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2019/6 ①待機児童解消には保育士処遇改善で対応を②駅西の計画案は再検討が必要③重要な生きものの保全について

  • 執筆者の写真: みどり 中田
    みどり 中田
  • 2019年6月30日
  • 読了時間: 27分

更新日:1月20日

中田議員

(質問者席へ) 2019年6月定例会の一般質問を行います。

 一つ目.「待機児童解消には保育士処遇改善で対応を」です。

 全国的に待機児童が問題となる中、昨年、一昨年と、2年連続で府下ワースト1だった本町の待機児童率は、今年度、さらに悪くなっています。これらを解消するために、施設整備に取り組まれていることは評価しています。一方で、待機児童問題は施設を整備するだけでは解決されません。このことは、保育園を造っても保育士確保が追いつかず、定員を減らすケースがあることからも見て取れます。また待機児童問題が深刻な自治体は、施設整備とともに大胆な保育士処遇改善による保育士確保策を講じています。つまり、整備とともに処遇改善によって保育士を確保することが重要なのです。

 このことは、前の委員会でも再三述べました。そこで、島本町の保育士確保策について、お尋ねします。

 今年度の施政方針では、さらなる保育士確保策の調査・研究を行うことを明言されています。その進捗状況を伺います。

 

教育こども部長

 それでは、中田議員の一般質問のうち、「待機児童解消には保育士処遇改善で対応を」につきまして、ご答弁申し上げます。

 まず、「保育士確保策の調査・研究の進捗状況について」でございます。

 これまでに、三島地域4市における保育士確保策についての情報収集を行うなど、調査・研究に取り組んでいるところでございます。一方で、これまで大阪府に対して要望してまいりました保育人材確保支援事業が、本年度から制度化されることとなったところでございます。本事業につきましては、保育士不足により定員を満たしていない民間保育園等が実施する保育人材確保事業に対して市町村が補助金を交付する場合に、その補助に要する費用が交付されるものでございます。対象となる事業には複数の種類がございますことから、次年度に向けて、本町において導入することが効果的な事業の選定を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、今後も引き続き、より効果的な保育士確保策につきまして、調査・研究に取り組んでまいりたいと考えております。

 

中田議員

 これまで町が行ってきた保育士等臨時給付金制度と、町立保育所での派遣事業による保育士確保事業の活用実績をお示しください。

 

教育こども部長

 「保育士等臨時給付金制度と、町立保育所での派遣業者による保育士確保事業の活用実績について」でございます。

 全国的な保育士不足が社会問題となる中、本町におきましても、平成28年度以降、保育士確保に鋭意取り組んできたところでございます。町内の民間保育園に正職員として新規採用された保育士等に対し給付金を交付する「新規採用保育士等臨時給付金」につきましては、平成30年度におきましては、5人の採用がございました。また、町内の民間保育園が労働者派遣事業者から保育士の派遣を受けるのに要した経費に対する補助金を交付する「民間保育園保育士確保促進補助金」につきましては、平成30年度におきましては、毎月6人から8人、延べ83人の派遣を受けることができております。

 一方、平成30年度から予算化しております「町立保育所での派遣業者による保育士確保事業」につきましては、基本契約に基づいて派遣依頼を行ったものの、派遣業者において保育士を手配することができず、確保には至りませんでした。しかしながら、広報誌や広告を活用しての従来からの確保策を並行して講じることで、町立保育所における必要人員は採用できているものでございます。

 今後も引き続き、様々な対策をあわせて行うことで、人員確保に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 様々な対策を行われているようですが、効果的な施策を行うことが重要です。

 厚生労働省が行った「保育分野における人材不足の現状」という調査報告書によると、保育士資格を持っているにも関わらず保育士職への就業を希望しない理由のうち、働く職場の環境改善の中で最も多かった理由は、「賃金が希望と合わない」でした。つまり、本質的には保育士さんに直接投入される賃金もしくは福利厚生を手厚くすることが、確保策の肝であるということです。

