2017/6 JR島本駅西地区の都市計画の変更について:住民意見の反映と住民利益の視点から
- みどり 中田
- 2017年6月30日
- 読了時間: 23分
中田議員(質問者席へ)
それでは、ただいまより、平成29年6月定例会議の一般質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
「JR島本駅西地区の都市計画の変更について:住民意見の反映と住民利益の視点から」
1)「JR島本駅西地区の都市計画の変更に伴う住民意見の反映:これまでと今後のあり方について」です。
島本駅西地区は、都市計画上、開発が厳しく制限されてきた市街化調整区域でした。そのため、JR島本駅開業後も、都市近郊にありながら、農地と山の見える景観が未だに残っています。一方で島本駅ができた、いえ、できると想定された頃より、駅西地区を市街化しようという意向が一部に見られるようになりました。今後も、この件で議会として様々な意思決定をすることと思いますので、ここで改めて、「駅西地区のこれまでと今後」について、質問していきたいと思います。
駅西地区の、いわゆる「開発」には、二つの側面があります。土地区画整理事業と都市計画です。駅西地区は、前にも述べましたとおり、開発が厳しく制限される市街化調整区域でしたので、仮に土地区画整理事業の手法を用いてまちづくりの計画を作ったとしても、開発のできる市街化区域へと編入を行わない限り、開発は不可能です。
そこで質問です。これら二つの側面、土地区画整理事業と都市計画の変更の意思決定における、それぞれの主体は誰ですか。お答えください。
都市創造部長
それでは、中田議員の一般質問に、ご答弁申し上げます。
まず、1)点目の①「土地区画整理事業と都市計画の変更の主体」にかかるご質問でございます。
JR島本駅西地区におけるまちづくりに関しましては、組合施行の土地区画整理事業という手法を採用されておりますことから、本事業の主体は組合、いわゆるJR島本駅西地区の地権者並びに当該地域にお住まいの方々が主体となったまちづくりがなされるものと認識いたしております。
一方、都市計画の変更に関しましては、平成11年の地方分権改革の際、都市計画は「自治事務」とされていることから、大阪府あるいは島本町が主体となるものであると認識いたしております。
中田議員
都市計画の主体は、府及び町にあるとのお答えでした。憲法には、地方自治の基本となるべき事項として、住民の意思を反映した地方自治の確保が示されています。
都市計画の変更の意思決定の主体が町にあるということは、地方自治の本旨に則り、総体としての町民の意思決定により都市計画の変更が行われるべきである、そのような理解でよろしいでしょうか。
都市創造部長
都市計画の変更につきましては、憲法の趣旨に則った「都市計画法」に基づき、都市計画の変更を行うものであると認識いたしております。
以上でございます。
中田議員
次の質問にいきます。
島本町におけるまちづくりの基本を定める最高規範である「まちづくり基本条例」第4条 まちづくりの基本原則、「町は、住民の参画に基づきまちづくりを行うこと」に基づき、町は都市計画の変更に関わる意思決定を行う際には、住民の意見を反映させるべきとお考えですか。
都市創造部長
続きまして、②の「都市計画の変更にかかる意思決定への住民意見の反映」にかかるご質問でございます。
都市計画の変更につきましては、議員ご紹介の「島本町まちづくり基本条例」におけるまちづくりの基本原則のみならず、「都市計画法」では第16条第1項の規定により、都市計画の案を作成しようとする場合において、必要があると認めるときは、公聴会等の開催など、住民意見を反映させるための措置を講じることが求められております。また、同法第17条第1項及び第2項の規定では、都市計画の案を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、2週間の縦覧に供することとされております。これを受けた住民及び利害関係人は、縦覧期間完了までに意見書を提出することができることから、本町におきましては、これまでの都市計画の変更にかかる意思決定の際においても、これらの手続きを踏まえております。
また、「島本町都市計画マスタープラン」の策定時や改定時にも、パブリックコメントなどの手法により、住民の皆様のご意見をお聞きする場を設けさせていただいております。さらに直近の事例といたしましては、桜井三丁目北地区における用途地域の変更及び地区計画の設定等の都市計画変更手続きを行った際には、住民説明会の開催と二度の縦覧及び意見書の提出の機会を設けさせていただき、住民の皆様のご意見をいただいたところでございます。
