化方針」と比べて、子どもの安全確保まで時間が多くかかることは理解していますが、もし、移転までの時間が少し長くなってもかまわないから丸ごと移動したい、という要望が保護者にあるのであれば、そこは対応していただきたいです。いかがですか。

 

教育こども部長

 本町といたしましては、児童の安全を第一に考えた末の今回の計画変更であることを、まず、ご理解いただきたいと思います。

議員からのご指摘にもございますが、保護者のご意見をお聞きすることが重要であると考えておりますので、15日・16日の第四保育所で保護者説明会を開催いたします。その場で出された保護者の皆様からのご意見を踏まえ、今後の進め方を検討してまいりたいと考えておりますが、今般の大阪北部地震という実際の災害発生を受けまして、まず最優先は児童の命・安全であるとの考えから、少しでも早く耐震性能を満たした施設への転園ということで、今回の判断に至ったものでございますことから、その点を十分、ご理解いただけるよう説明してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 そもそも大阪北部地震が起こる前と後で、大地震が起こる確率が大きく変化したわけではありません。この点、地震学者に確認をしました。南海トラフに関しては北部大阪地震から距離が遠すぎるため、地震の発生確率に関して前後での影響は無視できる、とのことです。有馬高槻断層帯にはわずかながら刺激が加わったと考えられ、大阪北部地震以前よりは確率が高くなったと考えられるが、その影響はどの程度までかはわからない、とのことです。

 これまで耐震化ができていないとわかってから5年、そして、ついこの間までは今後2年も現在の建物で保育をしようとしていました。この件は、議会としても承認しているところです。一方で、先ほどお伝えしたように、地震が起きたことと早期の安全対策が必要であることに、客観的事実としての因果関係はありません。それなのに、これまでの方針を急に覆し、大阪北部地震を理由に早期の安全対策を講じる必要があるという結論に至ったということは、逆に言うと、それまでは早期の安全対策を講じる必要を感じていなかったのかと取られかねませんが、いかがですか。

 

教育こども部長

 耐震診断を行って以降、早期の安全対策が必要であることは十分認識し、平成32年度開園予定の認定こども園を主たる転園先として移っていただくことが、その解決策であるとの結論に至っておりました。しかしながら、大阪府北部地震という実際の災害発生を受け、保護者の方などからの、より早期の安全対策を求める声があったことを背景として、児童の安全を担保する責務を負う行政の判断として、このたびの1年前倒しでの計画変更をお願いしたものでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 北部地震を受け、保護者の方などから、より早期の安全対策を求める声があったことは知っています。しかし、保護者の方の声にもあるように、耐震化を早くして欲しいことと、移動先はどこでもいい、とは別物です。移転先の保育環境の質が確保されていることが大前提です。この点、今回の方針では不確定な要素が多いままに選択を迫っていることは問題だと考えます。

 さて、丸ごと移動、財政の面からはどうでしょうか。前の耐震化の遅れの話からもわかるように、行政として教育施設への配慮を後回しにしてきたツケが、昨年は二幼に、今年は四保、三小に来ています。言わば、行政は子育て世代の施策に関して負債がある状況と言えます。保護者の方の希望に沿うためには、今、想定しているより財政支出が大きくなったとしても、それは負債の返済のようなものです。このことを心に刻んで予算措置をしていただきたいです。いかがでしょうか。

 

総務部長

 本町におきまして、これまで行ってきた事務事業につきましては、関係部局における協議・検討を踏まえ、町長の総合的な判断により、そのときどきで最善の策を講じてきたものでございます。財政面につきましては、今後も第三小学校A棟の建て替えや役場庁舎整備など、公共施設の更新・改修等が控えており、引き続き厳しい財政状況が続くものと考えております。そのため事務事業の実施にあたりましては、可能な限り歳出の抑制に努めていく必要があるものと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 今、お答えいただいた内容は、財政支出全般について抑制に努めていくということです。全体としてそうなのは、理解できます。しかし、先日、「保育緊急事態宣言」が出たように、本町の保育環境は緊急事態です。現在、予定されている事業に優先順位を付け、優先度の低いものに関しては、緊急性の高い保育環境の整備に予算を回すなど、柔軟に対応していただきたいです。