 先ほどのご答弁で、三島地域4市の保育士確保策について情報収集を行っておられると言われていましたが、私も、この点について近隣市町村の処遇改善を伴う保育士確保策を調べて見ました。その結果、茨木、摂津、高槻、吹田のすべてにおいて、宿舎借り上げ支援事業を行っていることがわかりました。これは、国が行う保育対策総合支援事業補助金メニューの一つで、保育士の住宅費用を補助することで保育士の人材確保・雇用促進を図る政策です。これにより月々の家賃負担を1~2割程度に削減できるケースも多く、例えば10万円の家賃であれば、保育士さんの月々の負担は2万円弱で済むそうです。とすれば、保育士さんの家賃負担にかかる費用が月当たり8万円強、年間100万円ほど軽減されるわけで、保育士になろうと思う動機付けとしては、かなり効果が高いものと思われます。

 三島4市以外、お隣の大山崎町も、今年度からの導入を予定しているようです。大山崎町は公立保育所が2ヵ所のところ、今年度から民間の保育園が一つできたことにあわせての導入の検討です。

 これら、近隣の市町村の処遇改善を伴う保育士確保策、特に宿舎借り上げ支援事業の導入状況については、ご存じでしたか。

 

教育こども部長

 ただいまご紹介ありました保育士宿舎借り上げ支援事業につきましては、先ほどご答弁させていただきましたように三島地域4市の調査を行っていますので、そのような制度が実施されていることにつきましては、すでに調査の中で聞き及んでおります。

 以上でございます。

 

中田議員

 島本町がすでに行っている新規採用保育士等臨時給付金については、先ほどのご答弁で言われたように、平成30年度も5人の活用実績があり、効果があることは評価しています。一方で、近隣市町村からの聞き取りによると、このような新規に採用された保育士等に対し給付金を交付している自治体は摂津市と島本町だけです。今は、保育士宿舎借り上げ支援制度において他市町村に後れを取っている状態ですが、もし、この支援事業を導入すれば、すでに取り入れている新規採用保育士等臨時給付金とあわせて、島本町は近隣市町村より一歩先を行くことになります。他市町村から後れを取らないためにも、かつ一歩先を行くためにも、保育士宿舎借り上げ支援事業を活用することが必要と考えますが、いかがですか。

 

教育こども部長

 先ほど新規採用保育士等臨時給付金制度について評価いただいているということにつきましては、担当としてもうれしく感じているところでございますが、やはり保育士宿舎借り上げ支援事業をはじめとする保育士の生活を直接支える方策の必要性と有効性につきましては、すでに実施している近隣自治体の実態把握に、現在、努めておるところでございます。

 いずれにいたしましても、既存制度を最大限活用しつつ新たな保育士確保策について、現在、調査・研究を進めておるところでございますので、ご理解賜りたいと思います。

 

中田議員

 例えば、茨木市では新制度が始まる前の2014年から、吹田・高槻・摂津では2015年から、近隣ではもう4~5年も前から、この支援事業を導入しています。本町は、住宅開発に伴い、今後も子育て世代の転入が続くものと思われます。保育士確保で、これ以上他市町村に出遅れることになれば、負け組もいいところです。近隣自治体ですでに行っている保育士宿舎借り上げ支援事業の活用の検討を、早急に行ってください。

 次の質問です。島本町内には、保育士さんを養成する専門学校があります。こういったところと連携し、保育の質と量の確保のために、保育士さんに対するキャリアアップ研修を提供するなど、町がまとめ役となってやってみてはいかがですか。こういったフォローがあれば、潜在保育士さんに対し、ブランクがあることへの不安を払拭し、幅広い年齢層の保育士を確保することに繋がるのではないでしょうか。充実した研修が保障されている自治体、保育所として、町内外にもアピールでき、他の自治体との差別化が図られます。

 今後、町内に保育・教育施設がたくさんできます。対象となる保育士さんは、官民問わず、保育士さんのフォローアップ研修を町がまとめ役になってやることは、保育の質と量の担保に大きな役割を果たします。保育士さんになる人自体が少なくなっているこのご時世、町内に保育士さんを養成する専門学校があるということは、島本町がすでに持っている大きなアドバンテージです。保育の量だけでなく質も確保することは、自治体の責務です。ぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