今後につきましても、都市計画の変更にあたりましては、具体的な案件の内容等を勘案し、ご意見をいただくための手法について検討してまいりたいと考えております。また、その際にいただいたご意見につきましては、これまでと同様、「島本町都市計画マスタープラン」や関係計画等との整合性を確認させていただいたうえで、総合的な見地からの判断を踏まえ、都市計画の変更案を作成してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ありがとうございました。住民の意見を反映させるべきかどうかについて、曖昧なご答弁だったと思います。
次の質問にいきます。
近年、町には島本駅西地区の市街化に関して様々な意見が寄せられていることと思います。そこで、以下四つの案件に関して、それぞれ開発に賛成・反対の意見の数をお答えください。
一つ目.平成20年の「島本町総合計画」の策定に関するアンケート調査、二つ目.「都市計画マスタープラン」の改定素案に対する平成23年のパブリックコメント、三つ目.平成27年に大阪府が行った島本駅西地区の都市計画の変更に伴う保留区域設定に対する住民の意見書、四つ目.平成28年「駅西側を農地として維持し活用することを求める」住民の請願。請願については、署名総数もお答えください。
さらに平成20年の島本駅開業以降明らかになった、これら駅西地区に対する住民の意向を踏まえて、町として、つまり住民の総意として、駅西地区の市街化への気運が高まったと思われますか。その根拠は何ですか。お答えください。
都市創造部長
「過去に実施したパブリックコメント等の意見及び住民のまちづくりへの気運の高まりについて」でございます。
過去にいただきました住民の皆様のご意見については、議員ご紹介の「島本町総合計画」の策定に関するアンケート調査や、「島本町都市計画マスタープラン」改定の際のパブリックコメントの結果につきましては、自由意見等の中で、多種多様なご意見を他のご意見とともにいただいているものが多く、当該まちづくりに関係するものとして一概に抽出できるものではなく、賛否の数をお示しすることは困難であると認識いたしております。
次に、平成27年度の「北部大阪都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)」改定の際の、JR島本駅西周辺地区への保留区域設定にかかるご意見につきましては、16件いただいております。
また、平成28年9月会議におきまして、「JR島本駅西側地区を農地として維持活用することを求める請願」において署名が集められたことは、一定把握いたしているところでございます。
なお、いずれのご意見及びご署名につきましても、JR島本駅西地区の市街化区域編入にかかり、その賛否を問うものではございませんので、賛成・反対のご意見の数につきましては判断いたしかねます。
次に、住民の皆様の「まちづくりへの機運の高まり」にかかるご質問でございますが、統計的に確認を取ることができる部分では、昨年度に準備組合が実施されました地権者の意向調査におきまして、当地区のまちづくりの継続を希望された方の割合が90%を超えていることを踏まえますと、主体である準備組合におけるまちづくりの機運は、一定高まっているものと認識しているところでございます。また、JR島本駅西地区に関連する案件につきましては、住民の代表の皆様にもご参画いただいている島本町都市計画審議会にもたびたび付議させていただいており、闊達なご議論をいただき、当地区におけるまちづくり及び市街化区域編入につきましても、一定ご理解いただいているものと認識いたしております。
以上でございます。
中田議員
ありがとうございました。私は、これらのアンケートなどを精査しましたが、住民意見として、駅西地区に関して農地保全を望む声が、つまり開発に反対の意見が圧倒的に多かったのが客観的事実だと思います。にもかかわらず、町としては開発への賛否の判断がつかないとのご認識、大変奇妙に思います。昨年の署名及び請願に関しても、賛否の判断がつかないということでした。これも大変奇妙なご答弁です。
一方、駅西地区の開発の気運の高まりの根拠として、準備組合における地権者の意向調査と、都市計画審議会の議論の二つの理由をあげていただきました。ですが、この二つとも、一部の住民の意見を集約したに過ぎません。地権者の数に都市計画審議会の住民代表の数を足しても、全住民の1%にも満たないのです。
そこで、次の質問です。駅西地区の都市計画の変更に関わる町の意思決定に関して、今後は、住民全体の意向を十分に反映するよう改善する必要があると思いますか。
都市創造部長
最後に、④の「JR島本駅西地区における都市計画変更にかかる住民意見の反映」にかかるご質問でございます。
