2019/12 ①町の持っている情報は住民みんなのもの②気候変動をくいとめたい! 島本町にできることは?
- みどり 中田
- 2019年12月27日
- 読了時間: 24分
更新日:1月21日
中田議員(質問者席へ)
2019年12月の一般質問を行います。
「町の持っている情報は住民みんなのもの」。
島本町は昭和59年、近畿地方で一早く情報公開制度を整えた先進的な自治体でした。しかし、それは過去のことになったのでしょうか。40年ほど経った昨年度、本町において、私を含む住民から情報公開に関する不服審査が請求され、その際、弁護士を含む第三者からなる審査会は、町の非公開部分について妥当性に欠ける判断があったとし、加えて、以下のようにかなり手厳しい苦言を述べました。
いわく「町の姿勢は、情報公開の流れに逆行するとも言えるものであり、情報公開についての姿勢を改められるべきである」と。この件について、昨年の一般質問で取り上げた際、このような結果となった要因の一つとして、「条例の趣旨に対する熟慮が不足していた」と行政は答弁しています。これらを踏まえ、島本町の情報公開のあり方について質問いたします。
「職員への周知徹底及び情報提供について」。
この審査請求及び審査会からの答申を受け、「情報公開条例」の中で変更された内容はありますか。変更の内容をご説明ください。また、「条例趣旨に対する熟慮不足」に起因する「妥当性に欠ける判断」の再発防止及び情報公開についての姿勢を改めるために、どういった対応を取られましたか。
総合政策部長
それでは、中田議員からの一般質問の1点目、「町の持っている情報はみんなのもの」について、ご答弁申し上げます。
議員ご指摘の審査請求案件にかかる本町情報公開審査会における答申書の付帯意見におきましては、同審査会から本町の姿勢を改めるべきものとのご指摘をいただいており、本町といたしましても真摯に受け止めているところでございます。
本町で作成いたしております『情報公開制度の趣旨と解説』を平成29年度に改定した際には、同審査請求の案件も踏まえ、町が事務局を務める団体の情報や第三者照会を行うにあたっての注意点、また公開することにより発生する不利益には具体性や客観性が必要であることなどを、解説に追記しております。
また、情報公開制度にかかる職員に対する研修といたしましては、新規採用職員への研修及び職員向け研修を毎年実施しており、『情報公開制度の趣旨と解説』に沿って、統一的な考え方を共有しているところでございます。昨年度の職員研修、昨年度及び今年度の新規採用職員研修では、同審査請求の事例も踏まえながら、「島本町情報公開条例」の根幹である「公開の原則」について、改めて周知徹底を図りました。
今後につきましても、「町の保有する情報は住民共有の情報である」という認識のもと、情報公開制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
中田議員
情報公開制度に関する職員研修は毎年行われていると思いますが、昨年度、改善された点としては、この苦言を呈された審査請求の事例を踏まえながら行った、ということでよろしいですか。
総合政策部長
そのとおりでございます。
中田議員
研修は、すべての職員に行き渡ったのでしょうか。対象となる職員は、毎年、1年で何人ですか。
総合政策部長
本研修につきましては、267名の全職員が研修受講対象となっており、そのうち各課から1~2名ずつ出席し、昨年度の受講者数は24名となっております。また、新規採用職員研修につきましては、昨年度が13名、今年度が8名、受講しております。
中田議員
審査請求の答申を踏まえて研修をしている点は評価できますが、このペースだと、全体に行き渡るのには何年もかかります。そのせいか、条例の趣旨に対する熟慮が不足していたケースが、その後も起こっています。具体例をお話しします。
公立学校の未耐震構造について、安全性の確保と保護者や地域住民などへの十分な周知を自治体に促す通知文が、国から再三送られています。今年7月、私はこの通知文を情報提供によりいただけるよう、すぐにいただけるように求めましたが、行政からは情報公開請求を行えば公開する、との答えが返ってきました。この場合、通知文が手に入るまで約2週間かかります。この件が「島本町情報公開条例」に照らして、また他団体の情報公開の運用状況と比較して望ましい対応だったかどうかを検証したいと思います。