 

教育こども部長

 必要とする保育士数を確保することはもちろんのこと、働いていただいている保育士の皆さんの人材育成・能力向上は、安全で安心な保育を提供するためには不可欠であることは言うまでもございません。

本町におきましては、町立保育所、町立幼稚園、学童保育室の正規職員、非常勤嘱託員、臨時職員に対しまして、新規採用職員向け研修を実施しております。そして講師につきましては豊富な実務経験を有しており、多種多様な現場における実態に精通された講師を選定しているところでございます。今後、町内の民間保育園等の職員の皆様にも同研修に参加いただくことを検討するなど、本町の全体の保育の質の底上げを図ってまいりたいと考えております。

 また、潜在保育士さんのブランクなどによる不安を払拭する取り組みにつきましては、すでに大阪府社会福祉協議会において、そのような研修メニューが用意されておりますことから、本町に対しそのような相談があった際には、これまでもご紹介させていただいているところではございます。いずれにいたしましても、必要な人材育成に繋がる施策について、可能な範囲で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 今後、町立のみならず民間保育園等の皆様にも町が主催する研修に参加していただくことを検討するとのこと、ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 一方で、他の自治体では例のない、もしくはできない、島本町が持てるアドバンテージである保育士さんの専門学校が町内にあるというメリットについても、ぜひ活かしていただきたいと思います。この点、ご検討、よろしくお願いいたします。

 施設整備を行い、受け皿ができることは良いことですが、それにより潜在的な保育需要をさらに喚起するということは、全国的に見られている現象です。かつ秋には保育の無償化も始まります。住宅開発の影響以上に、保育需要はさらに高まることが予想されます。そういったときに、待機児童対策として目先の量を優先し、表面上の数値を減らすことで対応するのではなく、子ども達の育ちのために、保育の量も質も確保していただきたいのです。

 子どもは命があり、人格がある主体です。保育所は、子どもにとってよりよい空間であるべきです。そのためには、まず処遇改善を伴う保育士確保策、特に近隣自治体がすでに行っている効果の高い保育士宿舎借り上げ支援事業の活用の検討を早急に行ってください。また、島本町がすでに持っている優位性、保育士さんの専門学校との連携を活かした総合的な保育の質の充実に取り組むことを検討していただきたいと思います。

 以上2点を要望して、次の質問に移ります。

 


「駅西の計画案は再検討が必要」です。


 町長は2月議会の答弁で、「マンション建設について多くの方が関心を持たれ、反対のご意向を持っていることについては認識している」と発言されました。その後、JR島本駅西の高層マンション計画の見直しを求める署名や、子ども子育て支援事業に関するニーズ調査のアンケート結果や、都市計画変更案に対する意見書の提出があり、マンション建設を望まない声が、さらに町に寄せられたことと思います。

 そこで、駅西の都市計画の変更には、いったん時間をかけた再検討が必要との視点から質問を行います。

 JR島本駅の都市計画の変更案に対し、寄せられた意見の数をお示しください。

 

山田町長

 続きまして、「JR島本駅西地区の都市計画の変更等に対する意見書」についてのご質問でございます。

 町におきましては、5月27日から6月10日までの間、「都市計画法」第17条第1項の規定に基づき、「JR島本駅西地区に係る都市計画決定及び変更(案)」の縦覧を実施し、これに対する意見書を住民の皆様からいただいております。いただいた意見書につきましては、現在、内容の確認を行っておりますので、あくまで速報値ではございますが、JR島本駅西地区に関しては合計121件の意見書をいただいております。そのうち住所や氏名の未記入があるなどの意見書も一部あり、現時点において有効となる意見書数は114件となっております。

 引き続き意見書の内容については確認作業を行い、町にいただいた意見に対しては町の見解を示したうえで、島本町都市計画審議会で説明させていただく予定でございます。

 

中田議員

 意見内容の内訳も、お示しください。

 