先ほどのご質問にもご答弁申し上げましたとおり、「島本町まちづくり基本条例」における住民参加の基本原則のみならず、これまでも都市計画法の規定に基づき、大阪府が行われる公聴会及び本町における住民説明会の開催や、都市計画案の縦覧及びそれに関する意見書を提出する機会を設けさせていただいており、他の都市計画案にかかる住民意見の反映に関し、適切に対応してきたところでございます。
また、本地区のまちづくりにつきましては、これまでは準備組合の皆様のご協力のもと、可能な限り、会議の公開や会議資料等の情報提供をさせていただいていたところでございます。
なお、現在は準備組合におかれまして、全地権者を対象にされた意向調査や現地調査を実施されている段階であり、現段階においては、住民の皆様への積極的な情報の提供やご意見をいただく場を設けることが困難であるものと考えております。しかしながら、地権者のご意向をある程度踏まえられたまちづくりの素案が作成された段階におきましては、準備組合の皆様のみならず、昨年度1月に準備組合において選定されました業務代行予定者の事業者の皆様のご協力に基づき、住民の皆様のご意見をいただくための手法について検討してまいりたいと考えております。
また、その際にいただいたご意見につきましては、事業の実現性はもとより、「都市計画マスタープラン」や関係計画等との整合性を確認させていただいたうえで、総合的な見地からの判断を踏まえ、都市計画の変更案を作成してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ご答弁の内容からすると、これまでの手法に問題がなかったとおっしゃっているように聞こえますが、それでよろしいでしょうか。
都市創造部長
先ほどのご質問にもご答弁申し上げましたとおり、都市計画手続きにおきましては、「島本町まちづくり基本条例」における住民参加のみならず、「都市計画法」に基づく公聴会、住民説明会、案の縦覧及びそれらに関する意見書を提出する機会を設けさせていただいており、案にかかる住民意見の反映につきましては、適切に対応させていただいているところでございます。
(「そうだ」と呼ぶ者あり)
中田議員
平成24年、28年に行われた都市計画審議会の答申では、2回とも「地権者のみならず住民の意向を十分に取り入れるよう」という、ごく当たり前のことについて、わざわざ付帯意見がついています。これは、住民意見の反映が十分でないという認識の表れだと思います。このことと、これまでの手法に問題がないという町の認識とのずれは、どのようにお考えですか。
都市創造部長
過去の島本町都市計画審議会の答申においては、「計画を実施する際に、住民意向の反映に努められたい」旨の付帯意見をいただいており、今後、その認識のもと、手続きを進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
大変、理解に苦しむご見解です。最初の質問で明らかにしたように、駅西地区に関しては地権者が主体となる土地区画整理事業と、町もしくは府が主体となる都市計画という二面性があります。この二つの方向性は、現実には一致することもあれば、しないこともあります。一方で行政は、その方向性が一致しない可能性を最初から排除しているように思われます。このことが都市計画にゆがみを生じさせ、町の将来に悪影響を残すことになる可能性を大変懸念します。
町長に問います。行政としては、今までに寄せられたアンケートの内容からも、パブコメからも、そして請願や署名からも、駅西地区の市街化を住民が望んでいるのか判断できないと答弁されています。そして、これまでの住民意見の反映の仕方は問題がなかった、都計審の付帯意見は今後のことを言っているだけで、これまでの手法に問題があったわけではない、とのことです。これらのご答弁、誠実に答えていただけていると思われますか。住民は、これで納得するでしょうか。
山田町長
今後、まちづくりの素案が作成された段階において、準備組合のご協力に基づき、住民の皆様のご意見をいただくための手法について検討をしてまいりたいと思っております。
なお、いただいた様々なご意見をもとに、都市計画手続きを進めるにあたっては、町として協議が必要な内容につきましては、準備組合に対し積極的にアプローチを行い、可能な限り、住民の皆様にご理解をいただくよう努力してまいりたいと考えております。
(「頑張れ」と呼ぶ者あり)
中田議員
誠実に答えていただけているかどうか、のお答えにはなっていませんでした。誠実な答弁は、高いレベルの議会を実現する要だと思います。はぐらかさず、お答えくださることを希望します。私たちの議員の仕事は、行政の監視です。そして、情報を持っているのは行政です。私たちが本来の仕事ができるよう、実のある答弁をいただけるように希望します。
「住民に納得してもらえるよう」との方向性は、どうぞよろしくお願いいたします。
