2018/9 ①駅西の業務代行予定者募集にかかる事業提案書の情報公開②島本町自然環境調査等業務報告書に昆虫類の確認種リストが掲載されていなかった件③駅西タウンミーティング
- みどり 中田
- 2018年9月30日
- 読了時間: 32分
更新日:1月20日
中田議員(質問者席へ)
2018年9月定例会議の一般質問を行います。
一つ目.「駅西の業務代行予定者募集にかかる事業提案書の情報公開」について。
公開請求された情報を、「ほとんど公開しないと判断した経緯」を問います。昨年3月に情報公開請求を行った駅西の業務代行予定者による事業提案書の公開を巡るやりとりについてです。
当初、掲載された情報の大部分が黒塗りで公開されたため、私を含む住民3人は、町のその判断は不当であると、「行政不服審査法」に基づき審査請求を行いました。そして、弁護士を含む第三者による審査会が開かれ、町の判断が正しかったかどうかが審査されました。その結果、町が公開しない理由として主張した内容は、ほとんどが採用できないものと判断されています。大部分を非公開とした町の判断が不当だったということです。
当初、町が大部分を公開しないと判断するに至った経緯説明を求めます。
都市創造部長
それでは、中田議員からの一般質問にご答弁申し上げます。
まず、「業務代行予定者募集にかかる事業提案書の情報公開について、ほとんどを公開しないと判断した経緯」についてのご質問でございます。
当該情報公開請求にかかる決定に至った経緯につきましては、情報公開請求に対しまして、情報を特定いたしましたところ、内容に第三者情報が含まれていると判断したことから、JR島本駅西土地区画整理準備組合及び業務代行予定者に対し、「島本町情報公開条例」第7条の3第1項に基づく意見照会を実施いたしました。
事業提案書につきましては、業務代行予定者が業務代行予定者募集要項を踏まえ、自社のまちづくりに関する技術的な知見や情報をもとに準備組合に対して一方的に提案した内容であり、提案内容自体が準備組合による承認を受けたものではなく、今後、協議等により内容が大きく変わる可能性が高い、との意見を受けたものでございます。
町といたしましては、提案の段階の情報であるにも拘わらず、内容を明らかにすることで、あたかも本情報に記載されている内容がすでに決定されている情報であるかのように捉えられ、住民の方々に不正確な理解や誤解を与えるだけでなく、地権者の財産や土地利用に関して、地権者住民が了解していない情報を実施機関の意思により公開することとなり、地権者が不利益を被ることは明らかであると考え、当該情報が同条例第5条第1項第3号に該当すると判断し、一部公開を決定したものでございます。
以上でございます。
中田議員
今、述べられた理由は、審査会でほとんど否定されたものです。
再度、質問です。なぜ、「情報公開条例」があったにも関わらず、このような判断になったのですか。
都市創造部長
今回の情報公開請求にかかる決定につきましては、組合施行の事業として民間事業であったことなどから、非公開とした部分を公開することによる影響の程度について詳細な検証が行えておらず、結果として、正確に「情報公開条例」の趣旨を踏まえた具体的・客観的な理由を十分にお示しすることができなかったものと認識いたしております。
中田議員
今のお答えも、最初の多くの部分を非公開とする決定は間違っていなかったけれども、うまく、その理由を作ることができなかったとおっしゃっているように聞こえます。「詳細な検証」が行えなかったのであれば、情報公開制度の趣旨に則り、公開の判断をしなければなりません。よって立つ先は条例であって、そうであれば公開するという判断になったはずです。
改めて問います。条例に従えば公開しなければならなかった情報を非公開とする決定を、なぜしたのか。条例を理解していなかったということでしょうか。
都市創造部長
今回の情報公開請求にかかる決定につきましては、当時において、「情報公開条例」の趣旨に則って判断をさせていただいたものではございますが、その判断が「妥当性に欠ける」という審査会の結果となったことにつきましては、条例の趣旨に対する熟慮が不足していたことも、その一因であったものと認識いたしております。
中田議員
わかりました。
次の質問です。「付帯意見についての見解」。
第三者による審査会は、町の主張を覆し、ほとんどの部分を公開することが妥当であるとした答申の中で、以下のような付帯意見を出されています。