山田町長

 次に、意見書の内容についてのご質問でございます。

 JR島本駅西地区に対する意見書の内容等としては様々なご意見がございますが、傾向といたしましては、当該地区の現在の田園風景を残して欲しいというご意見、マンションの建設に反対するご意見や、待機児童がさらに増加するのではないかというご意見を多くいただいております。一方で、現在のままでは駅前の無秩序な開発が行われる可能性があるため、土地区画整理事業によるまちづくりを進めて欲しいというご意見や、利便性の高い駅前整備や、JR島本駅前へのアクセス道路や駅周辺における商業施設の立地を望むご意見について、いただいております。

 

中田議員

 都市計画案に異論がある意見が多かったということです。まちづくりを進めて欲しいという意見もあったとは思いますが、その中でマンション建設をやめて欲しいという意見はありましたか。

 

山田町長

 まちづくりを進めて欲しいというご意見の中で、マンション建設をやめて欲しいというご意見をいただいているか否かについて、でございます。

 現時点において、まちづくりを進めて欲しいというご意見の中で、直接的にマンション建設に反対するご意見の件数については確認をできておりませんけれども、まちづくりを進めるうえで景観に配慮したマンションにして欲しいというご意見や、山が見えるぐらいの高さにして欲しいといったご意見はいただいております。

 

中田議員

 まちづくりを進めて欲しいという意見の中でも、マンション建設に関しては異論があるということです。また、今回、地権者の方からも意見が出ているのではないかと思います。出ていたとして、その中ですべての方が都市計画案に納得しているという内容でしたか。

 

山田町長

 次に、地権者からの意見書の内容についてのご質問でございます。

 今回、いただいた地権者からのご意見については、まちづくりに反対するご意見をいただいてはおりますが、概ね賛成意見をいただいております。

 

中田議員

 地権者の意見の中にも、反対する意見があるとのことです。

 次です。府に寄せられた意見書の数、意見書の内容の内訳もお示しください。

 

山田町長

 大阪府におかれましても、同じく5月27日から6月10日までの間、当該地区の区域区分の変更にかかる「北部大阪都市計画変更(案)」の縦覧を実施され、これに対する意見書を住民の皆様より寄せられているとお聞きしております。大阪府への意見書の内容につきましては、現在、確認中であり、JR島本駅西地区に関するご意見は50件ほど寄せられているとお聞きしております。

 なお、大阪府に寄せられたご意見に対しましては、府の見解を示されたうえで、大阪府都市計画審議会において説明される予定であるとお聞きをしております。

 

中田議員

 府に寄せられた意見書は50通ということです。この10年間に、大阪府は区域区分の変更を20件、行っています。その際の意見書の平均件数は1.25通でした。ほとんどが0~2通の間です。今回の50通という意見の数が、過去と比較して多いという認識はありますか、町長。

 

山田町長

 今回のJR島本駅西地区にかかる区域区分の変更に対する意見書の数について、過去に行われた区域区分の変更時における意見書の数に比べ、多いと認識しております。

 

中田議員

 2月に行われた口述でも同じです。過去の平均公述人数は――府ですね、0.55名なのに対し、今回の島本町の案件は府において14名、なんと25倍です。今回の意見書と公述の件数は群を抜いて多く、これまでとは違うレベルの住民の関心の強さが表れています。決して無視してはなりません。

 質問です。冒頭にも述べましたが、2月の議会以降、駅西に対する住民意見がさらに増えました。署名は5月25日時点で4,825筆です、今も増えています。子ども子育てニーズ調査では、トピックを指定をしてもいないのに、自由記入欄に、これ以上のマンション開発を望まない声が多数寄せられていました。わざわざ「開発」という項目立てがされているほどです。

そして、先日行われた意見書です。先ほどのご答弁では、計121件、田園風景を残して欲しい、またマンションの建設に反対するご意見が多かったということがわかりました。つまり、現在の都市計画案に反対する町民の意向が多いと判断するための材料は、より多くなっていると思うのですが、その認識はありますか。

 