二つ目の質問に移ります。すでに町は島本駅西地区を保留区域にすることにより、都市計画の変更の準備を行っています。都市計画の変更は、町が主体となって行うわけですから、その意思決定の拠り所は、総体としての住民の福祉の増進、言い換えれば町民全体の利益にあるべきです。その観点から、以下の質問を行います。
「町民全体の利益」となるかどうか、まずは財政面からの質問です。
平成27年、島本町が大阪府に提出した保留区域申請書には、駅西地区の計画人口は、1,250人とありました。その人口予測と区域面積に基づいた島本駅西地区の市街化に伴う町財政への影響について、概算で結構ですので、歳入面からは固定資産税等、そして歳出面からは学校施設の増築、学童保育室、保育所施設、防災調整池の設置などに関わる金額をお示しください。
総務部長
続きまして、2点目の①「市街化に伴う町財政への影響」について、ご答弁申し上げます。
議員ご指摘の保留区域申請書における「計画人口1,250人」は、町の市街化区域の平均人口密度から算出したものであり、具体的な年齢構成等や、市街化区域編入後の土地の形状、用途、建造物の形態等を前提としたものではございません。従いまして、その数値をもってJR島本駅西地区の市街化に伴う町財政への影響を試算することは、現時点では困難でございます。
しかしながら、ご質問の歳入面の固定資産税につきましては、現況の市街化調整区域の農地が市街化区域の宅地等になることから、増収になるものと思われます。金額につきましては、市街化区域編入後の土地の形状・用途・建造物の形態等が不明であるため、現時点では試算できかねます。また歳出面におきましても、先ほど申し上げましたとおり、計画人口自体が具体的な年齢構成等を前提としたものではございませんので、現時点で試算はできかねます。
以上でございます。
中田議員
現時点では歳入が増えるところはわかるものの、歳出に関しては予測ができないとのお答えだと思います。
つまり、財政が好転するかどうかは、収入と支出を比べることによってはじめて明らかになるものであって、収入が増えるというのは当たり前の話です。つまり、現時点においては採算性について何の見通しを持っていないということになります……(「そうだ」と呼ぶ者あり)……。にもかかわらず、これまですでに町職員の貴重な時間と何百万円という税金が、島本駅西地区の開発の方向性に費やされています。あまりにもずさんな町財政運営ではないでしょうか。
計画の進行に伴い、今後はさらに大きな出費となる可能性もあります。採算性に根拠がないままに、つまり財政的に「町民全体の利益」に繋がるとの見込みがないままに、本計画を見切り発車したと、ご答弁をそのように解釈します。新人議員説明会で、「町の予算は住民福祉の増進を目的に組まれるもの」と説明してくださった財政課を抱える総務部の部長であられる方の発言として、驚きを禁じ得ません。町民の税金を預かる行政の説明責任はどこに行ってしまったのでしょう。
二つ目の質問です。「町民全体の利益」となるかどうか。次は、「住民の意向」の観点から問います。
もし、仮に財政面で負担になったとしても、それが総体としての住民の希望であれば、それもまた「住民の利益」と言えるでしょう。そこで、質問です。
駅西側が市街化され、ビルやマンション、住宅地が立ち並び、商店等が増えることを住民が望んでいると判断される、その根拠をお示しください。
都市創造部長
続きまして、②の「住民の皆様のご意向」にかかるご質問でございます。
JR島本駅西地区のまちづくりにつきましては、パブリックコメントにおける住民の皆様のご意向や、住民の代表の方々もご参画いただき島本町都市計画審議会におけるご議論等を踏まえ、「島本町都市計画マスタープラン」を改定させていただきました。本マスタープランにおいて、「JR島本駅西地区周辺については、土地利用の動向や地権者、住民の意向を踏まえ、都市基盤の整備と合わせて、駅前地区にふさわしい商業・サービスや住宅などのほか、学術・研究・医療・健康など公共公益的機能の導入も検討し、都市機能を充実・強化します。また、緑化や景観に配慮した良好な市街地形成を推進します。」と規定いたしております。本町といたしましては、この方針に基づき、まちづくりを実施されている準備組合に対し、ご支援をさせていただいているところでございます。
なお、本町には住民の皆様のご意見をお聞かせいただく媒体といたしまして、パブリックコメントや都市計画法の規定に基づく意見書の提出の機会以外にも、「私の声」や「意見フォーム」といった媒体がございます。本事業にかかるご意見・ご要望も複数いただいており、最近では「生活利便施設等を立地させて欲しい」や、「農地を残置させて欲しい」等、様々なご意見をいただいているところでございます。また、昨年度に準備組合が実施されました地権者の意向調査におきましては、当地区のまちづくりの継続を希望された方の割合が90%を超えており、個別意見といたしましても、「駅ができたのにそのままというのはさびしい。一刻も早く事業を進め整然としたまちづくりをして欲しい」等のご意見をいただいているところでございます。