まず、状況説明です。私が通知文の提供を求めたのは、三小の安全対策や説明会を求めた要望書を提出された保護者と行政の話し合いが行われる前日でした。通知文の内容は、この話し合いのテーマそのもの、もっと言うと、保護者の要望が国からの要請と一致していることを示すものでした。私は、保護者の皆さんが話し合いの前にその通知を手にすることが、とても重要だと考えました。通知は、保護者の皆さんが考えをまとめるうえで役に立ち、話し合いの結果を、子ども達にとってよりよい方向に導いてくれるものとなるからです。
情報は、タイミングが大事です。この通知文は話し合いまでに保護者に渡らなければ、その価値が大きく下がるものでした。これを情報公開手続きに回し、約2週間かけて公開するという行政の判断は、町民の財産である情報の存在意義を大きく損なうものだったのです。そもそも、この通知文は全国に3万近くある公立学校に一律に配付されているものであり、秘匿すべき内容は一切なく、公開しても誰の権利も侵害しないものでした。なぜ、行政はそのような情報を2週間も保護者から遠ざけようとしたのでしょうか。
この件に関し、9月の他議員からの一般質問への答弁で、教育長は、公文書の開示を求められて「情報公開条例」に基づく手続きをお願いすることは当然の対応であり、適切な事務執行であったと答えられています。残念ながら、この答弁は「情報公開制度に対する熟慮を欠いたもの」だと言わざるを得ません。
島本町の『情報公開制度の趣旨と解説』を見ていきましょう。その最初のページには、「町の情報は住民の共通財産である」と位置づけ、「非公開とする情報は必要最低限に留め、住民が必要なときに、必要な情報を入手できるよう、住民の知る権利を制度的に保障する。」とあります。住民が必要なときに情報を入手することは、極めて重要なのです。そして3ページ目から始まる第1条の解説では、住民が情報公開請求をせずとも情報が手に入るようホームページ等を活用することや、個々の事務事業の実施にあたっても種々の、「様々な手法により情報を提供し、その円滑な推進の確保に努めなければならない。」とし、この条例は情報の提供等を禁止し、または制限するものではなく、条例第1条及び第15条「情報の提供に基づき、必要な情報は住民に積極的に提供する義務を負うものである。」としています。
つまり、開示を求められた情報を情報公開請求以外の方法を使って積極的に、そして必要なときに提供することは、行政の義務なのです。ですから、「情報公開条例」に基づく手続き、つまり、「情報公開請求手続きを行うのは当然」とした行政の主張が、情報公開制度の趣旨に反していることは明らかです。本件の関係者は、『情報公開制度の趣旨と解説』を熟読されることを、強くお願いしたいと思います。
これだけでも十分なのですが、さらに今回の行政の対応は、他の自治体や国のものと比較して、いかに後ろ向きなものであったかも見ていきましょう。
私は、この通知文の存在を……。
村上議長
ご意見はあまり……。
(「一般質問です」と呼ぶ者あり)
中田議員
質問しながらの意見ですので、そのまま進めていきます。
私は、この通知文の存在を文科省に問い合わせをしてみました。そこで、文科省の担当の方に通知文をいただけないか尋ねたところ、「所属する自治体に言えばすぐにもらえると思う」と言われました。しかし、島本町行政はそのような対応を取られなかったので、その旨伝えたところ、文科省からは即座にメールで通知文が送られてきました。「簡易な情報提供です。特に隠すような情報ではないので」と。私は、大阪府にも問い合わせました。やはり、当然のように「島本町からもらってください、すぐにもらえると思いますよ。」と言われました。そこで、町からは情報公開請求を促されたと申したところ、先方はとても驚かれました。「情報提供するように、こちらから担当課に言ってあげますよ。」と、町の役場に電話をかけてくれたぐらいです。それでも島本町が情報公開請求でと譲らなかったようなので、府は通知文を開示してくださいました。もちろん、時間のかかる情報公開請求ではなく、情報提供によってです。
泉大津市では、議員が同様の通知文を求めたところ、上司の判断を仰ぐまでもなく、担当課が通知文を見つけ次第、すぐに議員のところに持ってきてくれた、とのことです。高槻市にも、茨木市にも、吹田市にも問い合わせました。どこも、通知文の類いの文書は情報公開請求することなしに、すぐに提供されるとのことでした。問い合わせのたびに、「通知文が情報公開?」と笑われたり、驚かれたりしたものです。