「本審査会における審査の過程で確認された、改善されることが望ましい点について指摘しておきたい。条例第2条は、“町の所持または保管するすべての情報は、住民共有の情報として積極的に公開する”と公開の原則を規定していることから、非公開部分は可能な限り限定的にすべきであり、公開しないことを前提にどこを公開するかという考え方ではなく、公開することを前提に、どこが公開できないという考え方で事務を進めることが適切である。以上の観点から検討するに、今回の公開決定が情報公開の原則に則っていたとは言い難い。非公開部分について第三者に照会した結果が非公開を希望するのであったということ以外に、実施機関として十分に精査した経過が伺えない。情報の公開が原則である以上、たとえ第三者が非公開を望んだとしても、実施機関としてはそれに拘束されず、独自に精査する義務があるというべきであるし、第三者への照会にも、具体的、客観的な主張や、立証すべきとの注意を添えるなど工夫が必要であろう。今回の公開決定に対する町の姿勢は、情報公開の流れに逆行するともいえるものであり、情報公開についての姿勢を改められるべきである。」と、言われています。
つまり、非公開を望む開発業者と準備組合の意向を受動的に受け入れ、住民の「知る権利」を軽く見た行政を諫める内容となっています。この付帯意見に対する町長の見解を求めます。
山田町長
「付帯意見についての見解」にかかるご質問についてでございます。
本町といたしましては、前にご答弁を申し上げましたとおり、本件の情報公開請求を頂戴し、第三者照会の結果を踏まえ、本町「情報公開条例」の趣旨に基づき、当該情報を一部公開決定とさせていただいたところでございます。これを受けましての島本町情報公開審査会における審査結果につきましては、町といたしましても収受のうえ、内容を精読させていただいたところでございます。
議員ご指摘の答申書の付帯意見につきましては、今回の情報公開決定に関し、その姿勢を改めるべきものとのご指摘をいただいておりますことから、本町といたしましても本審議会の答申を真摯に受け止め、今後の事務に反映させてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
情報公開制度は、住民の「知る権利」に基づき民主主義を支える重要な制度です。一方で、今回のように町が持つ第三者の情報を扱う場合は、公開が第三者の著しい不利益に繋がる可能性があります。行政の決定は、その両者のバランスを考慮して決定されるべきです。今回の付帯意見は、町の判断がバランスを欠いていること、つまり、第三者の利害を過度に重視し、住民の「知る権利」を不当に損なったことについて苦言を呈されている内容だと思うのですが、そのような理解でよろしいでしょうか。
山田町長
付帯意見につきましては、住民の権利を制限することになる非公開の決定については、可能な限り限定的で、その理由を具体的・客観的に示す必要があることを指摘いただいております。何より公開が前提である情報公開への町の姿勢を厳しく指摘いただいたことにつきましては、私といたしましても重く受け止め、今後の事務に反映させてまいる必要があるものと考えております。
以上でございます。
中田議員
「今後の改善点」について、問います。
駅西の情報に限らず、町が持つ第三者の情報を公開するときの姿勢についてです。行政は、常に「情報公開条例」に従い、第三者と住民の両方に対し、公平に振る舞うべきと考えます。
今回のような偏った判断が行われないようにするために、行政としては、今後、どういった対策を取るおつもりでしょうか。
総合政策部長
「今後の改善点について」でございます。
第三者に対する意見書提出機会の付与につきましては、「島本町個人情報公開条例」第7条の3に規定されており、第三者の権利利益の保護を図ることを目的としています。第三者が非公開を望めば、情報を見たいという請求者と利益相反の関係となることから、その調整については、本条例第5条各号に規定している非公開情報に該当するか否かを慎重に判断することが必要です。
本町といたしましては、今回の答申を真摯に受け止め、第三者への意見照会の際に非公開を望まれる場合には、具体的・客観的に非公開情報に該当する合理的な理由があるか否かの確認を十分行ったうえで、適切に判断をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
次の質問に移ります。
二つ目.「島本町自然環境調査等業務報告書に昆虫類の確認種リストが掲載されていなかった件について」です。
2012年、島本町は業者に委託し自然環境調査を行いました。この調査では、島本町に棲息する生物のリストアップが行われており、確認された種のリストは調査結果の根幹をなす極めて大事なものです。ところが、業者が提出した本調査の報告書について情報公開請求を行ったところ、確認された動物全2,604種のうち約8割を占める昆虫類1,999種の種名リストが報告書に掲載されていないことが発覚しました。
つまり、当時、行政は種名リストを欠いた欠陥のある報告書を、その中身を確認しないまま受け取り、かつ6年間、行政及び関係者のただ一人として、そのことに気がついた人がいなかったということになります。そこで質問です。
当時、2,200万円もかけたこの調査は、何のために行われたのでしょうか。調査項目はどのように決めたのですか。なぜ、最も大事な種名リストを受領の際に確認しなかったのでしょうか。そもそも、それが重要だと思わなかったのでしょうか。「経緯説明」を求めます。