以上でございます。
中田議員
「住民の意向」を判断する主な根拠は「都市計画マスタープラン」にあり、とのご答弁だと思います。
しかしながら、現在の「都市計画マスタープラン」は、住民意見の根拠として本当に有効なのでしょうか。「都市計画マスタープラン」が最初に策定されたのは、今を遡ること18年も前の話です。現在の住民の意見を反映しているというには、無理があります。その後、住民アンケートの自由意見、パブコメをもとに、平成23年に駅西地区の市街化の方向性を強める形で、「都市計画マスタープラン」が改定されました。
しかし、1問目のご答弁からも明らかになったことは、アンケートの自由意見からもパブコメからも、市街地化を住民が望んでいるのかどうか、その以降は判断できない、というものでした。であれば、何をもって、何を根拠に、都市マスの改定を行ったのでしょうか。
では、次の質問に移ります。近年、行政に寄せられた住民意見は、駅西地区の農地保全を望む声が圧倒的に多いというのが私の認識です。この18年で時代は変わり、人びとの価値観も変わり、住民も相当数が入れ替わっています。こうして、「都市計画マスタープラン」にある駅西地区のまちづくりの方針と住民意向との間に、齟齬が生じたのではないでしょうか。
先ほどのご答弁のように、確認が取れる形の住民アンケートは、地権者の意向調査だけである、住民の意向は地権者のものしかわからないと開き直るのではなく、行政でも住民全体の意向がわかるような調査を行うか、これまでに出された意見から積極的に住民の意向を読み取る努力をするか、いずれかを行ったうえで、「都市計画マスタープラン」の改定の検討をされてはいかがでしょうか。お答えください。
都市創造部長
現行の「島本町都市計画マスタープラン」につきましては、平成24年6月に改定し、今後、10年間で取り組む都市計画の方針を示したものでございます。そのため、計画全体の目標年次は平成33年度としておりますことから、次回の改定は平成33年頃を予定いたしております。
なお、改定の手続きに関しましては、アンケート調査の実施等も含め、現時点では未定ではございますが、他市の事例等を参考に検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
今のところ検討する予定はない、とのことです。残念に思います。
次の質問です。現在、島本駅西地区土地区画整理準備組合に業務代行予定者から駅西地区の事業内容提案書が提出されています。大事な情報と思い、一住民として情報公開請求を行いましたが、結果はほぼ全面黒塗りで、重要なことは何もわかりませんでした。
住民が、都市計画上、当該地を市街化すべきかどうか判断するためには、その内容を知ることが必須です。今後、島本駅西地区の市街化に伴う「町民全体の利益」に関わる見通しは、その内容も含めて、大阪府への市街化区域編入の申請の前に、住民に説明されるべきだと思いますが、いかがですか。お答えください。
都市創造部長
続きまして、③の「都市計画手続きに先立った住民説明」にかかるご質問でございます。
先ほどのご質問にもご答弁申し上げましたとおり、町といたしましては、これまでも準備組合の皆様のご協力のもと、可能な限り、会議の公開や会議資料等の情報提供をさせていただいていたところでございます。
なお、現在は、準備組合におかれまして全地権者を対象にされた意向調査や現地調査を実施されている段階であり、現段階においては住民の皆様への積極的な情報の提供やご意見をいただく場を設けることが困難であるものと考えております。しかしながら、地権者のご意向をある程度踏まえられたまちづくりの素案が作成された段階におきましては、準備組合の皆様のみならず、本年1月に準備組合において選定されました業務代行予定者の事業者の皆様のご協力に基づき、住民の皆様のご意見をいただくための手法について検討してまいりたいと考えております。
また、その際にいただいたご意見につきましては、事業の実現性はもとより、「都市計画マスタープラン」や関係計画等との整合性を確認させていただいたうえで、総合的な見地からの判断を踏まえ、都市計画の変更案を作成してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ありがとうございました。
今、ご答弁の中にありました「素案が作成された段階で、住民への説明会を考えている」ということでしたが、その段階というのは、素案が作成された段階というのは、準備組合と業務代行予定者との協定の締結の前でなくてはいけないと思います。というのは、実質的に意思決定の自由、つまり、市街化区域に編入しないというオプションが存在している段階で、住民に対する説明会を行わないと意味がないと思うからです。それが、住民の意思決定の実効性を担保するものだと思います。