 地震が起こったことで、より早期の耐震化の要望があったとは言え、現実には地震前後で状況が大きく変わったわけではありません。命が大事であることは、これまでもこれからも同じです。それと同じように、子どもの健やかな暮らしを確保することも、これまでと同じく大切なことです。それなのに、なぜ、今、急に転園なのか。ある保護者の方は、将来の保育環境を整えるために、あなたの子どもには犠牲になってもらいますと言われているようだと言っていました。

 保育緊急事態に至らせてしまった行政と議会の判断の至らなさのツケを、言わば、そのツケを子どもに押しつけることはあってはならないことです。保護者の方々の要望に応えるために、時間がかかっても、お金がかかっても、他の事業を後回しにしてでも、保護者の方々の納得のいく形で、今後の方針を決めていっていただきたい。この点を強調して、次の質問に移ります。

 


二つ目.「JR島本駅西の都市計画の変更とまちづくり」に関してです。


 住民の総意は、どこにあるのでしょうか。

 2018年10月3日、島本町は駅西側の都市計画の変更に向けて、府と具体的な協議に入りました。これまで、この都市計画の変更については、「都市計画マスタープラン」変更時のパブコメ、都市計画の変更手続きに伴う府に対する公述や意見募集など、住民から多くの反対や疑問の声が寄せられていました。そういったことを考慮して、都市計画審議会からは一度ならず二度までも、住民の意向を十分に取り入れるよう努められたいとの意見が付されています。

 それに基づき、行政は今年に入ってから、説明会や意見募集、タウンミーティングを開催するようになりました。行政が住民の意向を把握する機会を持ったことは、大変評価できるものです。しかし、住民の意向を聴取するのみで、反映させることがなければ、せっかく行った意見募集もタウンミーティングも意味がありません。むしろ逆に、町を良くしたいという情熱を持って、これらの機会に参加した住民の信頼感を損ねることになり、町の将来にとって大きなダメージとなります。

 2018年に行われた説明会、意見募集、タウンミーティングでは、様々な論点やトーンがあるものの、意見の多くは、このままの案で都市計画の変更を進めるべきではない、というものでした。にも関わらず、行政は計画案にそれらの意見を全く反映させることなく、府との協議に入りました。つまり、住民の総意は都市計画の変更を進めるべきであると、町長を含む行政は判断したということです。

 何をもって、そのように判断したのでしょうか。駅西の都市計画の変更における住民意見の反映について、また、まちづくりにおける町の責務の観点から、質問を行います。

 

都市創造部長

 次に、2問目の「JR島本駅西の都市計画の変更とまちづくり」について、順次ご答弁申し上げます。

 まず、「住民の総意について」でございます。

 本町といたしましては、これまでの都市計画審議会の答申における付帯意見等を踏まえ、より良いまちづくりを実施するため、今年1月には住民説明会と意見募集、8月にはタウンミーティングを実施させていただいたところでございます。これらの住民の皆さんのご意見をお伺いする場において、いただいたご意見等につきましては、町といたしましても、まちづくりを進めるうえで参考にさせていただくことに加え、都市計画手続きを進めることについて反対されるご意見につきましても、真摯に承り、町の考え方をお示しさせていただいているところでございます。

 また、JR島本駅西地区のまちづくりを進めていくことに限定した住民の皆様の総意につきましては、全住民の皆様にアンケート調査を実施するなど、直接的にご意見をお聞きした機会はございません。しかしながら、町の最上位計画である「総合計画」や「都市計画マスタープラン」での位置づけをはじめ、これまでJR島本駅西地区におけるまちづくりの推進に関する町長の施政方針とあわせて、まちづくり支援に関する予算等を計上させていただき、町議会においてご可決いただいていることや、島本町都市計画審議会において、まちづくり自体を進めていく旨の答申をいただいていることを踏まえ、町といたしましては、JR島本駅西地区のまちづくりを進めていく方針をお示ししているところでございます。