都市創造部長
それでは、「自然環境調査等業務報告書」に関するご質問につきまして、ご答弁申し上げます。
まず、「本調査の目的」でございますが、地域住民の主体的参画により「環境基本計画」づくりがなされる際の、住民議論の促進に役立てることを目的としていたものでございます。またあわせまして、当時の厳しい雇用失業情勢に対応するための「緊急雇用創出基金事業」として実施したものでございます。
次に、「調査項目」でございますが、業者選定にかかる入札執行時の仕様書に示したうえで、業者決定後に、事業者が作成いたしました調査計画書に対し島本町環境保全審議会からご意見をいただき、確定いたしました。
次に、「報告書類内の種名リストについて」でございます。確認種リストをもとに作成された「目別の科種数や重要種の状況」に関する記載については、「環境基本計画」策定にかかる資料として活用を行っております。しかしながら、その基礎データとなります確認種リストが、電子媒体としては納品されていたものの、紙媒体としては一部が印刷されておらず、そのことについては、納品時に適切に把握しておく必要があったものと認識いたしております。
なお、確認種リストを含む本報告書については、「環境基本計画」策定にかかる基礎資料だけではなく、国が策定した「生物多様性国家戦略」の趣旨を鑑み、生物多様性の基礎的なデータの蓄積に寄与するものとして活用できる重要なデータとして、保存期間を見直してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
再発防止への取り組みを伺います。
都市創造部長
今後における業務委託の成果報告書受領時の対応についてでございます。
委託業務完了時には、その内容によって、仕様書に定める様々な成果品の提出を求めております。ご指摘いただいております島本町自然環境調査等業務におきましては、成果品として、紙媒体と電子媒体の両方を成果品としておりました。このような場合におきましては、紙媒体と電子媒体の照合や、複数の担当職員による確認を行うなど、業務の改善に努めてまいります。
中田議員
そのような形式的な確認は、今回のように紙と電子媒体の間で内容に齟齬があった場合のみ有効で、電子媒体からも必要な情報が抜けて落ちている場合のチェックにはなりません。あくまで、受領時には内容の確認が必要です。
こういったデータを取り扱い、活用するためには、それなりの知識が必要で、当時の環境保全審議会でも調査報告書をどう取り扱うかについて話し合われたときに、同様のことが指摘されています。一方、行政職員が高度な専門的知識を備えることは現実的ではありません。このギャップを保管するために、環境保全審議会の学識経験者が存在すると思いますが、現在、環境保全審議会の学識経験者の中に、生物学を専門とされる方はおられますか。
都市創造部長
環境保全審議会の学識経験者についてでございます。
島本町環境保全審議会では、自然環境及び生活環境に関する様々な事項についてご審議いただくことから、限られた学識経験者の皆様で、すべての分野を網羅することは困難でございます。しかしながら、現在、島本町環境保全審議会には2名の学識経験者に委員委嘱いたしており、審議会の会長をお引き受けいただいております中瀬勲農学博士におかれましては、兵庫県の生物多様性配慮指針検討委員会の委員長を務めておられます。また、もうお一方の深町加津枝農学博士におかれましては、主に景観・生態保全論分野を研究されておられるなど、お二人とも、当該分野も含めた幅広い見識をお持ちであると認識しております。
中田議員
学識経験者の中には生物学分野を専門とされる方はおられず、農学の専門の方がお二人おられるということだと理解しました。
「環境基本計画」に掲げられている施策は、農林関係のみならず、生物、ごみ、水と大気など、幅広い分野にまたがっています。島本町環境保全審議会の規則によれば、学識経験者は4人以内、その他町長が必要と認める者については2人以内となっており、最大6人まで学識経験者をお招きできるものと思われます。「環境基本計画」の施策を実効性のあるものにするためには、もっと幅広い分野の学識経験者に審議会委員になっていただき、それぞれの分野について、その知見を活かしていただくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
都市創造部長
先ほどもご答弁いたしましたとおり、島本町環境保全審議会につきましては、町の自然環境や生活環境の保全に関する幅広い事項について審議いただく機関でありますことから、学識経験者につきましても、様々な分野の方に関わっていただくことが望ましいと考えております。今後におきましては、可能な限り多くの分野の有識者からご意見をいただけるよう、人選を進めてまいりたいと考えております。
中田議員
ぜひ、よろしくお願いします。