そもそも、私はこれまで、島本町行政から情報公開請求なしに、「提供」という形で様々な情報を受け取っています。その中には教育長の言うところの公文書、今回、情報公開請求しろと言われたような国からの通知文も含まれています。他の自治体や、国や府はあっさり提供してくれるのに、そして、これまで島本町も「請求」ではなく「提供」していた類いの通知文が、このときに限って情報公開請求を要求されたということです。これが当然であるという主張は、到底納得できるものではありません。
さて、教育長、このような島本町の「情報公開条例」の趣旨や、他自治体の運用状況はご理解されたと思うのですが、これを踏まえて、ご自身が9月になさった答弁について、どうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
持田教育長
前会の9月定例会議でもご答弁させていただいておるところでございますが、公文書の開示を求められて「情報公開条例」に基づく手続きをお願いすることは、情報公開制度に反するものではないと考えております。その中で、条例に規定されているとおり、利用や公開請求の頻度の高い情報については可能な限り資料化し、情報の提供に努めなければならない、との認識でございます。
いずれにいたしましても、町が所持または保管するすべての情報については、住民共有の情報として積極的に公開するという原則に変わりはございません。
以上でございます。
中田議員
ご答弁を最大限好意的に解釈すれば、今回の対応には明らかな条例違反はなかった、という趣旨になるでしょうか。それならば私も同意します。
私が訊いているのは、今回のケースが「情報公開条例」の趣旨や理念に沿った望ましい対応だったかどうか、ということです。条例にあからさまに違反しなければ何をやってもいいというわけではありません。今回、条例1条にあるように、「種々の方法により情報を提供」し、この円滑な推進の確保に努めたのか、と訊いているのです。
情報は、何でも公開すればいいというものではないことは私も理解しています。他者の権利を侵害するおそれがある場合のように、窓口ではなく、行政組織全体として公開方法や範囲を検討しなければならないこともあるでしょう。決裁が必要なことも当然あり、そういうものに関しては公開まで時間がかかることもあるでしょう。しかし、そのような時間をかける必要が全くない情報もたくさんあります。今回求めた通知文は、全国の自治体に配布されており、どこからでも入手できる類いのものでした。実際問題として、文科省はメールで、情報をすぐさま提供してくれました。このような文書を情報公開請求に回すというのは、情報の持ち主である住民の不利益に繋がりますし、同時に非効率な行政を生み出すもとにもなります。
総合政策部長
にお尋ねします。情報公開制度をどう運用すべきかについて、所管部長の見解を伺いたいです。情報公開請求を促したからそれでいい、という姿勢は適切なのか。必要な情報を必要なときに出すための様々な方法で「積極的に情報を提供する」という条例の趣旨から鑑みて、今回のケースで、翌日までに手に入らないような措置を行うことは適切だったと言えるでしょうか。
総合政策部長
当該案件につきましては、9月議会での他の議員の一般質問において、教育長から、議員が直ちに入手したいという事情があったのかも知れないが、議員個人の時間軸により事務執行を求められても対応はいたしかねる、との答弁がありました。議員に限らず、直ちに必要な情報を入手したいという請求者の要求に迅速に対応できないこともあるという趣旨であったというふうに理解をしております。
また、情報公開請求を促した教育こども部の対応は、情報公開制度に反するものではないと考えておりますが、情報公開制度の担当部といたしましては、様々な事情はあるものの、町が所持または保管するすべての情報は、住民共有の情報として積極的に公開するという原則に変わりがないという認識でございます。
なお、情報の提供については、現状、利用や公開請求の頻度の高い情報については、情報公開請求がなくても公開できるように資料化し、文化情報コーナーへの備え付けや、ホームページへの掲載等により整備するように努めるものとし、情報公開と一体となった運用を図るものとしております。
以上でございます。
中田議員
個別の案件についての見解を伺ったんですが、一般論しかお答えになっていません。やはり今回のケースにおいては、行政の対応は適切であったとは言えないと私は考えます。