 なお、意見募集やタウンミーティング等でいただいたご意見等については、都市計画案自体には反映できておりませんが、まちづくり自体やまちづくりに付随する課題等については、課題解決にむけた方針をお示しさせていただくことに加え、まちづくりの進捗状況にあわせ、より良いまちづくりを実施していくため、事業主体である準備組合と協議を行い、可能な限り反映してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 まず確認したいのですが、住民の意見の多くは――今までのタウンミーティング等における――現在の案のまま都市計画を進めて欲しくないだったと認識していますが、どうですか。

 

都市創造部長

 住民説明会をはじめ意見募集やタウンミーティングでは、様々なご意見をいただいたところでございますが、まちづくり自体に反対される旨のご意見や、現状の都市計画案のままでまちづくりを進めるべきではない旨のご意見が多かったとの印象を持っております。

 以上です。

 

中田議員

 もう一つ、都市計画審議会の答申に従って、住民の意向を把握するために行った意見募集やタウンミーティングで、そのような意見が多かったということですが、であれば、それが住民の総意であると捉えるべきではないですか、町長。

 

山田町長

 これまでの町の各種計画はもとより、町議会や都市計画審議会における議論等踏まえると、今回のタウンミーティング等でいただいた個々のご意見の傾向をもって住民の総意として捉えることは困難ではございます。

また、タウンミーティングでも申し上げておりますとおり、計画的なまちづくりを進めさせていただく方針をお示しさせていただいた中で、できるだけ多くの皆様に町の方針をご理解いただくとともに、島本町全体の発展に繋がるプロジェクトにするためにはどうすれば良いのかということを考えるべく実施させていただいたものでございます。そのため、住民の皆様との語らいの場でいただいたご意見等につきましては、行政としても真摯に受け止めさせていただき、より良いまちづくりを実施するため、準備組合の皆さんと協議のうえ、反映できるものにつきましては積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、JR島本駅西地区のまちづくりに関するタウンミーティングのみならず、これまでのタウンミーティングの結果等を踏まえ、今後、政策テーマに応じ、その時期や内容などを、住民の皆様から広聴のあり方については、より良いものにしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 タウンミーティングでは方法的な限界があり、これで住民の総意をはかるのが難しいということだと理解しました。であれば、別の方法で総意をはかる努力をすべきだと考えます。

 また、今の答弁では、町議会と都市計画審議会を介しても住民の意見を徴しているという主張でした。しかし、議会のこれまでの予算可決や議論は、現在の案のもとで行われたものではありません。一方、タウンミーティングの住民の意見は、詳細な地区計画を含む現在の案に対するものです。両者は全く質の異なるものであり、これらを総合して住民の総意を判断することはできないと考えますが、いかがですか。

 

都市創造部長

 まちづくり活動支援業務等の予算に対する議会での議決につきましては、現時点の詳細な都市計画案にご可決いただいたものではないことは認識いたしております。町議会における予算の議決につきましては、公選によって選出された住民の皆さんの代表である議員の皆様において、これまでの経過を踏まえ、組合施行の土地区画整理事業によりまちづくりを進めるという計画について、ご可決いただいたものであると認識いたしておりますことから、判断材料の一つとさせていただいたものでございます。

 

中田議員

 ご答弁から、行政が判断材料としている議会の予算可決は、詳細が示された現行案に対してのものではないということが確認されました。

 もう一つ、質問です。都市計画審議会を住民の総意の判断基準としてあげられていますが、例えば、都市計画審議会の一番最近の答申はいつのものですか。

 

都市創造部長

 都市計画審議会から直近でいただいた答申につきましては、平成28年3月に「都市計画区域マスタープラン」改定のご審議をいただいた際にいただいたものと認識いたしております。

 