次の質問です。6月の議会でも述べましたが、町の重要種ヒメボタルが、役場の夜間照明設置によって個体数が激減している可能性についての指摘があり、町に適切な対処を求める要望が住民の方からありました。この指摘は、住民の方が個体数を数えた長期のデータに基づくもので、説得力があります。これに対し、町は照明の角度を下向きに調整し、ヒメボタルへの影響に配慮したいと回答されています。
この対応の効果を検証するために、今後、町は、調査をされている住民の方と連携して継続的にモニタリングを行い、個体数回復に努めていくべきと考えますが、いかがですか。これは重要な野生生物の保護を施策としてあげた「環境基本計画」にも整合しますし、もとになった調査報告書や環境住民会議支援費を含めて、「環境基本計画」作成にかかった約5,200万円を無駄にしないためにも重要だと考えます。
都市創造部長
ご指摘のとおり、ヒメボタルの個体数の減少要因の一つとして、役場中庭の防犯用照明の影響が疑われる旨につきましては、聞き及んでいるところでございます。
ヒメボタルをはじめとした重要種のモニタリングにつきましては、調査費用等の課題がございますことから、日頃から観察をされている有識者の皆様や、企業等と連携した対応を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
ぜひ、よろしくお願いします。
次の質問に移ります。三つ目.「駅西タウンミーティング」について。
「駅西のタウンミーティングのスケジュールについて」です。
タウンミーティングは、非常に素晴らしい住民参加の手法だと評価しています。しかし、今回の駅西に関するタウンミーティングのスケジュールは、改善すべき点が幾つもあったと思います。8月1日に開催が広報され、2日~7日が申し込み期間、9日~11日までが開催というスケジュールは、あまりにタイトでした。
告知に気がつかない、すでに予定が入っているなど、参加したいのにできない方が多くいらっしゃいました。なぜ、このように住民が参加しにくいスケジュールを組んだのでしょうか。説明を求めます。
都市創造部長
続きまして、「JR島本駅西地区のまちづくりに関するタウンミーティング」にかかるご質問でございます。
まず、「タウンミーティングのスケジュールについて」でございますが、今回のタウンミーティングについては、JR島本駅西地区における都市計画のスケジュールを鑑み、8月号の「広報しまもと」のほか、7月23日からのホームページにおいても周知させていただき、100名以上の方にご参加いただいたところでございます。
なお、一部住民の方から、スケジュールがタイトであるというご指摘を頂戴しておりますが、開催日を複数回設定させていただいたことなど、住民の皆様にも広く参加していただけるように、可能な限り対応させていただいたところでございます。
今後におきましても、タウンミーティング等の住民の皆様のご意見等を伺う際の告知のあり方については、いただきましたご意見も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
中田議員
タウンミーティングのスケジュールは、大阪府の都市計画審議会の日程ありきで決めたわけではないのですね。確認です。
都市創造部長
タウンミーティングのスケジュールについてのご質問でございます。
今回、実施させていただきましたタウンミーティングの日程につきましては、事業の進捗状況等を勘案し、大阪府の都市計画審議会を含む都市計画手続きのスケジュールを総合的に鑑みたうえで、設定をさせていただきました。
中田議員
住民よりも行政のスケジュールを優先させた、という理解でかまいませんか。
都市創造部長
タウンミーティングのスケジュールにかかる再度のご質問でございます。
タウンミーティングの日程に関しましては、事業の進捗状況等を勘案し、大阪府の都市計画審議会を含む都市計画手続きのスケジュールを総合的に鑑みたうえで、設定をさせていただいたものでございます。また日程に関しましては、より多くの住民の皆様にご参加いただくため、事前にホームページでお知らせさせていただき、平日の昼間、夜間をはじめ休日も開催させていただいたところでございます。よって、住民の皆様のご意向よりスケジュールを優先した、という認識はございません。
中田議員
であれば、なぜ、このようなスケジュールでしたかが疑問です。確か1月の説明会で都市創造部理事は、急がなくてもかまわないという説明をされていたと記憶していますが、いかがですか。
都市創造部長
あのときの説明会において理事のほうの発言、急がなくていい、ちょっとニュアンス的にどうかなという部分あるんですけども、当初は計画的に進めたいということで、私自身も、計画どおり進めますというようなこと言うちゃったんですけども、その後、住民の方からいろんなご意見いただきまして、やっぱりスケジュールありきじゃないというようなニュアンスでお伝えしたという認識でございます。
以上です。
中田議員
遅らせることもできたはずなのに、行政の都合に固執して、住民の意見を聴取する機会を不十分なまま行ったというように私は理解しています。