私も、今回の対応は適切じゃないと思っています。条文や『趣旨と解説』を素直に読めば、今回のものは情報提供すべきだったという結論にしかなりません。横道ながら付け加えますが、「議員個人の時間軸」とおっしゃいましたが、それは間違いです。住民にとって必要なものだったからこそ、私は情報の提供を求めたのです。私が勝手に言っているものでありません。この認識は改めていただきたいと思います。これでは、まるで私が好き勝手に情報をよこせ、と言っているように聞こえます。私が通知文を急ぎ提供するように求めたのは、住民が翌日までにこの情報を持つことが住民の利益になり、つまり、行政の目的である住民福祉の向上に繋がることが明らかだったからです。決して、私の個人的な都合で言っているわけではありません。
他の自治体や国では当然のように提供される情報が、そして本町でも同種の情報が提供されてきたにも関わらず、今回は公開まで2週間かかるのが当然で適切という判断になった理由は何なのか。ご答弁からは全く理由が見えてきません。こうなると、審査会から注意があったにも関わらず、情報公開に対する姿勢は何も改められていないのではないかと言わざるを得なくなります。
重ねて訴えますが、行政は、個々の事務事業の実施にあたっても、「種々の方法により情報を提供し、その円滑な推進の確保に努めなければならない」のです。そのためにお願いしたいことが二つあります。情報提供すべき情報か、そうでないかの基準をあらかじめ定めておくこと。そして、すべての職員に情報公開の制度の周知徹底を図ることです。
例えば、大阪府の「情報公開条例」における情報提供では、「すでに公開したことがある情報以外にも、非公開情報に該当しないことが明らかな情報については、公開請求をしていただくまでもなく情報提供することができます。」とあります。高槻市でも、同様の対応をされています。こういった事例を参考にされてはいかがでしょうか。
総合政策部長
情報公開制度における「公開の原則」については、これまでも研修の中で周知を行っております。今年度の研修におきましても、具体例を示しながら、公開の原則について改めて周知徹底し、また研修資料を充実させ、各部局で研修に参加できなかった職員も共有できるようにするなど、工夫してまいりたいと考えております。
また、情報提供制度につきましては、他団体における制度の一例といたしまして、情報公開請求により全部公開とした公文書について、住民からの申出書の提出があった場合には、実施機関における審査を行うことなく情報を提供できる事例などもあると認識をしております。本町においても、今後、さらに充実を図る余地があることは認識をいたしておりますことから、他の自治体の制度の運用状況や判断基準等について、調査・研究してまいりたいと考えております。
中田議員
周知徹底というところで、再度、お願いしておきたいことがあります。
情報提供について、現状、部ごと、課ごとに対応が異なっています。町として、「情報公開条例」に沿って対応を統一する必要があると考えますか、いかがでしょうか。
総合政策部長
情報提供の考え方については、本町の『情報公開制度の趣旨と解説』に示しており、広範にわたる行政分野において多種多様の行政情報が存在する中、網羅的に一律の基準を設けるのではなく、本来的には条例の理念を踏まえ、各担当課において、それぞれ取り組み内容に適した方法により、積極的にその提供を行っていくべきものです。しかし、請求頻度の高い情報等につきましては、これまでより簡便な手続きで提供かできるよう、先ほどご紹介いたしました他自治体の先進事例等も参考にしながらルール化することで、今後、その充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
中田議員
はい、ぜひ、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
「気候変動をくいとめたい! 島本町にできることは?」です。
近年、世界中で地球温暖化の影響が指摘される気象災害が相次いでいます。産業革命前と比べて、地球の平均気温は約1℃上昇し、世界各地で気候変動が原因と考えられる熱波・山火事・洪水などの災害、また海面上昇、旱魃などが頻繁に起こっています。日本も同じで、本町でも昨年は豪雨、猛暑、超大型台風で被害が発生し、多額の災害対策費が必要となりました。