山田町長

 マンション建設に反対される住民の皆様のご意向に関するご質問でございます。

 これまでもマンションの建設につきましては多くのご意見をいただいておりましたが、高層マンション開発計画見直しを求める署名や、今回のJR島本駅西地区にかかる都市計画案に対する意見書等とあわせて、多くのご意見をいただいていることから、マンション建設に反対する町民の意向が多いと判断するための材料は、より多くなっていることは認識をしております。

 

中田議員

 町民からの意見の中で、都市計画案に対する反対意見をどれぐらい聞いていますか。賛成のエビデンスを、意見書や公述など、公式なものの中から数値でお示しください。

 

山田町長

 都市計画案に対する賛成意見に関するご質問でございます。

 昨年1月16日から1月29日までの間に行いましたJR島本駅西地区における都市計画概略案にかかる意見募集においては、明らかに賛成と判別できるご意見は6件、確認いたしております。また、本年2月14日に行いました都市計画公聴会における公述意見においては、明らかに賛成であると判別できるご意見は2件、確認いたしております。

 

中田議員

 6件と2件。では、意見募集、公聴会における公述、意見の数はそれぞれ何件ありますか、総計は。

 

山田町長

 意見の総数に関するご質問でございます。

 昨年1月に実施いたしました意見募集においては、合計147名の方から合計167件の意見をいただいており、本年2月に実施いたしました公聴会においては合計19件の公述意見をいただいております。

 

中田議員

 つまり、167件のうちの6件、19件のうちの2件と、賛成が住民意見の中で極めて少ないことがわかります。民意は明らかです。ほとんどの住民が、現在の都市計画案に何らかの問題を見出しています。つまり、現行の都市計画案の推進は住民の福祉の増進になりませんし、住民自治の原則を損なうものです。

 質問です。「都市計画マスタープラン」について問います。これまで多くの議員が指摘していることですが、改めて問います。「都市マス」には様々な方針が示されていますが、そのすべてが実現されていますか。

 

山田町長

 「都市計画マスタープラン」の記載内容がすべて実現されているか、のご質問です。

 本町の「都市計画マスタープラン」につきましては、平成24年に計画の見直しを行い、その後10年間で取り組む都市計画の方針を示したものであり、平成33年度を目標年次として策定したものでございます。現時点においては、ご指摘のJR島本駅西地区におけるまちづくりなど現在進行形のものもあれば、予算面や人員面、社会情勢など、様々な要因により実現されていないものもあり、すべてが計画どおりには実現されていない状況であることは認識をしております。

 

中田議員

 すべてが計画どおりには実現されていない状況であるということです。この点、「総合計画」についても同じ認識でよろしいでしょうか。

 

山田町長

 「総合計画」につきましても、「都市計画マスタープラン」と同様、様々な情勢、状況の変化がございますので、実現されていないものもございます。

 

中田議員

 「都市マス」「総計」、示された方針の中で実現されていないものがあることについて、それを問題だと考えていますか。

 

山田町長

 「都市計画マスタープラン」、また「総合計画」の内容すべてが実現されていないことが問題か否かということでございますけれども、現行計画のまちづくりにおける課題を踏まえ、より良好で魅力的な地域の実現に向けて、まちづくりを進めたいと考えておりますが、様々な要因がある中で、現行計画のすべての事柄が実現できないこと自体が直ちに問題であるという認識はございません。

 

中田議員

 「都市マス」に書かれた内容が――「総計」もですね、実現されていなくても問題はないわけです。

 では、お尋ねします。都市計画案の中身について、例えば、もう1年時間をかけて再度考えることは、「都市計画マスタープラン」に反しますか、反しませんか。

 

山田町長

 都市計画案について時間をかけて考えることが、「都市計画マスタープラン」に反するか否かのご質問でございます。

 1年間かけて都市計画案を再検討するということは当該土地区画整理事業をいったん中断させる事態を招くこととなり、「都市計画マスタープラン」に即した事業を円滑に進めることが望ましいと考えておりますが、時間をかけて都市計画案を再考すること自体は、「都市計画マスタープラン」に直ちに反することではないものと考えております。

 