次の質問です。町が行う市街化区域編入の申請は、地権者が主体となって行う土地区画整理事業が決定されれば、自動的に町が編入手続きを行うというものではなく、「住民全体の利益」に基づいて判断されるべきものです。
申請の前に説明等を受けた後に、総体としての住民の意向が、開発は町民全体の利益にならないとなった場合には、市街化区域編入への申請をしないという選択を町がすべきですが、その選択肢はあるということでよろしいでしょうか。お答えください。
都市創造部長
最後に、④の「今後の都市計画手続き」にかかるご質問でございます。
これまでもご答弁申し上げておりますとおり、JR島本駅西地区におけるまちづくりは組合主体の土地区画整理事業であり、いわゆる地権者主体のまちづくりでございます。そのため町といたしましては、事業リスクを負われる地権者の皆様がご検討のうえ、計画されたまちづくりの方向性を踏まえ、都市計画という手法で規制や誘導をさせていただくものであると認識いたしております。
今後につきましては、地権者のご意向をある程度踏まえられたまちづくりの素案が作成された段階において、準備組合の皆様のみならず、本年1月に準備組合において選定されました業務代行予定者の事業者の皆様のご協力に基づき、住民の皆様のご意見をいただくための手法について検討してまいりたいと考えております。
なお、いただいたご意見につきましては、事業の実現性はもとより、「都市計画マスタープラン」や関係計画等との整合性を確認させていただいたうえで、総合的な見地からの判断を踏まえ、都市計画の変更案を作成してまいりたいと考えております。
しかしながら、本事業は組合施行の土地区画整理事業という特性を鑑みたうえで、「島本町都市計画マスタープラン」及び「北部大阪都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)」上の位置づけや、地権者の合意形成の現状等、当該土地区画整理事業の進捗状況を踏まえると、諸事情により当該土地区画整理事業が頓挫するなどの場合を除き、都市計画手続きを進める予定でございます。
以上でございます。
中田議員
ありがとうございました。「事業が頓挫する場合を除き、都市計画の手続きを進める」とのお答えです。
あたかも、町は土地区画整理事業ありきで、町としては市街化する選択しかないかのようなご答弁ですが、その点の法的根拠をお示しください。
都市創造部長
都市計画手続きを進めるにあたり、その法的根拠についてのご質問でございます。
保留区域設定を条件に、必ずしも市街化区域編入にかかる都市計画手続きを行わなければならない旨の法的根拠はございません。今後につきましても、当該事業にかかる都市計画手続きに関しましては、住民の皆さんのご意見を踏まえながら、まちづくりの熟度に即して、「島本町都市計画マスタープラン」や関係計画との整合性を踏まえながら進めてまいりたいと考えております。
中田議員
ありがとうございました。法的根拠はない、とのことです。
であれば、現時点で町が都市計画を変更しないという判断を下したときに、何らかの責任を問われる可能性はありますか。あるとしたら、具体的にはどのような責任ですか。お答えください。
都市創造部長
先ほどのご答弁で申し上げましたとおり、土地区画整理事業が諸事情により頓挫する場合を除き、都市計画手続きを進めさせていただく予定でございます。
なお、仮に現在の町の方針を変更することとなった場合、利害関係者から訴訟等を提起される可能性もあるものと考えてはおりますが、町に生じる責任の有無につきましては、現時点におきまして判断し、ご答弁することは困難でございます。
以上でございます。
中田議員
責任を問われる可能性はあるが、具体的には示すことができない、とのことです。一般的な話であれば幾らでもできるわけでして、現時点で具体的に想定できないというのであれば、それは考慮の対象外とせざるを得ません。
繰り返しますが、一つ目の質問で明らかになったように、都市計画の変更の主体は地権者ではなく町にあり、また町は変更をするかしないかの権限を持っています。にもかかわらず、「町民全体の利益」を、財政面からも、住民全体の意向からも判断することなく、土地区画整理事業に引きずられる形で都市計画を変更すると言っておられます。これは地方自治、住民自治の基本原則、また島本町の「まちづくり基本条例」に反しています。
町の意思決定は、総体としての町民の福祉の増進に基づいて決められるべきです。そして、町の意思決定は総体としての町民の意思に、その根拠を持つべきです。一部の人の意思に基づいて決められるものではありません。この点を強調して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。