中田議員

 先ほどの議会同様、2年も前の都市計画審議会の答申は、現在、進められている案に対してのものではありません。よって、現在の住民の総意の判断材料とするのはおかしいのではないでしょうか。

 

都市創造部長

 ご指摘の現時点における都市計画案につきましては、本年7月及び10月に開催いたしました都市計画審議会においてもご説明させていただき、その際の議論等において、まちづくりを実施する際の課題等をいただいたものの、町といたしましては、全体を通じては都市計画案の内容と手続きを進めていく方針について、ご理解をいただいているものと判断させていただいたところでございます。

 

中田議員

 そもそも都市計画審議会は、「都市計画法」では、「都市計画に関する事項を調査審議する」場であるとしており、住民の意向を聞く場ではないと認識しています。都市計画審議会の役割をお答えください。

 

都市創造部長

 ご指摘のとおり、町といたしましても「都市計画法」第77条の2の規定により、都市計画審議会は「都市計画に関する事項を調査審議する」場であるものと認識いたしております。また都市計画審議会においては、まちづくりの将来の姿や、土地に関する権利に制限を加える決定を行うこともあるため、関係機関や住民の利害を調整し、利害関係人の権利や利益を適正に保護する観点も必要であるものと考えております。

 そのため、都市計画審議会においては、町が作成した都市計画の案を、学識経験者をはじめ町議会推薦の議員、町の各種団体からの選出委員、公募委員など、様々な方に参画いただき、様々な立場から、先ほど申し上げた観点に基づき調査審議いただいていると認識いたしております。

 なお、本年7月及び10月に開催いたしました都市計画審議会につきましては、執行機関として、今後、都市計画手続きを開始するにあたり、あらかじめ附属機関である都市計画審議会にご説明をさせていただき、ご意見をいただきながら、より丁寧に事務を進めてまいることを目的に、開催させていただいたものでございます。

 

中田議員

 都市計画審議会は「調査審議の場」であることが確認されました。つまり、住民の意向や総意をはかる場所ではありません。だからこそ、「住民の意向を十分取り入れるよう」との付帯意見が付いているわけです。自分達でできるならば、わざわざ付帯意見を付けません。

これらのことから、議会と都市計画審議会での議論は「住民の総意」の判断材料にはなり得ません。現在のところ、住民の総意の判断材料として使えるのは、タウンミーティング等で出された、この案ならまちづくりを進めるべきではないという住民意見だけです。それなのに、なぜ都市計画の変更を進める協議に入ったのでしょうか。町長、お答えください。

 

山田町長

 まず、タウンミーティングにつきましては、計画的なまちづくりを進めさせていただくという方針をお示しさせていただいた中で、できるだけ多くの皆様に町の方針をご理解いただくとともに、島本町全体の発展に繋がるプロジェクトにするためにはどうすれば良いのかということを考えるべく実施させていただいたものでございます。

 また、手続きに入るべきではない旨のご意見も含め、様々な内容のご意見を多数いただいた中で、このままの案で、予定どおりのスケジュールで手続きを進めるべきと判断した理由につきましては、準備組合から、早期にまちづくりを進めていただきたい旨の要望書が出されたことや、これまでの町議会における審議の内容、タウンミーティング後に開催いたしました都市計画審議会において、全体を通じては都市計画の内容と手続きを進めていく方向性について一定のご理解をいただいたものと判断したことから、行政として熟議を重ねたうえで、お示しさせていただいた内容とスケジュールをもって、計画的にまちづくりを遂行し、駅周辺の活性化を図り、島本町全体の発展に繋げていく必要があると、総合的に判断をさせていただいたものでございます。

 以上でございます。

 

中田議員

 島本町のまちづくりの基本を定める最高法規である「島本町まちづくり基本条例」は、町の責務として「対話と合意に基づくまちづくり」に努めるようにと定めています。まちづくりを進めることについて、町民が、いつ合意したのでしょうか。タウンミーティングは、まちづくりを進めることの可否も含めて話し合う場だったと住民は理解していたはずです。合意のない決定には正当性がありません。正当性のない決定を前提とした、今の答弁は適切ではないと思います。