中田議員

 「都市マス」にも直ちに反するものではないということです。「総合計画」や「都市マス」には具体的な事業の内容やスケジュールが書かれているわけではありません。ですから、今、言われたように都市計画案を再考することには何の問題もないわけです。民意は計画案に反対であることが明らかですから、望ましい駅前のあり方を改めて検討するための時間が、今こそ必要です。

 島本町のまちづくり最高法規でもある「まちづくり基本条例」2項には「町は住民の参画に基づきまちづくりを行うこと」、5項には「住民、議会、町は信頼関係に基づき対話を重ね、まちづくりを進めること」とあります。

 今、行政に求められていることは、改めて住民の参加に基づいたまちづくりを行うこと、そして住民との対話を行い、損なわれた信頼関係を回復することです。行政の皆さんの仕事は、住民の願いをかなえることです。住民の希望を押しつぶし、心を踏みにじり、絶望の淵に押しやることは、皆さんがすべきことではありません。駅西の計画案は再検討が必要です。都市計画審議会に付議できる段階ではありません。

 このことを強く主張し、次の質問に移ります。

 


「重要な生きものの保全について」です。


 島本町は「環境基本計画」において、「生物多様性を維持保全し、自然の恵みを享受できるまち」を目標としています。そのために重要種の保全が必要と考えているかどうかについて、伺います。

 

都市創造部長

 続きまして、「重要な生きものの保全」につきまして、ご答弁申し上げます。

 「島本町環境基本計画」では、自然共生社会の項目中の生物多様性の保全に関する目標として、議員ご指摘の目標を掲げております。この項目の町の取り組みとして「重要な野生生物の保護」を掲げており、「重要な野生動植物の分布、棲息・生育環境などに関する各種調査や情報の収集を行い、野生生物の保護等を検討します。」としております。現在、町が各種の事務事業を行ううえで、生物多様性のあり方や配慮すべき事項を記載する「生物多様性保全・創出ガイドライン」の策定を進めており、このガイドラインに基づき、希少な動植物の保全に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 「動植物の保全に努めてまいる」と、つまり重要種の保全が必要と考えていることと理解しました。

 重要種の中には、ホタルが含まれています。そこで質問です。昨年、他の議員の一般質問で照明のLED化について質問があり、ホタルの生息環境に対する光害についての指摘があり、環境に配慮した照明の置き換えが要望されました。そこで触れられた環境省の「光害対策ガイドライン」では、ホタル保護のため、誘引特性の小さい波長の光の使用があげられています。昆虫は赤い光が見えません。つまり、誘引特性の小さい波長とは、赤い光を意味しているのですが、そのような認識はお持ちですか。

 

都市創造部長

 議員ご指摘の件につきましては、現在、認識はござません。

 以上でございます。

 

中田議員

 この点、光害について、昆虫は赤い光が見えない、誘引特性の小さい波長というのは赤い光だということを、ぜひ認識してください。

 ホタルに対する光害については幼虫にも生じます。特にLEDライトについて、白・青・緑の光については、かなり低い照度でも忌避する一方、赤色であれば、多少明るくても忌避しないことを示す研究が行われています。この論文では、ホタルについては幼虫の期間も含め、四季を通じた光害対策が必要であること、赤い光が有効であることが示されています。

 ゲンジボタルの生息する水無瀬川の照明のLED化にあたっては、この点の考慮が必要であると考えますが、いかがですか。

 

都市創造部長

 照明器具の設置等の際は、ホタル等への光害が発生しないよう、一定の配慮が必要であると考えております。

 なお、LED化の際は、照明による周辺環境に及ぼす影響の最少化を図りつつ、照明の目的・効果が期待どおり効率的に達成できるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

中田議員

 同じく重要種であるヒメボタルについてはどうでしょう。昨年、ヒメボタルの光害について配慮を求める要望書が住民により提出されました。町は防犯ライトの向きを変えることで対応したようですが、効果はあまりなかったようです。町の重要種であるヒメボタルが、光害により、かなり数を減らしている可能性がある中、先ほどのホタル類への光害対策の質問を踏まえ、役場周辺のヒメボタルを保全するために必要な方策は何だと考えますか。

 