次の質問に移ります。「タウンミーティング後の住民へのフィードバック」について。
タウンミーティングでは、駅西のまちづくり案について、参加者から多くの問題点について指摘があったにも関わらず、行政は、そのすべてに答えられたわけではなかったと聞いています。参加者は、今回のタウンミーティングで述べた意見に対して何らかの対応がなされることを期待していると考えます。その期待に応えることは、住民参加の気運を育むうえで大変重要です。行政として、今回どのように応えるつもりでしょうか。
都市創造部長
次に、「タウンミーティング後の住民の皆さんへのフィードバック」にかかるご質問でございます。
住民の皆様から様々なご意見を頂戴しており、町としても、これらの一つひとつのご意見を真摯に承る必要があるものと考えております。一方で、本町における計画上の位置づけや、議会や都市計画審議会での意思決定、準備組合としての合意形成の状況など、これまでの経緯等を総合的に判断したうえで、政策的な方針を決定することとなるものと考えております。
そのため、現状では対応が困難なご意見もございますが、タウンミーティングにおけるご意見は、現状における町の考えを付したうえで、次回の都市計画審議会においてご報告することを予定しております。あわせて文化情報コーナーや町ホームページにて、住民の皆様へもお知らせしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
いずれにしても、住民の納得感を得ることが大事です。
駅前開発に関しては、地権者はリスクを負うので、その意思が最大限尊重されなくてはいけないというようなことを、行政はよくおっしゃいます。しかし、人口増や財政負担に伴うリスク、例えば待機児童問題や交通渋滞、空き家問題など、地権者以外の住民も、そういったリスクを負うわけです。
タウンミーティングに参加された方からは、そういったことに対する多くの不安の声があがっており、住民が納得されているとは言い難い状態だと感じています。町として、住民の納得感を、いつ、どのように判断するおつもりですか。
都市創造部長
住民の皆さんの納得感にかかるご質問でございます。
これまで、当地区のまちづくりに対しましては、農地等を保全すべきであるとのご意見や、駅前の開発を進めるべきとのご意見等、様々なご意見をいただいており、現状では対応が困難なご意見もございますが、今後のまちづくりに反映することのできるご意見につきましては、実現可能性等を総合的に考慮したうえで、準備組合に要望してまいりたいと考えており、現在、協議を進めているところでございます。これらを踏まえ、今後、検討させていただいた案を都市計画審議会にご報告し、ご意見を踏まえ、町として判断してまいりたいと考えております。
なお、住民の皆様すべての納得感を得ることは困難であるものと認識いたしておりますが、都市計画決定を踏まえ事業を進めていく中においても、町の考え方をわかりやすくお示しするとともに、地権者や住民の皆様のご意見を踏まえ、より良いまちづくりを行うことができるよう、積極的にまちづくりに関与してまいりたいと考えております。
中田議員
すべての住民の理解を得ることが困難だ、ということはわかります。ですが、できるだけたくさんの納得を得る必要があるのは事実です。その判断を、どういう基準で行うのか、という質問でした。都市計画審議会の了承が基準だというお答えだったのでしょうか。
都市創造部長
町といたしましては、今後、検討させていただいた案を都市計画審議会にご報告し、ご意見を踏まえ、町として総合的に判断してまいりたいと考えております。
以上でございます。
中田議員
今のお答えでは、いつ、どのように判断をするのかが全くわかりません。全員の納得が得られないことは仕方がないこととして、総体として町民が納得しない状態で進めることは、住民の福祉の増進のためにある「行政」というものの正当性を失わせることになります。
次の質問に移ります。「タウンミーティング後の駅西地区のまちづくりの今後」について。
タウンミーティングの参加者からは、計画をこのまま進めるべきではないという意見が多数出たものと聞いています。行政として、これらの声を受け、今後、まちづくりをどうしていくおつもりでしょうか。
山田町長
「タウンミーティング後の駅西地区のまちづくりの今後」についてのご質問でございます。
タウンミーティングにおいては、ご指摘のとおり、計画をこのまま進めるべきではないという住民の皆様からのご意見をいただいた一方で、まちづくりを進めるべきであるといったご意見もいただいております。本町としましては、タウンミーティングでのご意見や、準備組合の皆様のご意見を総合的に鑑み、今後の方針を決定してまいりたいと考えておりますが、現時点におきまして、方針をお示しできる状況ではございません。
なお、タウンミーティングにていただいたご意見のうち、現状では対応が困難なご意見もございますが、まちづくりに反映できるご意見につきましては、実現性等を考慮したうえで準備組合に要望してまいりたいと考えておりますことから、鋭意協議を進めているところでございます。