このように、多くの人びとや自然が気候変動の影響を受けており、このままでは地球上で安定した生活を送ることが難しくなることが懸念されています。今こそ、気候変動の本質的な解決に早急に取り組むべきです。特に、温室効果ガス排出削減に真剣に向き合うべきときが、今です。
昨年度から、欧米やオーストラリアを中心に「気候非常事態」を宣言する国や自治体が急増しています。昨年12月の時点で24自治体に止まっていたところ、この1年間で25ヵ国、1,200自治体に「気候非常事態宣言」が拡がっています。日本でも、この夏以降、壱岐市と鎌倉市が自治体や議会として「気候非常事態」を宣言し、今回の一般質問の通告後も、別の2自治体が宣言を出しました。
そんな中、本町における温室効果ガス排出削減の取り組みはどうなっているでしょうか。「進捗状況及び今後の方向性」について問います。
まず、島本町における温室効果ガス排出削減の進捗状況について。2016年度に策定された「島本町地球温暖化対策実行計画」では、削減目標として5年間で、2011年度比7%減とされています。2017・18年の達成状況をお示しください。
都市創造部長
それでは、「温室効果ガス排出削減の進捗状況について」でございます。
平成28年度に策定いたしました「第4期島本町地球温暖化対策実行計画」におきましては、温室効果ガス排出量を平成29年度から令和3年度までの5年間で5%、基準年となる平成23年度と比較して7%の削減を目標としております。
お尋ねの「削減実績」でございますが、現在、平成30年度の算定業務を進めているところであるため、平成28年度・29年度の実績で申しあげますと、平成28年度が8,153t-CO₂、平成29年度が8,901t-CO₂となっており、基準年となる平成23年度の9,108t-CO₂と比較して、それぞれ10.4%、2.2%の削減となっております。
以上でございます。
中田議員
年度による変動があるようですので、この8年間の排出量を、数値をならした形でグラフにして私は見てみました。そうしてみると、2010年代の島本町の排出傾向は、実行計画の目標である10年間で10%が達成できていないどころか、若干増えていることがわかります。温室効果ガスの排出抑制が人類存続の観点から急務となっている中、これは大変由々しき事態です。
昨年度、島本町では約500万円の予算をかけて――今年度もですね、行ったCOOL CHOICEでは、中期目標として、2030年度に温室効果ガスの排出を2013年度比で26%削減としています。現在のペースですと、当然、これも達成されそうにありません。行政は、温暖化対策を市民に啓発する立場にいるわけですから、まず自らが率先して削減を行うべきです。
また、2019年6月の閣議決定では、最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げ、これを今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに、2050年までに80%の温室効果ガスの削減に大胆に取り組むことが示されています。そもそも昨年公表されたIPCC特別報告書では、気温上昇2℃リスクよりも、リスクの低い1.5度未満に抑えるためには、2050年頃にCO₂排出を実質ゼロにする必要があることが示されています。国内でも、すでに国の方針を超える形で2050年までの実質排出0を、28の自治体が掲げています。
これらを踏まえ、2017年に策定された島本町の「温暖化対策計画」の目標設定に止まらず、本町でも早急かつ大胆な脱炭素・温室効果ガス削減に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
都市創造部長
「温室効果ガス排出削減」に関する取り組みについてのお尋ねでございます。
本町では、二酸化炭素排出量を削減し地球温暖化防止対策を推進するため、環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用し、国が実施する国民運動COOL CHOICE普及啓発活動を行っております。平成30年度は、町内の全小学校において環境啓発事業を実施したほか、啓発パンフレットを配布いたしました。また、省エネに関するセミナーや、町内各種イベントでの啓発物の掲示や体験イベントの実施、ポスター等の啓発物の作成・掲示などを行っているところでございます。また、本年5月に島本プラスチック・スマート宣言を行い、適正に処理されないプラスチックごみがゼロになるよう啓発を進めているところでございます。さらに、プラスチックごみを減らすことは温室効果ガス排出抑制に繋がることから、町内で行われている各種会議等で行っていた飲料の提供を原則廃止するとともに、マイボトル等の持参を呼びかける取り組みを推進することといたしました。