 また、準備組合の要望や、都計審で出された方向性は、住民の納得とは関係がありません。町民を納得させるためには、町民が見落としている、あるいは行政がこれまで説明していない公益性を示すべきです。いかがですか。

 

都市創造部長

 町といたしましては、対話と合意を基本とした「まちづくり基本条例」の規定に基づき、できるだけ多くの皆様に町の方針をご理解いただけるよう、都市計画手続きによらない住民説明会やタウンミーティングを開催させていただき、より丁寧に住民の皆様のご意向をお聞きする場を設けるなどの対応に努めてまいりました。

 なお、タウンミーティングの冒頭においては、町長から、あくまでもまちづくりを計画的に進める前提での話し合いの場であることを申し上げたところでございます。また、町といたしましては、これまでの住民の方からいただいたご意見を踏まえ、にぎわいの醸成や町の活性化等、まちづくりを進めることについての公益性について、これまでもお示しさせていただいているところでございます。

 町といたしましても、まちづくりの公益性につきましては、可能な限り説明責任を果たす必要があるものと考えており、引き続き、状況に応じてお示ししてまいりたいと考えております。

 

中田議員

 今の公益性の説明には、住民は納得していません。現に、都市計画の変更を見直すことを求める署名活動が始まっています。協議に入ったことに住民の合意が得られていないことのあらわれです。住民の意向と、都市計画審議会で示された方針が乖離しています。都市計画審議会は形骸化していると、住民からも指摘されています。

 そこで、お尋ねです。都市計画審議会委員の住民団体及び公募委員の年齢構成と性別をお答えください。

 

都市創造部長

 住民団体や、公募委員に属される都市計画審議会委員の皆様の年齢構成につきましては、町が把握させていただいている方において、40代・50代の方がそれぞれ1名、60代の方が3名、70代の方が4名となり、性別につきましては、男女比が11対1となっております。

 

中田議員

 つまり、高齢男性に著しく偏った構成になっているということです。

一方、先日、「総合計画」策定にかかるワークショップを傍聴しましたが、高校生が参加するなど、年齢構成や性別のバランスが取れており、住民意見をより正確に反映するものとなっていたと言えます。このワークショップでは、望ましいまちの方向性として、これ以上の開発は控え、本町の自然環境を重視することが、まとめとして示されました。これは、タウンミーティングでの住民の意向と整合しており、一方で都市計画審議会の出した方向性と乖離しています。

 この要因として、委員の年齢構成や性別のバランスが偏っていることが影響しているのではないでしょうか。都市計画審議会委員の年齢構成、性別のバランス等に関しては、今後、検討が必要と考えますが、いかがですか。

 

都市創造部長

 都市計画審議会の委員につきましては、各住民団体等からご推薦いただくケースが多いところではございますが、極力、町の附属機関等委員の選任基準に基づき、一定の年齢や、一定の在職期間の方は、原則委嘱しないようにしているところでございます。また、住民の声をできる限り直接的にお伺いするため、公募委員を導入いたしております。男女比につきましても、男女共同参画の視点も踏まえ、公募委員の選考等の際、男女比については重視させていただいております。

 現状の年齢構成や性別に偏りがあり、忠実に住民意見が反映されていないというご意見につきましては、幅広い年齢層の方や、より性別による偏りがなくなるよう、全庁的に対応する必要があるものと考えております。

 

中田議員

 都計審の議員の委員の選出についても、住民意見を広く代表するような選出方法になっていないことを指摘しておきます。今回、5人の候補から、14人の投票により4人が選出されましたが、1人1票ではなく、1人4票を持つ方式の選挙が強行されました。この二つの方式では、結果が異なります。1人1票なら、3票あれば選ばれ、少数意見も反映できる委員構成となるはずでしたが、1人4票になったことにより、選出されるためには多数の票が必要となり、少数意見を持つ者が選ばれませんでした。都市計画審議会の議員の委員が、このように住民意見を広く代表するような構成になってはいないことをご存じでしたか。