以上でございます。
中田議員
都市計画の主体は、行政です。行政は公益を追及するため、リーダーシップを取る必要があると考えますが、いかがですか。
山田町長
行政のスタンスに関わるご質問でございます。ご指摘のとおり、地域として、また町全体を見据えた公益性を追求することが、町としての都市計画の基本的なスタンスであると考えております。
以上でございます。
中田議員
タウンミーティングでは、「この計画の公益性は何か」という問いに、行政は十分答えられなかったと聞いています。
この地区を保留区域とするための協議の際には、駅前は文教ゾーンになっていたはずです。「都市計画マスタープラン」でも、学術施設と記載されています。これならば、一定公益性を認めることも可能と思います。しかし、現在のプランは保留区域として認められた際の根拠を欠いており、「都市マス」にすら反しています。この計画には公益性がありません。
全国的に人口が減少し、住宅が過剰になっています。駅前だからと言って、高層マンションを建てて人口が増えても一時的です。一方、現在のマンション建設ラッシュは、町全体が乱開発されているようなものです。交通問題、教育環境の悪化、空き家問題、これらは住民全体に生じるリスクです。地権者だけではなく、住民も、この計画でリスクを負わされています。「開発に期待する」という声は、1人も聞いたことはありません。そして、「反対闘争から条件闘争へ」などという計画ありきの姿勢はもってのほかです……(「そうだ」「言い過ぎだ」と呼ぶ者あり)……。
行政は計画を進める前に、これが公益であると、はっきりと打ち出すべきです。そのうえで、リスクがあるけれども公益が上回るので、この計画を進めさせて欲しいと住民に訴え、納得を得るべきです。それがまっとうな行政というものです。それができないのであれば、計画をこのまま進めるべきではない。その住民の声に従い、一から考え直すという決断をするべきです。町長の見解を問います。
山田町長
今後の進め方等につきましては、タウンミーティングでいただいたご意見、また地権者の方のご意見、またいろいろな方のやはり賛成・反対のご意見がありますので、それらを踏まえたうえで総合的に判断をしたいというふうに思っております。ただ、現在においては、現時点においては、今後どうするかという方針をまだお示しをできる状態ではございませんので、そのあたりはご理解いただきたいと思います。
以上でございます。
中田議員
町長が胸を張って、これが町民のためになるのだと、そのような状態で計画は進めるべきです。現状、そうなっていないことは明らかです。
次の質問に移ります。「タウンミーティング全般」について。
タウンミーティングの種類によって、運営の仕方が違うことがあるようです。例えば、あるものには議員は参加できないが、あるものには議員が参加できるということがありました。これからタウンミーティングをどんどん開催していくべきだと思いますので、基本となる運営方針を定めておけば良いと考えます。
その際、私は住民意見をより良く把握するためにも、議員もタウンミーティングに参加できるのが望ましいと考えています。議員がいると、住民が萎縮して発言できなくなるという意見もあるようですが、実際問題、私が8月に初めて参加したタウンミーティングでは、私がいたことにより住民が萎縮し、発言を控えるようなことはなかったと感じています。タウンミーティングに多くの住民が参加できるよう、また行政、議員が住民意見に多く触れられるよう運営するための方針が必要と考えますが、いかがですか。
総合政策部長
それでは、「タウンミーティング全般」につきまして、ご答弁を申し上げます。
タウンミーティングにつきましては、昨年10月から「しまもトーク」と題し、町内各地域の課題などについて、住民の皆さんのご意見を直接お聞かせいただく場として実施しております。また、教育・保育施設、都市計画、商工関係など特定のテーマを設定し、各テーマに沿って対象者、定員、回数などを決めて実施しており、住民意見を広くお聞きする場として実施しているものでございます。
「議員のタウンミーティングへの参加」につきましては、議員の参加によって住民が委縮するかしないかは、個々の捉え方によって異なるため一概には言えませんが、各議員におかれましては、町が実施するタウンミーティングによらず、議員活動として個別に住民意見を聴取していただき、議会の場で議論していただければと考えております。
そのため、タウンミーティングにつきましては、できる限り一般住民を優先にご意見をお聞きする場として、今後も実施してまいりたいと考えております。
中田議員
一般住民優先ということは、そのとおりです。今回のご答弁、議員の参加を全否定されたものではないと理解しました。
次の質問に移ります。「島本町の都市農地について」です。
「都市農地に対する町の方向性」を問います。