そのほか、北摂地域におけるマイバッグ等の持参促進及びレジ袋削減に関する協定に基づき、スーパーマーケット等においてレジ袋の無料配布を中止し、マイバッグの持参を促進することで、温室効果ガスの排出抑制に努めているところでございます。島本町内の店舗でのマイバッグ持参率を比較いたしますと、平成30年5月時点で36.3%であったものが、平成31年3月時点で84.4%となっていることから、レジ袋削減に大きく寄与していると考えております。
今後は、これらの取り組みを継続しつつ、事業効果のある新たな取り組みを調査・研究し、実施することで、温室効果ガスの排出抑制に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
COOL CHOICEによる啓発活動を行っている点や、国のレジ袋有料化に先駆けて北摂で一斉にレジ袋の無料配布を中止したこと、また未だに他市町村では各種審議会や会議で当然のようにペットボトルを提供している中で、マイボトル等の持参を呼びかけ、提供を原則廃止にしたことは、プラスチック製品の総量削減に寄与するものとして大変評価するものです。一方で、残念ながら島本町として温室効果ガス排出量削減は道半ばだというのが現状です。
本町の温室効果ガス排出量の内訳を見ると、電気の使用によるものが57%、廃プラスチックの焼却によるものが40%と、この二つがほとんどすべてと言っていい状態です。温室効果ガス削減を達成するためには、電気使用と廃プラスチックの削減が重要だということです。
プラスチック問題については次回の一般質問で取り上げることとし、今回は主に電気使用について質問していきます。前に述べました政府の長期戦略では、再生可能エネルギーの主力電源化が決定されましたし、そもそも2014年に策定した島本町の「環境基本計画」でも再エネが重点プロジェクトとして導入促進が掲げられています。
まずは確認です。島本町の再生可能エネルギー率はどうなっているでしょうか。町の電気使用料にかかる電源構成をお示しください。
総務部長
本町では電力自由化に伴い、特定規模電気事業者と、一般電気事業者である関西電力株式会社から電力の供給を受けております。現在、町と契約している特定規模電気事業者は、関西電力株式会社から電力の供給を受けている事業を実施しているため、電源構成としては関西電力株式会社と同じであり、2018年度実績では水力24%、火力57%、原子力19%となっております。
以上でございます。
中田議員
再エネ比率は24%ということです。電力の小売り自由化以降、家庭における再エネ導入が増加しています。この傾向は自治体でも同じで、東京都は再エネ中心の事業者から電気を積極的に調達しています。また吹田市では、近年の再エネ率は40~60%になっています。
本町でも、次期の電気事業者選定の際には、再エネ率を選定項目として盛り込むことを検討されてはいかがでしょうか。
総務部長
本町におけるPPS導入は、電力自由化に伴い、町の電気使用料削減を主たる目的として取り組んでまいりました。例えば、役場庁舎における電気使用料では、PPS導入前の平成27年度決算と比較し、平成30年度決算額は20.5%の減額となっております。新たに再生可能エネルギーを電源とする場合、財政的にどのような影響があるかについても慎重に見極める必要があるものと考えております。
しかしながら、町として温室効果ガス削減に取り組む必要があることは認識いたしておりますので、先進事例等調査・研究し、本町において可能な取り組みを検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ぜひ、よろしくお願いします。また、行政だけではなく、市民の皆さんにも家庭における電力会社の切り替えを促す取り組みをされてはいかがでしょう。家庭から出るCO₂は、島本町と同様に電気使用によるものが半分近くを占めています。これまでも、各種イベントで省エネ診断など行われていますが、COOL CHOICE事業の一環としてパワーシフトの啓発を盛り込み、ホームページや広報等で積極的に発言されていってはいかがでしょうか。