(「議員は住民の代表と違うのか」他、議場内私語多し)

 

川嶋議長

 お静かに願います、静粛に願います。

 傍聴の皆様も、お静かに願います。

 

都市創造部長

 町議会における都市計画審議会委員の選出の過程につきましては、議会からのご報告をお受けしておらず、また執行機関である行政から申し上げる立場ではないものと考えております。

 

中田議員

 6月議会では、都市計画審議会委員に利害関係者が入っている件を指摘し、改善を求めました。条例等には記載されていなくても、利益相反の観点から利害関係者が調査審議に加わるべきでないことは常識です。都市計画が公平公正に調査審議されるためにも、この点、再度対策を求めます。また、7月の都市計画審議会では、一部委員にのみ事前説明をしたことで、公平公正性の点から審議会に疑念を抱かせる状況があり、事務局が謝罪する事態にも至っています。

 以上のことから、タウンミーティング等で、このままの案でまちづくりを進めるべきでないという住民の意向を把握したにも関わらず、委員構成に偏りがあり、また、たびたびその公平公正性に疑義が挟まれる都市計画審議会や、現行案に基づかない過去の議会の審議を理由にして、行政が都市計画変更の協議に入ったことは到底納得できるものではありません……(「そうだ」と呼ぶ者あり)……。より良い島本町になることを願ってタウンミーティングに参加した町民の多くは、行政に裏切られたと感じ、失望しています。

 「島本町まちづくり基本条例」は、住民と町による信頼関係に基づいたまちづくり、町民の合意に基づいたまちづくりをうたっています。しかし、現状は、このどちらも満たされておらず、「まちづくり基本条例」に反しています。今からでも遅くありません。いったん協議を止めて、信頼関係と合意に基づいたまちづくりに、もう一度取り組むことを強く求めます。

 次の質問に移ります。「ケリ・ドジョウ・ヒメボタル:駅西の市街化で島本町の重要種は」。

 現在、駅西には「島本町環境基本計画」の中に記載されている島本町の重要種が、少なくとも3種生息していることが確認されています。鳥類ではケリ、魚類ではドジョウ、昆虫類ではヒメボタルです。これらの生物は、国や大阪府のレッドデータリストにも記載されている貴重な生物です。本町の「環境基本計画」の中には、これらの重要な野生生物の生息環境などに関する各種調査や情報の収集を行い、野生生物の保護等を検討します、と書かれています。

 現在、進められている地区計画案によると、これらの重要種が生息する農地のすべてが市街化されてしまいます。幸い、まだ協議中とのことですので、この3種の現存個体数はどの程度か、事業が進むとどういった影響を受けるのか、またほかにも重要種が生息していないのか、調査するべきです。

 都市計画の変更をするかどうかの最終的な判断は、調査の結果を待って行うべきです。急ぎ、環境影響調査を行うことを求めます。

 

都市創造部長

 続きまして、「環境影響評価について」でございます。

 環境影響評価制度は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業の実施にあたり、あらかじめ環境影響評価を行うとともに、事業の実施以後に事後調査を行うことにより、環境の保全について適正な配慮がなされることを目的とする制度でございます。

 JR島本駅西側の土地区画整理事業につきましては、その範囲が約13haであり、本町域も対象となる「大阪府環境影響評価条例施行規則」に規定される対象要件である50haに満たないため、実施対象外となるものでございます。

 なお、議員ご指摘のとおり、JR島本駅西側の区画整理事業の対象範囲には、「島本町環境基本計画」に記載する重要種の生息地域が含まれております。今年度作成を進めております「生物多様性保全・創出ガイドライン」につきましては、町が各種の事務事業を行ううえで生物多様性のあり方に配慮すべき事項を定めるものではございますが、JR島本駅西側の区画整理事業におきましても、その内容を十分踏まえていただけるよう、準備組合に対して要望してまいりたいと考えております。

 