全国的に農業従事者の減少、高齢化と後継者不足による耕作放棄や、相続税対策としての土地活用により、都市の農地が減少しています。一方で、人口減少時代を迎え、住宅ストックはすでに過剰です。また、都市農地に多様な機能があることが認識されるようになってきました。そこで国は、これまで「宅地化されるべきもの」としていた都市農地の位置づけを180度転換、「都市にあるべきもの」としました。このことは、これまでにも何度も言及しています。農地を残すことが国の方針です。
そんな中、先日の都市計画審議会では、町として農地をどうしたいのか、ビジョンが見えない、という指摘がありました。そこで質問です。
こういった全国的な農地を取り巻く状況を踏まえ、また町内の実情を踏まえ、島本町として、町内に残る農地を今後どうしていきたいと考えておられますか。方向性をお聞かせください。
都市創造部長
それでは、「島本町の都市農地」について、順次ご答弁させていただきます。
まず、「都市農地に対する町の考え方について」でございますが、本町の「第四次総合計画」においても、「近年、農業従事者が減少し、高齢化や後継者不足が深刻になっています。農業の担い手の育成や、農家の経営基盤を強化する取り組みが求められます。」と現状と課題を認識したうえで、「意欲のある農家が農業を続けられるよう、農業生産環境の整備や地産地消の取り組みを推進するなど、農業の振興を図ります。」とうたっております。現状においてもそのような認識のもと、農業振興に努めているところでございます。
また、「都市農業振興基本法」が施行され、農地が果たす機能が見直されていることにつきましては本町としても十分認識しているところであり、法律が施行されたことを契機として生産緑地制度の導入を進めるなど、新たに対策を講じてまいります。生産緑地制度の導入以外の新たな施策につきましても、本町の財政状況を鑑みたうえで、国や府の支援策や、他市町村の先進事例等も調査・研究し、農業施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
中田議員
「農地を所有していない者が農の担い手に」
先日、農林水産省農村振興局による『都市農業の現状と課題について』という講演を聞いてきました。その中で、都市農業の現状と課題の一つとして、以下の内容があげられています。「農業従事者の減少・高齢化が進む中、都市農地の所有者自らによる有効な活用が困難となっている。一方で、都市では農地価格が高いため、農地を購入して農業を行うことは非常に困難。このため、都市において貴重な資源である都市農地の有効な活用を図っていくためには、農地所有者だけでなく意欲ある都市農業者が都市農地を借りて活用することが重要である。」と。
つまり、都市農地保全及び農業の後継者不足の解決策として、国は「農地を所有していない者が農地を借りる方法」に注目しているわけです。この件に関する島本町の認識を問います。
都市創造部長
続きまして、「農地を所有していない者が農の担い手に」についてでございます。
議員ご指摘のとおり、後継者不足の解消には新規就農者の参入が大変重要であり、都市の農地を有効に活用するためには、農地所有者自らが営農する手法だけではなく、農地を所有していない方が営農しやすい手法を充実させていく必要があるものと認識しております。そのため、町としても具体的な支援のあり方について、今後検討してまいりたいと考えております。
中田議員
「農地を所有していない者が農地を借りるためには」
前の視点から、農地を所有していない者が農地を借りるための制度について問います。町の農地には、現在、市街化調整区域と市街化区域の2種類の農地があります。市街化調整区域で、農地を所有していない者が農地を借りるための制度について、ご説明ください。
都市創造部長
続きまして、「農地を所有していない者が農地を借りるためには」についてでございます。
農地を所有していない方が、市街化調整区域内で農地を賃貸借する制度につきましては、「農地法」第3条の許可による賃貸借制度及び「農業経営基盤強化促進法」に基づく利用権設定による賃貸借の制度がございます。面積が20a以下の農地については「農地法」第3条の許可は与えられず、当該制度は利用できませんので、「農業経営基盤強化促進法」に基づく利用権設定による賃貸借を行うこととなります。
なお、「農業経営基盤強化促進法」に基づく利用権設定においては、地権者が土地を貸す際に躊躇される原因となる「貸した土地が返ってこないのではないか」という懸念に対し、期間終了後には賃貸借契約が自動更新されず土地所有者に返還されることになっていることから、地権者が土地を提供しやすくなるといったメリットがあるものと考えております。
中田議員
貸出の制度は整っているということです。農業の振興が町の方針です。町は、その方針に根ざし、所有されている方が新規就農者に土地を貸し出しても良いと思えるよう、制度周知の働きかけを積極的に行ってください。
「生産緑地申し出件数」についての質問です。