都市創造部長
「再生可能エネルギーへの転換」に関する啓発についてのお尋ねでございます。
脱炭素社会の実現のためには、温室効果ガスの排出抑制が重要であると考えており、本町「環境基本計画」におきましても、再生可能エネルギーの導入推進が求められているところでございます。議員ご指摘のとおり、各ご家庭の再生可能エネルギーへの転換が進みますと、より一層の温室効果ガス排出抑制に繋がるものと考えております。
今後は、本町で取り組んでおりますCOOL CHOICE普及啓発事業において、再生可能エネルギーへの転換についての各ご家庭向けの啓発についても努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ぜひ、よろしくお願いします。
次の質問です。島本町の温室効果ガス排出量を施設別に見てみると、清掃工場を除けば、上水道施設や学校教育施設の電気使用量が多くなっています。また、一般に建物のエネルギー消費量全体に占める照明のエネルギー消費の割合は意外と多く、オフィスビルでは夏季で24%、冬季で33%を占めています。
そこで照明器具について質問です。LEDは蛍光灯と比べ、60~80%も消費電力を抑えることができるようです。消費電力が少ないということは、それだけ排出するCO₂も少なくなるので、環境への負荷が軽減できます。COOL CHOICEでは脱炭素社会づくりに貢献する製品の買い換えを推奨しており、市民にも行政として啓発していることと思いますが、行政も啓発するだけでなく、自ら率先して買い換えに取り組むべきと考えます。温室効果ガス排出量削減のため、各施設の照明のLEDへの切り替えに積極的に取り組まれてはいかがでしょうか。
都市創造部長
LEDへの取り替えについては、今後、電力削減、温室効果ガス対策以外でも種々いろんな要因の中で進めていくべき取り組みという認識でございます。財政との整合も取りながら、計画的に進めていく必要があるものと認識しているところでございます。
以上でございます。
中田議員
再エネ率の高い電力調達にしろ、LED化にしろ、財政的な影響との兼ね合いになることはよくわかりますが、地球の気候バランスが大きく崩れ、私たちの生活の安定が揺るがされている状況で、減災の意味も込めて先に投資をし、温室効果ガスの排出抑制により気象災害を食い止めるべきです。このことはまた、災害対策費の抑制に繋がり、財政効率を高めることにもなります。これ以上災害が生じる前に、先手を打って投資をすべきです。
多くの人命と生活の基盤が押し流されたとき、そしてついには社会の崩壊に至る事態になったときに、幾らお金を積んでも取り返しはつきません。私たちは対策を講じることができる最後の世代です。気候変動の影響の甚大さと対策の緊急性に対し、これまでどおりのやり方では対処できなくなっています。常識が通用しなくなり続ける中で、かつてない変革が求められています。最大限の危機感を持って、できる限り、実質CO₂排出を2050年までにゼロを目指す勢いで、温室効果ガス排出抑制に取り組んでいただきたいと思います。町長に、見解を伺います。
山田町長
本町では、住民の皆様への普及啓発事業、また森林保全の取り組み、電気使用量の削減など、これまでも各種計画に基づき様々な取り組みを行ってきております。また本年5月には、町としてできる地球規模での環境保全へのメッセージとして、プラスチック・スマート宣言もさせていただいたところでございます。
議員のご指摘のとおり、世界各国や各自治体でも関心が高くなっている中で、本町としても諸計画に基づき、住民の皆様や企業などと自然環境に迫る危機感を共有したうえで、着実に諸施策を推進してまいりたいと考えております。また、温室効果ガスの削減につきましては、全人類にとっての喫緊の課題であるということも認識をしております。今すぐにでもできることを、革新的に進めていかなければならないということも理解はしております。
特に国内でも数団体の方が、自治体が「気候非常事態宣言」などを出されているということもご指摘をいただきました。そういったイノベーターとして、先進自治体が取り組んでいる新たな対策につきましても積極的に調査・研究をし、本町としてはアーリーアダプターというふうになれるように、温室効果ガスの排出抑制策についてもしっかりと検討し、可能なものから常できるだけ早期に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。