中田議員

 ぜひ、よろしくお願いします。また、要望が満たされなかった場合は、「環境基本計画」に基づき、町が調査を行うべきであることを申し添えます。

 次の質問です。「三小の教育環境への配慮は」。

 現在、府と協議中の駅西の地区計画案では、第三小学校の北エリア、プールや校舎に隣接して、高さ25m、およそ8階建てまでの建物の建設が可能となっています。このことにより、例えばマンションの上階からプールや教室の様子をのぞくことが容易にできることになると思うのですが、この点について、都市計画課は教育こども部と話し合いはされたのでしょうか。教育こども部は、そのうえで、この案を良しとされているのですか。

 

都市創造部長

 続きまして、「第三小学校の教育環境への配慮について」でございます。

 第三小学校とその北側のエリアにおける高さの最高限度の設定につきましては、将来的な第三小学校の建替え等を考慮し、教育委員会と協議のうえ、地区計画案において、25mの最高限度を設けさせていただいたものでございます。

 また、区域区分の変更にかかる素案作成の際には、当該地域の最高限度にかかる都市計画案を含む文書を作成のうえ、担当部だけでなく、教育委員会とも適宜情報の共有を図っているところでございます。

 なお、ご指摘のような学校周辺からの覗き見対策に関する懸案事項につきましては、第三小学校だけでなく、町全体の懸案事項として取り扱う必要があるものと考えており、今後、必要に応じて、その対応を検討してまいりたいと考えております。当該地域におきましても、まちづくりが進む中で、実際に建物が建設される際に、教育こども部、都市創造部ともに、必要に応じ事業者側と適宜協議を行ってまいりたいと考えております。

 

中田議員

 その協議に、法的拘束力はあるのでしょうか。

 

都市創造部長

 町と事業者側との協議につきましては、事業者側の任意の協力に基づき実施しているものであり、法的拘束力があるものではございません。

 

中田議員

 例えば、一中の横のマンション建設の際に、再三にわたって近隣住民から要望が出されていることがあったと聞き及んでいます。行政も間に入って協議を行っていたはずです。その要望の中の一つには、高さ25mのマンションをせめて4階建て以下に、というものがありましたが、その要望は協議により実現しましたか。

 

都市創造部長

 近隣住民の皆様からのご要望につきましては、町からも事業者側に要望内容を伝え、できる限り対応していただくよう協議をいたしましたが、建物の高さ、階数につきましては、計画変更に応じていただけませんでした。しかしながら、その後の住民の皆様と事業者側の話し合いにおきまして、住民の皆さんの要望に応じ、プライバシー保護や騒音防止等のため、フェンスの設置や植栽の設置等、周辺環境への配慮について対応をなされております。

 

中田議員

 こういった住民の方の要望活動は時間がかかるだけでなく、精神的にも疲弊するものです。すでに用途地域が決まっていれば協議でお願いするしかありませんが、現在、三小の北側の規制の主導権は町が持っています。三小の教育環境を守るため、また、この先三小の保護者の方々などが要望活動をせざるを得ない状況に追い込まれることがないよう、三小北側の用途地域を第1種低層にすべきではないですか。

 

都市創造部長

 当該エリアの用途地域の検討に際しましては、都市計画の観点から、駅前の土地利用等を鑑み、周辺の用途地域との連担性等も考慮しながら総合的に判断し、お示ししたものでございます。

 ご指摘のような教育環境の保持につきましては、今後、まちづくりが進む中で、実際に建物が建設される際に、教育こども部、都市創造部ともに、必要に応じ事業者側と適宜協議を行ってまいりたいと考えております。

 

中田議員

 事業者と地権者の自由度を守ることを、教育環境を守ることよりも優先すると言っているように聞こえます。

 こういった配慮や計画が後手後手になることが、現在の保育緊急事態に繋がっているように思えてなりません。先手を打って用途地域の変更をすることが必要です。教育こども部においては、教育環境の配慮を最優先に考えて働きかけをしていただきたい。このことを強く求めて、今回の質問を終えます。

 以上です。

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