都市創造部長

 ヒメボタルを保存するにあたり必要な方策につきましては、でき得る限り照明設備等の光量を抑制し、また適切な波長のものとすることであると考えております。

 

中田議員

 ぜひ、必要な方策を講じていただきたいと思います。

 次の質問です。LEDは光量のコントロールができ、省エネにもなるからいいと言われていましたが、普及するにつれ、光害が深刻化しているという研究報告がなされています。このことをご存じでしたか。

 

都市創造部長

 過去に、ほかの議員からもご指摘がございましたが、LED化による光害については認識いたしております。

 

中田議員

 LED化の光害を一般的にということではなく、今回のものは、特に深刻化しているという事態が報告されているということです。LED化については、慎重にお願いいたします。光害が解消されるように――前の議員の指摘にもありましたが、ホタル類を含む生物多様性への配慮については、私からも重ねてお願い申し上げます。

 ホタルについては、光量の抑制、赤色の使用、不必要な光の漏れ出し防止など、対策を複合的に取ることが有効です。島本町のシンボルのホタルの棲息環境の保全のため、今後、策定される「生物多様性保全・創出ガイドライン」とともに、有効な対策をお願いいたします。

 次の質問です。「島本町環境基本計画」にあるように、生き物の保全には棲息状況の把握が重要です。すべての重要種で行うことは難しいかも知れません。しかし、ホタルは町のシンボルとされていることからもわかるように、多くの住民が親しみを持ち、毎年、その観察を楽しみにしている特別な存在です。そこで、ホタルの棲息状況の把握について問います。

 過去に、町がホタルの放流をしていた頃は、棲息状況を役場の職員さんが確認されていたようですが、今も行われていますか。

 

都市創造部長

 ホタルの放流につきましては平成26年度まで行っており、その際は棲息状況を確認しておりましたが、現在は行っておりません。

 

中田議員

 放流が行われなくなり、水無瀬川のホタルの数は減ったのだと思ってましたが、実は、今でもたくさんのホタルが水無瀬川で観察されています。このことはご存じでしたか。今後も、ホタルが町のシンボルとして維持されるためにも、まずは棲息状況の確認を復活させてはいかがでしょうか。

 

都市創造部長

 事業廃止後、ホタルが自生していることは確認しておりましたが、その数の増減については把握いたしておりません。

 また、棲息状況の確認の復活でございますが、ホタルを含めた重要種の棲息状況の把握のあり方につきましては、今後、検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

中田議員

 重要種の棲息状況を把握することは、保全の第一歩です。水質検査だけでは見つからない川の状況の把握にも繋がります。行政だけでなく、住民参加などの手法も踏まえ、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 次の質問です。ホタルの保全に関しては、光以外の棲息環境の改善も重要です。先月、島本町は「プラスチックスマート宣言」を出しました。水無瀬川のプラスチックごみを減らす取り組みの展望を伺います。

 

都市創造部長

 本町では、適正に処理されないごみがゼロとなるよう、令和元年5月30日に「島本プラスチックスマート宣言」を行いました。水無瀬川でプラスチックごみ等の不法投棄がなされないよう、4Rのさらなる推進、ポイ捨ての未然防止や、マイバッグ持参によるレジ袋の削減などの取り組みを行ってまいります。

 以上でございます。

 

中田議員

 水無瀬川のプラごみ対策については、有効な対策のために、プラごみの発生源を特定・把握することが必要と考えますが、いかがですか。

 

都市創造部長

 プラスチックごみの発生源につきましては、ポイ捨て等の不法投棄がされやすい環境であると考えられることから、未然に防止するためにも、その場所の特定・把握は必要であると認識いたしております。

 

中田議員

 例えば、ある1ヵ月間、毎日川沿いを精査するなどして、どの部分でゴミが流入しているのか特定するなどの手法も考えられます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問です。生物多様性調査における桜井地区の取り扱いについて。重要種としてヒメボタル、ドジョウ、ケリが見つかっています。以前行われた生物総調査報告書では、桜井地区はどのような配慮が必要だとされていますか。

 