島本町では、今年度から生産緑地制度が導入されます。都市農地保全のための前向きな取り組みと評価します。これまでの申し込み件数を聞かせてください。
都市創造部長
続きまして、「生産緑地申請件数について」でございます。
ご質問の申請件数につきましては、平成30年8月31日正午時点で、9件の申請をいただいております。
中田議員
それに伴い、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」について問います。
都市農地保全のための生産緑地制度ですが、これまで生産緑地の貸付に関しては二つの大きな障害がありました。一つ目は、制度上、「いったん貸したら返して欲しいタイミングで戻ってこないのでは」という点、二つ目は生産緑地を他人に貸し付けた場合、納税猶予が打ち切られるため、「実質、貸与が困難になっていた」という点です。
この2点を解消し、生産緑地を持っている人が他人や企業などに貸しやすくなる法案である「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が、先日、公布されました。この法案については認識されていますか。
都市創造部長
続きまして、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律について」でございます。
「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」は、平成30年6月27日に公布されております。先ほどご答弁させていただきましたとおり、当法律により、「農地法」第17条の都市農地の賃借にかかる自動更新の規定が適用されず、賃借期間の終了後には都市農地が所有者に返還されることから、農地所有者が抱える「貸した農地が返ってこないかもしれない」といった不安を軽減し、農地賃貸借の円滑化に寄与するものであると考えております。
中田議員
「農地所有者に法制度の周知」をお願いします。
生産緑地の導入に際し、終身自作で納税が免除されるという税制面での優遇があるものの、「自分」が死ぬまで生産緑地を管理しなくては納税が免除されないという縛りが、生産緑地の指定をするかどうかの心理的ハードルになるという側面があったと思います。しかし、この「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が施行されれば、自分が管理せず、他人や企業などに貸し出しても相続税猶予が受けられ、かつ農地の返却時期も調整がしやすくなるわけです。
この点、生産緑地の導入を検討されている方に、ぜひ周知をしていただきたいと思います。いかがですか。
都市創造部長
続きまして、「農地所有者への法制度の周知について」でございます。
生産緑地地区の申請にかかる説明会につきましては、本年8月4日に開催し、申請の締切を9月3日までとしております。このため、今回の申請受付期間において、生産緑地地区の指定を検討されている方への周知については困難であるものと考えておりますが、次年度以降に再度申請を受け付ける場合においては、ご指摘いただいた都市農地の賃借の円滑化に関する事項を含め、周知を行ってまいりたいと考えております。
中田議員
「新規参入を考える農地を所有していない意欲ある都市農業者に、わかりやすい情報提供」を求めます。
農地所有者に対する情報の周知とともに重要なのが、新規就農を考える都市農業者に対する情報提供です。現在、町はどのように各種法制度の情報提供を行っていますか。
都市創造部長
続きまして、「農業に関する各種制度の情報提供について」でございます。
新規就農者に対する情報提供につきましては、現在は、主に窓口や電話での相談時において制度の紹介等を行っているところでございます。しかしながら、町ホームページにおいては、現時点で十分な情報提供が行えている状況ではないものと認識いたしておりますことから、今後、情報の充実に努めてまいりたいと考えております。
中田議員
ぜひ、よろしくお願いします。
私は先日、都市農地の活用事例を学ぶために東京に視察に行ってきました。そこで目にしたのは、行政が計画を作り、方針を立て、場合によっては予算を組み、住民ともに積極的に農地保全に取り組んでいる姿でした。予算措置を伴わないものとしては、行政が、農地所有者と農地を持たない市民団体との間で賃貸を斡旋し、団体が体験農園を運営できるようにした事例もありました。
農地は、食料生産の場のみならず防災拠点、子どもへの教育の場、コミュニティづくりや文化醸成の場、生き物を育む場として、また景観保全、ヒートアイランドの緩和など、私たちに様々な恩恵をもたらします。特に、子育て支援・学童保育、セラピーや森のようちえん、子ども達の遊び場としての活用は印象的でした。都市農地の可能性は様々にあるのだと感じました。
島本町行政も、ぜひ農業振興の一環として、そして、住民の生活の質の向上のため、様々な農地活用の施策に今後取り組んでいただきたいと思います。
以上です。(質問時間終了のベル音)