都市創造部長

 平成23年度に行いました島本町自然環境調査等業務の報告書では、桜井地区はヒメボタルの棲息地及びケリの繁殖地としており、重要な環境であるとともに、今後、配慮が必要な場所としております。

 

中田議員

 その生物学的に重要な環境であり、配慮が必要な場所の水路には、準絶滅危惧種であり、町の重要種であるドジョウがいます。水路は、どこの管理ですか。

 

都市創造部長

 町内の水路管理につきましては、都市創造部都市整備課が所管となります。

 

中田議員

 本年度の予算で、水路付け替えが検討されています。重要な種であるドジョウの対応はどうされるのですか。

 

都市創造部長

 議員ご指摘のとおり、本年度予算におきまして、津梅原水路ほか付け替え実施設計業務を予定いたしております。水路付け替えにあたりましては、重要種の保全を目的とした特別の施工が困難な場合がございます。当該地域における施工方法といたしましては、新たな水路を先行して設置し、一定期間、既存の水路と結合した後に既存の水路を撤去することにより、重要種も含めた、現存する生物が移動しやすい環境を造ることといたしております。

 以上でございます。

 

中田議員

 その付け替えが行われる水路は、暗渠ですよね。蓋がされ、水が流れるだけの水路です。その場所に水路を繋ぐだけで、準絶滅危惧種であるドジョウが――日の当たらない暗渠水路ですよ、生きていけると思われていますか。

 

都市創造部長

 当該水路暗渠部での生存が困難になる可能性があるものと考えますが、施工により、貴重種が移動し、水路上流部・下流部につきましては、一定生存する可能性はあるものと認識いたしております。

 

中田議員

 町内でも、ドジョウが棲息する場所はかなり少ないです。そのような状態でドジョウが生きていけるのであれば、準絶滅危惧種などに指定されはしません。

私は、趣味で生き物が好きだから、このような質問をし、保全を訴えているわけではありません。私たち人間は、地球上の生物の営みのバランスのうえで生かされています。近年、地球環境問題、気候変動による災害の多発、島本町で言うと昨年の豪雨、猛暑、台風の猛威からもわかります。そのバランスが大きく崩れつつあり、私たちの生活の安定が揺るがされています。人によっては、たかがドジョウ、ケリ、ホタルでいいかも知れませんが、それらの生物の多様性が少しずつ損なわれることは、私たち人間の生息環境の悪化も意味しているのです。目先のお金のことだけを考えた結果、実は自分達の生息基盤を自分達で損なっていることに気がつくべきです。

 「生物多様性保全・創出ガイドライン」は、それを作ること自体が目的ではなく、それを用いて町が事業を行ううえで、いかに島本町の生物多様性を保全するか、創出するかが目的なはずです。

 今回のドジョウへの対応は納得できません。行政だけで大変だと言うのであれば、協力する住民はたくさんいると思います。ドジョウの対応について、移植も含めて、今後、真摯に対応されることを求めて、質問を終わらせていただきます。

 以上です。

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2024/12 ①文書保存の考え方について②地球規模のプラスチック汚染について

中田議員(質問者席へ)  2024年12月定例会議一般質問を行います。  1つ目、「文書保存の考え方について」です。  公文書は、住民の知る権利を保障して、開かれた町政を実現し、また、行政が説明責任を果たすための礎となるものです。その公文書の保存方法については、文書取扱規程...

 
 
2024/9 改めて、命を守る避難所運営・備えを!

中田議員(質問者席へ)  2024年9月定例会議、一般質問を行います。  「改めて、命を守る避難所運営・備えを!」です。  先日、南海トラフ地震臨時情報として、初めて巨大地震注意が出されました。このことにより、南海トラフ地震が今後30年のうちに80%の確率で発生が予想される...

 
 
2024/6 攻めの自然環境施策ーもっと予算を!

中田議員(質問者席へ)  2024年6月定例会議の一般質問、「攻めの自然環境施策――もっと予算を!――」を行います。  最近、よく耳にするようになった言葉に、ネイチャーポジティブというものがあります。日本語で言うと「自然再興」で、「自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損...

 
 
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